東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第14弾【ヒンディー語科編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20210307024146p:plain

ヒンディー語科 誤訳流通センターさんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【インドについて】

―インドについて勉強する最初の一冊となるようなおすすめの本はありますか?

学術書でなければ『地球の歩き方 インド』(ダイアモンド社)、よりアカデミックな本なら長谷川明氏の『インド神話入門』(新潮社)がオススメです。

 

―音楽や絵画、文学、映画、アニメで有名なものはありますか?

やはりボリウッド映画でしょうか、アーミル・カーン主演の「きっと、うまくいく」などは有名どころかと思います。

 

―ボリウッド映画いいですよね!問答無用で明るい気持ちにさせてくれるので私も大好きです。ちなみにインドの著名人といえばどのような人がいますか?

上記のボリウッド映画に出演する美男美女の俳優女優達は有名で、他に日本絡みで知られている人物ではブッダとか、独立運動家のスバス・チャンドラ・ボースか、最近だとナレーンドラ・モーディー首相が有名ですね。

 

―近年のインドの政治・経済の状況を教えてください。

政治に関してはいつも問題だらけで、最近は農業法の改正に伴い、農民によるデモや一揆が話題です。コロナ禍でかなり被害が出て、感染者数は世界で2位になってしまいましたが最近落ち着いてきているようです。さらに、インドがいち早くワクチンを製造、接種開始をして近隣諸国へと無償提供しているニュースは記憶に新しく、国際社会上での影響力も経済もこれから育つ国であると思います。

 

【インド留学】

―それでは、留学のことをお聞きしたいと思います。誤訳さんがインドへ留学に行かれたのはいつの時期ですか?

2019年春休みにインドの首都デリーへショービジ(ショートビジット:外大と協定を結んでいる大学への短期留学)で訪れたのと、2019~2020年にタージマハルのあるアーグラーへ長期留学に行きました。長期留学は本当は10ヶ月ほど滞在する予定だったのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく1,2ヶ月ほど期間を短くして帰国しました。


f:id:tufs_russialove:20210307024421p:plain

 

―インドの気候ってとても暑くてジメジメしたイメージがありますが、実際はどうでしたか?

北インドは3月〜4月から気温が40度以上になるので、ショービジで行った2月はまだまだマシでしたね。長期留学に行った8月はインドの雨季だったので、常に蒸し暑く、蚊が多くて大変でした。ショービジで訪れたデリーの時よりもアーグラーでは滞在していた寮がボロかったので、エアコンもなくて扇風機だけで雨季のジメジメした時期を過ごして正直参りましたね(笑) 今思い返せばそれもいい思い出ですが、エアコンのありがたみを感じました。

 

―暑さも一つの洗礼ですね…。長期留学の際は、現地の大学に通っていらっしゃったんですか?

インドの文科省が管轄しているヒンディー語学校に通っていました。インド政府がヒンディー語を勉強している外国人向けに提供している奨学金をいただいて、現地の学校の寮に滞在していました。学校にはヒンディー語の先生志望のインド人の生徒もいました。北インド以外の地域から来た人が学校でヒンディー語を勉強して、各々の地域で先生になろうとしているのだと思います。ですから、そのような先生志望の生徒と外国からヒンディー語を勉強しに来ている生徒、二種類の学生のいる学校でした。

 

―なるほど…。普通の大学とまた少し異なる雰囲気がありそうですね。

そうですね。とにかくヒンディー語に打ち込めるのがこの学校のメリットだと思います。

 

―インドの風習について驚いたことはありましたか?

風習については、インドはお祭りが皆大好きらしく、爆竹や花火で楽しむディーワーリーや色粉をぶつけ合うホーリーなどのお祭りはパワーが凄くて圧倒されました。

 

誤訳さんも実際にそのお祭りに参加されたんですか?

僕は窓から見て雰囲気を味わうだけで止めておきましたけど、インドの人はお祭りがとても好きらしいんですよね。もちろん宗教的行事のお祭りもありますが、ディーワーリーやホーリーでは宗教やカースト身分は関係なくみんなで楽しもうといった雰囲気があります。ディーワーリーは「光の祭典」とも呼ばれています。夜に小さなろうそくを灯して、幸運の神や福の神を招くという行事です。みんなでお菓子を贈り合ったり、爆竹や花火を鳴らし合ったりします。

 

ディーワーリーについて(解説は英語ですが雰囲気はよく伝わります)

youtu.be

 

ホーリーは、たしか昔の説話が元になっていて、春の訪れを祝うお祭りです。友人知人や知らない人も巻き込んで「ハッピー・ホーリー!」なんて言って顔に色粉をぶつけ合います。

f:id:tufs_russialove:20210307025306p:plain

ホーリーの様子 出典:https://www.travelbook.co.jp/topic/15345

 

―破茶滅茶で楽しそうですね!インドの熱気が感じられますね。

では現地の人々の様子を教えてください。どのような人が住んでいますか?

インドの人々は世話焼きというか、人懐っこい人が多い印象です。アーグラーのあるウッタル・プラデーシュ州は決して治安がいいとは言えませんが、寮の近辺や市街地はそこそこ安全です。デリーやムンバイのように、ある程度なら英語が通じる場所なら日本人でも住めそうですが、片田舎のアーグラーはなかなか難易度が高いです…。

 

―誤訳さんは現地で何かトラブルに巻き込まれる経験はありませんでしたか?

僕自身はスリや暴力沙汰に合うこともなかったので恵まれていました。

ただ、僕がインドに行っていた時期はインドの情勢がちょうど揺れていたときだったので、少し不安はありました。初めてショービジに行ったときはパキスタンとの間で激しい争いが起こっていて、長期留学の間もインドのカシミール強制併合が原因で、宗教対立のあるところで警察が頻繁に動いていたり、移民法改正による抗議デモが多発していたり、コロナが世界的に流行り始めたり…と本当に何度もいろんなことが起こって、日本大使館から緊急メールが来るような事態がたくさんありました。僕の住んでいた地域(ウッタル・プラデーシュ州)はデリーやムンバイの都市部とはまた違って、超巨大な田舎なんですね。確かにレイプや殺人など凶悪な事件が多くて治安面では良いとは言えないのですが、まあ僕の住んでいたアーグラーはタージマハルがあるおかげでまだマシだったと思います。    

 

―そうでしたか…。防犯意識が鍛えられそうですね。ちなみに現地で印象に残ったことはありますか?

ベタですが、いろんな人の価値観や文化に触れることができたのがとても良かったと思います。インド文化に触れたというのはもちろんそうなんですが、とくに思い出深いのは寮でのことですね。外国人寮で僕はタイ出身の学生と一緒に同居していました。あとは韓国やバングラデシュ出身の人たちもいました。寮ではある程度協調して生活しなければいけないので、多文化共生を間近に体験できて、価値観を少しアップデートできたと思います。

 

―インド留学に行きたいと思っている人へ向けて、誤訳さんからアドバイスはありますか?

そうですね、「インド留学は慣れと忍耐が全て」ってことですかね。インドの生活に耐えられず、1,2週間で帰ってしまったヨーロッパの学生も見ました。でも「忍耐」ってずるい言葉じゃないですか。我慢しろとか、他人から言われるととてもずるい使われ方をしますよね。それでも、ある程度自分の中で定まった目標だったり、その環境に飛び込んで溶け込める力を持っていれば、もしかしたらインド留学はハマる人にはハマるし、もちろんそうじゃない人もいるかもしれませんが、ハマる人にとっては何にも代えがたいすっごく楽しい経験になると思います。

 

―インドって日本とあまりにも文化が違いますし、その違いを受け入れて自分から楽しんでやる!くらいの心構えというかスタンスを持つことは大事かもしれませんね。誤訳さんは現地で比較的うまく適応されたのでしょうか?

いやあ、僕も苦労しましたよ。本当にいろんなバックグラウンドを持つ人たちが集まる環境だったので、全体としての「和」というのはいついかなる時もなかなか形成されなくて…他国から来た学生の言動がなかなか理解できず、悶々としたこともたしかにありました(笑) 時には迷惑をかけ合い、時には助け合い…というような関係でした。

 

―本当に貴重な経験ですね。

ところで、誤訳さんは現地での食事はどうしていたんですか?

寮で提供されていたご飯もありました。定番は芋のカレーとナンですね。味が薄いのでスパイスをケチってるのかなあなんて思いましたが(笑) 他にも、屋台で買ったりレストランで外食したりすることもありましたよ。

f:id:tufs_russialove:20210307025432p:plain

インド人の定番スナック「パニプリ」

f:id:tufs_russialove:20210307025452p:plain

カレーソースのかかったコロッケ「アールー・ティッキー」

f:id:tufs_russialove:20210307025721p:plain

タンドリーチキン、蒸し餃子「モモ」、インド風中華焼きそば

f:id:tufs_russialove:20210307025752p:plain

現地のバーガーキングにて マトン(羊)の肉を使ったハンバーガー

―美味しそうなものがたくさんあっていいですね!でも腹痛は覚悟していかなきゃですね(笑)

 

【ロシアとインド】

―ここからは、誤訳さんが研究されているインドと私の専攻しているロシアとの関わりについて考えていきたいと思います。

そういえばBRICSという言葉はもうあんまり聞かなくなりましたよね。国力としては中国がズバ抜けてしまいましたし。

 

―確かにそうですね(笑) 国際関係ではインドとロシアは反中国として共通しているという面がありますよね。

インドはやっぱりカシミール問題で国境を接している中国とも張り合うことが多いので、インド、パキスタン、中国はいつも三つ巴の戦い状態になってます。僕の留学時期以降、顕著だったのは、おそらくコロナウイルスの不安もあってか、インドでTik Tokなどの中華製アプリが禁止になったり、中国製品の打ちこわしが始まったりということが起きました。ですから今はかなり反中感情が厳しい状態だと思います。

一方で、インドのロシアに対する感情は友好的とも敵対的とも取れず…あんまりピンときませんね。全く接点がないわけではありませんが。特に以前は、政治指導者ネルーが親ソ連派の経済政策をとっていたので、立場や人によっては思うことはあるかもしれないですけど。

 

―なるほど…。ロシアとしては、例えば武器の輸出に関してインドはとても重要な相手国だと思います。

そうですよね。インド軍はロシアからミグやスホーイなどの戦闘機を購入しているんですよね。あと、リゾート地のゴアには毎年ロシア人の観光客が沢山来るらしく、街にはロシア語で書かれたレストランやバーの看板もあったりします。

f:id:tufs_russialove:20210307025842p:plain

ゴアにあるチベット料理のレストランの看板 英語とロシア語でメニューが書かれている

ゴアを歩いていたら、お店の人が「プリヴィエート」(ロシア語でこんにちは)と声をかけてきたりもしました。「僕のどこがロシア人だろう」と思いましたが(笑) あと、ニューデリーの日本食レストランに入った時にも、他のテーブルからロシア語が聞こえてきて、「なんで彼らはインドに来て日本料理を食ってるんだろう」なんて色々考えてしまいましたが、小さい男の子に「ヴィー ルースキエ?」(君たちはロシア人なの?)と聞くと、「ダー」(そうだよ)と答えてくれました。そのあと、ロシア人家族に僕が大学でロシア語をちょっと勉強していることをなんとかロシア語で伝えたりして、会話を楽しみました。

 

―すごいですね!それは留学に行かれた誤訳さんならではの経験ですね。

そうなんです。先ほどお話した、僕が住んでいた寮にもウズベキスタンやウクライナから来ていた人もいました。ウズベキスタンの女性がウズベキスタン料理のディムラマとロシア料理のピロシキを作ってくれたこともありました。

 

―私もインドとロシアのつながりについて、少し調べたのですが、現在よりはソ連の時代に遡ると色々と見えてきそうですね。

そうかもしれませんね。実は外大図書館には、ロシア語とインド諸言語の辞書がものすごい数あるんですよ。ソ連のアカデミーが出版したものなのですが、さすがソ連ですよね。

 

―それは知らなかったです!その辞書を揃えている外大もすごいですね(笑)

あと、ソ連でインド映画が流行っていたっていう記事を読みました。それこそ社会主義を学ぶためにインドのエリートがソ連に留学して、その際にもらたされたインド映画が一部の界隈で爆発的に人気になったそうです。

そうでしたか!へえ〜、たしかにインド映画って惹きつけるものがありますよね。誰が字幕をつけてるんだろう…。

 

―ロシアってあまり字幕の文化が馴染んでいなくて、外国映画は基本吹き替えなんですよね。だからおそらくインド映画もロシア語に吹き替えられて上映されているんだと思います。ラージ・カプールの出演していた「放浪者」という映画なんかは特に大ヒットしたそうです。

へえ〜、そうですか。地理的には距離が離れているので多くはありませんが、インドとロシアの繋がりも探せば意外と見つかりますね。

 

―そうですね。私ももっとインドについて知りたくなりました!

最後に、外大を目指している高校生やこれから外国語を勉強したいと思っている人に向けて、誤訳さんから何かメッセージを頂いてもいいですか?

「新しいことにチャレンジしてみよう」「新しい世界に飛び込んでみよう」ということに尽きますね。新型コロナのパンデミック後は様々な分野で変化が起きていて、ニューノーマルな世界なんて言われるように、なかなか外国へ行きにくい状況ではありますが、いつかまた海外へ往来できるようになる日が来るはずです。僕も今までインドのことを全然知らずに飛び込んだけれども、こんなに楽しかったですし、全く後悔はありません。もし仮に自分の選んだ専攻語でくじけて嫌だなって思うことがあったとしても、違う地域に行ってみたり、違う言語を学んでみたりすると、自分に合うものが見つかるかもしれないので、なんでも恐れずに飛び込んでみようということを伝えたいです。

 

―経験に裏付けされた重みのある言葉ですね。誤訳さん、今日は本当にありがとうございました!

いえいえ、僕もまだまだ未熟ですが頑張ります。こちらこそありがとうございました!

 

f:id:tufs_russialove:20210307030239p:plain

ガンジス川上流

文責:りお

(インタビュー実施日:2021年2月11日)

 

東京外大生にインタビュー!第14弾【ヒンディー語科編】〈前編〉

f:id:tufs_russialove:20210307012604p:plain

ヒンディー語科 誤訳流通センターさんへのインタビュー

 

皆さんこんにちは!

東京外大ロシア語専攻新4年のりおです。

 

今回は、東京外大ヒンディー語科4回生3年生の誤訳流通センターさんにインタビューをさせていただきました!初めてこのお名前を見たときは思わずクスッとしてしまいますが、外大生のTwitter利用者の中でも非常に有名な方なんです。

実は私も大学一年の時にボランティア事業でインドに行ったことがあるので、南アジア地域を専攻されている方から直に話を聞けるのをとても楽しみにしていました。

 

誤訳流通センターさんについて 2017年4月に東京外国語大学言語文化学部ヒンディー語科に入学。2019年冬に約一か月の短期留学と2019年秋〜2020年春に長期留学でそれぞれインドに滞在。南アジア文化のゼミに所属し、古代インドの宗教について研究されています。ちなみに、「誤訳流通センター」という名前はヒンディー語の講読の授業で誤訳を連発したことからつけたそうです(笑) センスが光っていますね!

 

ヒンディー語科について

外大生の間では「ヒン科」と省略して呼ばれることもあるヒンディー語科。ヒンドゥー語ではありません!誤訳流通センターさんの言語文化学部と国際社会学部合わせて約25名の中語科で、中高のクラスのように仲が良く、賑やかな雰囲気だそうです。

 

【大学生活】

―今日はよろしくお願いします!まず、誤訳流通センターさん(以下、誤訳さん)が外大に入り、ヒンディー語科を選んだ理由を教えてください。

外国語や異国の地に対する憧れが大きかったからです。また、世界史でインド史を学んだ時にインドの歴史・文化・言語などに興味を抱いて、言語文化学部ヒンディー科を志望しました。

 

―高校の世界史からなんですね。

きっと未知のものに惹かれたんですよね。例えばヨーロッパや中国の歴史は多くの日本人がすでに少しは知っているものですが、僕にとってインドはあまり馴染みがなく、カレーや牛といったようなイメージしかなかったので、大学でしっかり学ぶには面白いかもしれないと思いました。

 

―実際に入学してみてどうでしたか?思っていたのと違った点はありましたか?

ヒン科に限った話ではないですが、忙しすぎたのが驚きでした。入学前は世間の大学生はもっと暇なイメージがあったので、僕も大学生になればもう少し解放されるだろうと思ったのですが、あまりにもハードだったので「あれ、なんだこれは…」と思いました。

 

―南アジア地域の地域基礎が厳しいというのは外大生の中でも有名な話ですよね。

そうですね(笑) 地域基礎の授業で先生がお話しされた内容をみんなスマホで録音するんですよ。それを授業後に文字起こしして大筋をまとめて、だいたい毎週4000字くらいのレポートを提出するという感じです。

 

―一年生で毎週その文字数はかなりきついですね…。地域基礎の授業では具体的にどんなことを学ぶんですか?

インド含め南アジアの歴史や各国の成り立ちを教えてもらいます。具体的には、インドの宗主国イギリスが植民地時代にどんな政治政策を行ったか、言語というものに着目してどんな言語政策が取られたか、というような内容の回がありました。あとは南アジア各国の政治状態の話ですね。ヒン科の他にベンガル語科とウルドゥー語科の生徒も一緒に受講するので、扱う地域としてはインド、バングラデシュ、パキスタンがメインです。

 

―言語政策ですか。インドに関してはあまり聞き馴染みがありませんでした。

植民地時代の言語に関するルールから、独立後の諸言語の動きですね。例えば、イギリスが統治する過程でインドのことを知って後々のインド支配を円滑にするため、カルカッタに東インド会社の社員の子どもが通うエリート学校を作って、インドの諸言語(ヒンディー語、ウルドゥー語、ペルシャ語など)を学ばせていました。そこで勉強した人々が判事や裁判官になってインドの民事裁判に実際に介入するということがありましたね。独立後だと、ヒンディー語をインドの国語にしようとしたところ、インド南部の非ヒンディー語話者の人々が反対運動を起こしたため、それが原因でいざこざが起こることもありました。

 

―なるほど…。言語って社会を作っていく上でとても大事な要素なんですね。

 

―授業のお話に戻りますが、ヒンディー語の語学授業はどのように進みますか?

一年次で文法を叩き込んで二年から読解です。一年から二年は基本週5コマです。

 

―ヒンディー語の文字って日本人には馴染みのない不思議な形をしていますよね。覚えるのは大変じゃなかったですか?ええと、なんという文字を使うんでしたっけ…。

デーヴァナーガリーですね!入学して3、4週間はひたすら文字の練習でしたが、慣れてしまえば大丈夫です。

f:id:tufs_russialove:20210307014535p:plain

出典:https://indiamylover.com/2017/10/09/hindi2devanagari/

―ヒンディー語の授業も結構大変でしたか?

先生によりますね。テストを重視する先生の授業では僕は単位を取るのに少し苦労しました。一年生のうちは二人の日本人の先生から文法をしっかり習い、もう一人のネイティブの先生から実践的な会話を習います。やはり多くの人が苦労するのは文法なのかなと思いますね。

 

―文法って気合いですよね(笑) ちなみに二年生の読解ではどのようなテクストを読むのでしょうか?    

先生が現地で手に入れた新聞や雑誌を読みます。僕はバインダーに入れて自分の訳と先生の訳と照らし合わせて見れるように保存しています。(記事を指して)例えば、これは「数字の中に埋もれたトイレたち」というタイトルの記事です。役人は国のトイレ事業をもう完了したというんですが、本当はインドではまだまだ普及していなくて、やっつけ仕事で取り付けられたトイレが多いんですよね。こういう社会問題や現代のニュースの内容をヒンディー語を学びながら知れるので面白いですね。

他にも、(他の記事を指して)これは「手からこぼれ落ちるタージマハル」というタイトルの記事です。世界遺産のタージマハルはとても綺麗に見えますが意外と汚かったりどこか壊れていたりしてガタガタなんですよね。

 

f:id:tufs_russialove:20210307013120p:plain

タージマハル

―語学をしながらインドの内情を知ることもできるんですね!ちなみに、文学作品は読むことはないんですか?ロシア語科では二年生の講読でロシア語の短い文学作品を翻訳する授業もあったのですが、ロシアと同様にインドも文学が盛んな国というイメージがありますが。

そうですね。文学は別の先生の授業で少し読みますが、本格的なヒンディー文学を読む授業は三年生以上に開講されています。もちろん文学作品を原語で読めるに越したことはないと思うのですが、どちらかというとヒンディー語科で力を入れているのは現代も通じる共通標準ヒンディー語なのかもしれませんね。

 

―では少し話を変えて、ヒンディー語科の全体の雰囲気はどんな感じですか?

25人位の中語科なので、中高のクラスのような雰囲気です。外語祭の料理店や語劇では時々揉めることもありましたが、なんとかみんなで乗り越えてこれたと思います。一年生の時の料理店では、もっと人数の少ない語科に比べればまだ余裕はあるだろうと思っていたのですが。カレーを作り続けるのにこんなに人が必要だったとは…と(笑)

 

―そうですよね!(笑) 語科によって人数の差は結構ありますよね。

ところで、誤訳さんは教養外国語(略して「教外」。他の大学でいう第二外国語)でロシア語を取っていらっしゃったんですよね。ロシアに興味を持っていただいて、なんだか私も嬉しいです。

そうですね。ロシア語を教外で選択していた人はモンゴル、チェコ、ポーランドあたりの語科が多いので、僕は珍しいかもしれません。ヒン科で教外をとるとすれば、中国語、朝鮮語、スペイン語が人気です。

 

―他にも、語科と関係なく、外大の授業で面白かったものはありますか?

ロシア絵画の授業は、僕にとって新鮮なことばかりで面白かったです。

 

―ロシア絵画の授業を履修されていたんですね!私も同じ授業を取っていました。

3年生以上の選択科目は専門性が高いものが多いんですが、この授業は「ロシア絵画入門」ということだったので、これなら素人の僕でも大丈夫そうだと思って取ってみました。

 

―ちなみに、授業で紹介された中で誤訳さんが気に入られた画家や作品はありましたか?

そうですね、ヴルーベリのデーモンという作品シリーズは良かったですねえ。不思議なタッチですよね。リトアニアの画家チュルリョーニスの明るい黄色い絵なんかも素敵だと思ったのですが、ヴルーベリのデーモンはそのおぞましさがむしろいいなと感じました。

(著作権の関係でここでは掲載できませんが、ぜひ画像検索してその雰囲気を味わってみてください。)

 

―それでは、誤訳さんは現在就活中ということで、インドに関わる仕事についても少しお聞きしたいと思います。日本の学生が将来インドと関わる仕事に就きたいと思ったときに、具体的にはどのような分野や業界の仕事が挙げられるのでしょうか?

政治面で関わりたいならば、外務省職員か、または現地に滞在できる新聞社や放送局の支部の職員があります。他の民間企業では、鉄鋼の専門商社、海運業の会社、データサイエンスのマーケティング会社、航空会社、旅行会社、食品会社など…本当に多岐にわたる業界がインドに進出しています。例えば、デリー近郊のグルガーオンという町には、日本企業がたくさんあることで知られています。ですから、自分のやりたいことの軸が一つでも定まっていれば、必ずインドに通じる道があるんじゃないかと僕は思いますね。夢が広がりますよね。

 

―そうなんですね!私はロシアに進出している会社を少し知っていますが、インドの場合ほど数は多くないと思います。ちなみに、インドでのビジネスについて私も少し調べたのですが、ヒンディー語よりも英語ができたほうがいいという話が多くありますよね。

インドの日本人駐在員の方は基本業務は英語のみでやっていけてるので、英語ができればそれに越したことはないと僕も思います。ヒンディー語をやってきた身としては、彼らもヒンディー語を少しできるといいのかな、なんて思うこともありますけどね。

 

【ゼミ】

―誤訳さんはどんなゼミに所属されているのですか?

中世ヒンディー文学ゼミに所属しています。実際に作品を読んだり、学生の卒論研究の経過発表をするという感じで、各々の研究テーマは中世ヒンディー文学に限らず、さまざまです。僕は主にインドの宗教や風俗に関することを研究しています。

 

―卒論はどのような内容を書く予定ですか?

僕は、古代インドのバラモン教とそこから派生した仏教、さらにその仏教が日本にやってきてからの日本の死生観の変化や、インドから伝えられた閻魔(エンマ)様の姿の変化を追っています。誰にでも訪れる死や死後の世界の理解のために、自分なりにアプローチできればと思っています。

 

―なるほど。日本と関わりのあるものを研究するというのは、日本人ならではの観点でしょうから独自性があって素敵ですね。

現地文献も読めればいいのですが、日本ですでに研究されてる文献も多いので、取り掛かりやすい面もあります。なかなかダークなトピックですが、以前から死後の世界に興味があったので、どうせなら研究してみたいと思ってこのテーマを立ててみました。同期の友人は、サーリーなどインドの服飾文化、仏教、祭典・儀礼の研究をしている人もいますね。

 

―実は私も以前にインド文学基礎という授業をとっていたんです。サンスクリット文学はそれまで全く知らなかったのですが、新鮮ですごく勉強になりました。(外大では、このように専攻地域ではない地域に関する授業を自分で選んで履修することもできます。)

そうでしたか!興味を持ってくださって僕も嬉しいです。

 

☆次回!ヒンディー語科後編!

-圧倒?安全?インド留学について!

-チベット料理のレストランにロシア語!インドとロシアの意外な関係に迫ります!

 

文責:りお

(インタビュー実施日:2021年2月11日) 

 

東京外大生にインタビュー!第13弾【ベトナム語科編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20210306143738p:plain

 ベトナム語科 堀さんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【学びについて】

―所属しているゼミと、入った理由、勉強している内容を教えてください。

コミュニティ通訳ゼミに所属しています。コミュニティ通訳とは医療通訳、司法通訳、学校通訳、司法通訳など、日本に住む外国人の生活に必要となる通訳です。入った理由は日本で生活する外国人が増えているにもかかわらず、少数言語でのサポート体制が整っていないことに問題を感じたからです。日本において多文化共生社会をつくるため何が必要なのか学びたくこのゼミに入りました。

 

―なるほど。現在の日本では少数言語でのサポート体制が整っていないということに気づいていない人がまだ多いと思いますが、堀さんがこの問題に気づいたきっかけは何ですか。

きっかけは、日本語を話すことが出来ないベトナム人の先生が税務署に用事があるというので、それについていったことです。通訳は全然出来なかったけど、なんとか先生に意味を伝えることが出来ました。この時に、日本語がわからない外国人が結構いるのに、マイナー言語を勉強していたり、通訳できたりする人が少ないんだろうなと改めて思いました。これだと外国の方が困ってしまうだろうなと実際に感じ、改善されたらいいなと思いました。

 

―確かにそうですね。また、多文化共生社会を作るのに私達日本人が一番大切な意識、心構えは何だと思いますか。

興味を持つことがまず一番大事かなと思います。コロナ禍においては、自分のことばかりになってしまうことがあるとは思いますが、他に困っている人は誰なのか、どういう人がいるのかということに目を向ければ、外国人の存在を知ることができると思います。実際に通訳できる人は少ないかもしれないですが、意識が変わるだけで彼らの安心感が変わるのではないかと思います。

 

―素敵な考えですね。話を少し元に戻しますが、ゼミで勉強しているテーマの面白さを教えてください。

色んな語科の学生がいるので、それぞれの地域の特色を見ながら日本の多文化共生について考えることができます。またゼミ生はゼミの授業以外にも、選択科目の通訳演習の授業と、市役所と連携して外国人のための生活便利帳を作成する授業を並行して履修します。教科書の内容に加え、より現場に近い視点で学べるのも魅力の一つです。ちなみに、生活便利帳というのは学生がつくる外国人のための冊子です。テーマは毎年府中市役所の方から提案があり、年によって様々ですが、今年は外国人のための部屋探しガイドブックというのを作りました。部屋を探す段階から契約・入居までの過程をやさしい日本語で説明してあります。完成したものは実際に府中市に置いてもらいます。

 

――かなり実践的ですね!卒論ではどのような内容を書く予定ですか。

技能実習現場での「やさしい日本語」の使用について研究しようと思っています。やさしい日本語というのは、例えば津波が来そうなときに、「津波が来そうなのでどこどこに避難してください」のような日本語ではなく、ひらがなで「つなみにげて」と表記するというように、日本語が少ししかわからない外国人にも理解できるような、わかりやすい日本語のことです。現在、これをどんどん使っていきましょうという動きが進められています。

そして、技能実習生の日本語のレベルは様々なので、受け入れ側である日本人も分かりやすい日本語を使う必要があると考えています。そこで、災害時のメディアによる活用などで注目が高まっている「やさしい日本語」の使用を技能実習現場でも進めていく方法やそのメリットについて調査する予定です。

 

―「やさしい日本語」を作成する上でどんなところが難しいと感じますか。

人によってわかりやすさが違うので、誰にでもわかるような日本語を書くのが難しいです。また、日本人がそれを作ろうとすると本当にわかりやすいのかの判断が大変で、客観的に書くのが難しいです。そのため、実際に外国人にチェックしてもらったりします。

 

【留学について】

―留学や旅行に行ったことはありますか

ショートビジットに2回、スタディーツアーに1回参加しました。

ショートビジットでは1年の夏にベトナム、2年の冬にアメリカ、スタディーツアーでは1年の冬にウズベキスタンに行きました。

 

―すごい!ウズベキスタンは中央アジア地域にあるロシアとの関わりが深い国なので、急に出てきてびっくりしました!どうしてウズベキスタンのスタディーツアーに参加したのですか。

親戚並みに親しいウズベク人の知り合いがいて、その人から色んなウズベキスタンの話を聞いていたので、いつか行きたいと思っていました。外大に入学して、ウズベキスタンでのプログラムがあったので実際に行こうと思いました。

 

―なんだかこれも運命的ですね!特に印象に残った思い出や場所はありますか?行ってみて印象が変わった点はありますか?

ウズベキスタンに実際に行ってみると、まずサマルカンドで建造物のスケールの大きさに圧倒されました。サマルカンドブルーの青くて綺麗な建物にとても感動しました。また、そこで交流した日本語を学んでいる現地の学生が一回の発言の中にウズベク語とロシア語、英語、日本語を混ぜて話していたことに驚きました。ウズベキスタンではウズベク語やロシア語など複数の言語を使う人が多いと聞いていましたが、一度に混ぜて使うとは思っていませんでした。

 

f:id:tufs_russialove:20210304011300p:plain

サマルカンドにあるレギスタン広場

 

また、ベトナムも印象深いです。特に印象に残っているのは、ハノイに一ヵ月行ったのですが、その間に少し山奥のサパというところに行ったことです。サパは少数民族が多い地域で、そこに住む少数民族は着ている服や言葉もハノイの人たちと全然違っていました。ハノイに戻ってから、民族博物館に行ったのですが、ベトナムには54の少数民族がいることを知りました。ちなみに、サパにいる少数民族の方たちと会話するときはベトナム語を用いました。少数民族の人たちはベトナム語と少数民族の言語を両方理解できるのだと思います。

 

f:id:tufs_russialove:20210304011413p:plain

サパ(少数民族のナイトマーケット)

 

あと、一番慣れなかったのは値引き交渉です。市場とかでベトナム人は頑張って値引きして買い物をします。外大の授業の教科書でも値引き交渉の例文が載っているくらいです。日本人の友達も値引きに挑戦したのですが、凄く下の値段を言ったらブチ切れられてしまい怖くて買い物できませんでした(笑)

 

―日本だと値引きをすることって全然ないので加減がわからないですよね。ところで、現地の人々の様子を教えてください!どのような人が住んでいますか。

ウズベキスタンはとても落ち着いていて、治安の良い国だと感じました。学生など現地の人と結構交流をしたのですが、皆優しかったです。料理とダンスが上手なイメージです。あとはイスラム教徒が多い国ですが、宗教についてそこまで厳しい印象はなく、人それぞれという感じだった気がします。

ベトナムは若い人が多いので元気に溢れていました。ベトナムはサッカーが人気なのですが、応援とかも見ていてすごいです。みんな赤いシャツを着て、うわーーーって。エネルギーが凄いです。

 

f:id:tufs_russialove:20210304011607p:plain

ホーチミンの歩行者天国

 

【地域について】

―ベトナム地域を勉強する最初の一冊となるようなおすすめの本はありますか。

地域基礎の教科書となる『現代ベトナムを知る60章』が、歴史や社会、文化を網羅した内容で良いと思います。今でもベトナムについて調べるときは参考にすることが良くあります。特に印象に残っているページは、食文化のところです。ベトナムの人は暑い食べ物と涼しい食べ物でバランスをとるようで、どちらかに偏っていても体に悪いとされているそうです。そもそも食べ物を暑い・涼しいで分けたことが無かったので面白かったです。

 

f:id:tufs_russialove:20210304011748p:plain

ショートビジット中に先生と一緒に作ったベトナム料理

 

―とてもユニークな概念ですね!次に、ベトナムの音楽や絵画、文学、映画、アニメで有名なものを教えてください。

音楽は、ソントゥンM-TPという男性歌手が非常に人気です。同期にも彼の大ファンがいます。また、たまに日本でもベトナムの映画が公開されています。私はあまりベトナムの映画を観たことがありませんが、この前Amazonで「Tam Cam」というベトナム版シンデレラと言われている伝説を豪華に映画化された作品を観ました。

 

↓ソントゥンM-TPさんの公式YouTubeチャンネルで最も多く再生された曲のリンクです!

https://youtu.be/knW7-x7Y7RE

 

―ベトナム版シンデレラ!かなり気になります!話が変わりますが、近年のベトナムの政治・経済の状況を教えてください。

ベトナムはコロナ対策が成功している国です。かなり初期のころから海外からの渡航者の受け入れを止めていました。そのおかげで、感染者は1月に少し出ましたが、1月末から現在まで市中感染者はゼロです。去年もずっとそのような感じでした。これは、一党体制の社会主義国だからできることかなとも思います。

経済も急成長を遂げています。この要因としては、やはり海外からの投資が大きいのではないかと思います。

 

【ロシア×ベトナム】

 歴史、文字、文化、近年の政治・経済など、ベトナムとロシアの関わりについて知っている情報はなにかありますか。

サッカーのアジアカップで活躍したベトナム代表のゴールキーパーのダンバンラム選手がロシアとのハーフだそうです。日本対ベトナムの試合で、誰もが日本勝つだろって思っていましたが、ダンバンラム選手が好セーブをしていたのが話題になりました。

 

ダンバンラム選手はなんと今年の1月末からセレッソ大阪に所属し始めたようです!とてもタイムリー!ベトナム語科とロシア語科が一丸となって彼を応援したいですね!

 

 

―本日は長々と質問にお付き合いいただきありがとうございました!最後に何か一言あればお願いいたします。

学部や語科の魅力が伝わればいいなあと思います!また、沢山の経験ができる大学なので色んなことを楽しんでもらえればなと思います!

 

 

改めて堀さん興味深いお話を本当にありがとうございました!

堀さんのお話を伺っていてベトナムにまた行きたくなりました!

 

しかし現在の状況では行けないので、代わりにおすすめのベトナム料理店を教えていただきました!堀さんおすすめは池袋にある「フォーティン」というフォーの専門店だそうです!

 

↓お店のホームページ

https://phothin.co.jp/

 

f:id:tufs_russialove:20210304012123p:plain

 

美味しそうですね!!早く食べに行きたいです!(^^)!

 

それではпока(パカー)!さようなら!

 

文責:芝元さや香

(インタビュー実施日:2021年2月19日)

 

【お知らせ】

現在、堀さんはCOVID-19多言語支援プロジェクトに参加しています。外国人のお知り合いがいらっしゃる方は、ぜひこのプロジェクトの共有をお願いします!

↓ホームページ

https://covid19-tagengo.com/

 

東京外大生にインタビュー!第13弾【ベトナム語科編】〈前編〉

f:id:tufs_russialove:20210306143515p:plain

ベトナム語科 堀さんへのインタビュー

 

Здравствуйте (ズドラーストヴィチェ)!こんにちは!

国際社会学部ロシア専攻3年の芝元です!

 

他語科とコラボ企画ということで、今回私はベトナム語科の堀さんにお話を聞いてきました。

 

私は高校生の時に家族旅行でベトナムに数日間行ったことがあったり、サハリンに留学した際にお店のおばさんに「あなたベトナム人?」と言われたこともあったりして、勝手にベトナムに親しみを覚えていたので、今回詳しくお話を聞くのが楽しみです✨

 

掘さんについて 2018年4月に東京外国語大学言語文化学部ベトナム語専攻に入学。現在3年生。1年の夏にベトナムへ、冬にウズベキスタンへ、2年生の冬にアメリカへ留学経験あり。大学ではバドミントン部に所属していて、先日引退されたそうです。

 

ベトナム語科について

ベトナム語科には、言語文化学部・国際社会学部合わせて1学年あたり15人ほどの学生が在籍しています。堀さんの代は全員で15人で、男女比は7:8だそうです。例年だと女子が多いので、堀さんの代は珍しいとのことです!

                 

【学生生活について】  

―初めまして!本日はよろしくお願いします。まず初めに、外大に入った理由と、なぜベトナム語科にしたか、学部はどうやって決めたかを教えてください。

英語が好きで、外国語を大学でも勉強したいと思い、外大を志望しました。ベトナム語にした理由は、近年日本に住むベトナム人が増えているので、勉強することで何か役に立つのではないかと思ったからです。

学部は、国際的な情勢よりも様々な地域の文化やコミュニケーションを深く学びたいと思っていたので言語文化学部に決めました。

 

―そうなんですね!近年、ベトナム以外のアジアの国からの移住者も多いと思いますが、ベトナムにした具体的な理由は何かありますか。

これまでベトナムとの縁が深いと感じることが多かったからです!小学校の時に初めて海外旅行に行ったのがベトナムだったり、知り合いがベトナム料理店を経営していたり、親戚もみんなベトナムに行ったことがあったりしていて、ベトナムが印象に残っていました。近年ではベトナム人技能実習生などのベトナムに関するニュースもよく耳にするようになったので、これは勉強しろってことなのかと思いました。

 

―運命的で素敵ですね!ところで、ベトナム語科に実際に入ってみてどうでしたか。思っていたことと違った!ということはありましたか。

少人数で授業を受けることが初めてだったので、想像以上に自由な雰囲気で驚きました。ちなみに、ベトナム語科は小語科ということもありとてもアットホームです!特に縦の繋がりの強さが特徴的だと思います。同期や先輩後輩、教授まで、皆仲良しです!コロナ前だと教授も含めてベトナム専攻全体で年に5回くらい飲み会が開かれていました。

   

―とても楽しそうですね!そんなベトナム語科に入って良かったと思うことは何ですか。

まず、先ほど述べた通り縦の繋がりが強いことです!留学やゼミの相談など気軽に乗ってもらえます。また、ベトナム語科は1年生の夏学期に全員ハノイへショートビジット(※短期留学)に行くので、現地の雰囲気を早くから感じられたことはその後の勉強のモチベーションにもなりました。大学以外でもベトナム人の留学生や技能実習生など、ネイティブと関われる機会が多く、勉強したことが実践できる環境があるのも良かったです。

   

―なるほど! 逆に、入って後悔したことや辛かったことはありますか。

後悔したことは特にありません。ただ、ベトナム語は声調が6つもあり、発音がとても難しいので、それに慣れるまでは授業についていくことが大変でした。聞く側としては、声調を間違えて聞き取ってしまうと全然違う単語になってしまったり、音が聞こえても全然意味がわからなかったりします。話す側としても、自分が合っていると思って話しても、ネイティブにとっては違っていて、正確に発音しないと意味が通じないです。

   

―声調は本当に難しそうです。ところで、言語の勉強はどのように進みますか。

1年生は発音と簡単な文法が中心です。特に春学期のネイティブの先生の授業ではひたすら発音練習の繰り返しで、ひとりひとり正しい発音が出来るまで当てられ続けました。

2年生では新聞記事の読解の授業があり、そこでは先生が細かく文法事項を説明してくれます。また、様々な素材を使った聴解の授業が始まります。会話の授業でもより幅広い表現を学びます。

3、4年生では新聞記事の翻訳も学びます。この授業は週に1回なのですが、そこでは1人ひとつの担当記事を決めて、それを1週間の間に訳します。訳し終わったものは、ネイティブの先生が校閲して外大のホームページに載ります。

 

↓「東南アジアの新聞」からお読みいただけます!

TUFS MEDIA 日本語で読む世界のメディア -東京外国語大学-

   

―ベトナム語や東南アジア地域関連で最も面白い授業は何ですか。

1年生の春学期に受講した東南アジアの地域基礎が面白かったです。東南アジアは文化や歴史、宗教などそれぞれの国に違った特徴があります。インドネシア語科の先生が講義した次の週はカンボジア語科の先生が講義する、というようにリレー形式で一つひとつの国や地域について学べたので、毎回印象的でした。この授業を取ったことで、ひとつひとつ特徴が違うとはいえ、島国系は似ている文化があったり、タイ・ラオスは文字が似ていたりと結構グループ化されている東南アジアのなかで、ベトナムは唯一中国の影響が大きかった国だと知り、東南アジアの中でも特殊な国だということに気づきました。

 

―1つの授業で様々な国について知れるのは良いですよね。次に、語科と関係なく、外大の授業で面白かったものを教えてください!

体育の民族舞踊の授業です。日本の盆踊りを、毎回浴衣を着て練習しました。自分で浴衣を着られるようになったことが嬉しかったです。踊りも未だに覚えています!また民族舞踊関連ですが、ベトナムでは帽子を使って踊ったりします。外大にはベトナム民族舞踊サークルがあるので、ぜひ外語祭など機会があれば観てみてください。

 

―ベトナム民族舞踊、観てみたいです!ところで、今現在、ベトナムに関わる活動や仕事をしていますか。している場合、どのようなきっかけで始めましたか。

今はしていませんが、夏休みにベトナム人技能実習生の試験勉強を手伝うボランティアに参加しました。語科のLINEグループで募集がなされ、勉強したことが役に立つかもしれないと思い応募しました。技能実習生の目的というのは簡潔に言うと、海外から日本に来て、建設や農業等の実習で技術を身につけた後、帰国して母国の発展に役に立てることです。近年、日本も人材不足なのでWin-Winなはずですが、ニュースで報道されるように様々な問題もあります。

 

―そうなんですね!具体的にはどのような活動をしましたか。

具体的には、資格試験の勉強でわからない日本語の意味を説明したり、一緒に料理したりしました。初めて技能実習生と知り合ったので、新たに知ることが沢山ありました。また、彼らは、自転車の修理もすぐやってくれるなどなんでも器用にやっていました。料理も上手で、にんじんの皮むきの際にはピーラーとまな板を使わずにやっていて驚きました。しかし、そのような彼らも日本語には結構苦労していました。

他にも、日本に来たばかりで14日間隔離しなければならないベトナム人実習生たちにzoomで日本語を教えるという活動にも参加しました。多い時には実習生が20~30人、日本人がその半分くらい参加していて、ブレークアウトセッションを使って1人が2人の実習生に日本語を教えていました。

 

―貴重な体験ですね!話が大きく変わりますが、語科の卒業生はどのような進路に進む方が多いですか。また、将来やってみたい仕事や夢はありますか。

あまり詳しくは知りませんが、メーカーやコンサルなど様々だと思います。私自身は、ざっくりですがメーカーなどでベトナムや東南アジアと繋がりが持てる仕事をしたいと思っています。もしチャンスがあれば、ベトナム語を使った仕事もしてみたいと思います。

 

―なるほど!ちなみにベトナムではどんな日本のメーカーをよく見かけますか?

ベトナムはバイクが多いので、HONDAとかYAMAHAをよく見かけます。あとは、建設機械のメーカーも近年ではどんどん使われていると思います。

 

f:id:tufs_russialove:20210304004502p:plain

ハノイの街並み

   

☆次回!ベトナム語科後編!

―コミュニティ通訳ゼミとは?外大生が実践する多言語サポートの世界!

―ベトナム、アメリカ、ウズベキスタン!留学で見た現地のお話!

 

文責:芝元さや香

(インタビュー実施日:2021年2月19日)

 

↓後編はこちらよりどうぞ 

tufs-russialove.hatenablog.com

 

東京外大生にインタビュー!第12弾【ベンガル語科編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20210306143151p:plain

ベンガル語科 ほのかさんへのインタビュー

 

↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

  

【留学について・現地での経験】

 ―コルカタに行った時の話を聞きたい!ショートビジット?

 そう、二年生の時にショートビジットで行った!バングラデシュには行ったことがない。ショートビジットやスタディツアーで今までにカンボジアやネパールにも行ったけど、個人的にはコルカタが一番楽しかったな。コルカタだけ言葉が通じたからかもしれないけど(笑)

 

―現地で特に印象に残ったことはある? 

コルカタでは、ベンガル語を喋ったら現地の人がとても喜んでくれて嬉しかったな。ベンガル地域の人たちは、すごくベンガル語を大切にしているんだって。私が行ったのはインドのコルカタ(インド西部)だけど、バングラデシュではベンガル語が国語として、それこそベンガル人のアイデンティティとして本当に大事にされてる 。バングラデシュはパキスタンから分離独立した国だけど、当時の西パキスタン(現在のパキスタン)と東パキスタン(現在のバングラデシュ)の対立には言語の違いという面もあって。当時、西パキスタン側の方が力が強くて東パキスタンの方が西側に支配されているような状況だったんだけど、西パキスタンがウルドゥー語を共通の国語にしようとすると、ベンガル語を母語とする人が多く住む東パキスタンはすごく反発したみたい。実際、ウルドゥー語とベンガル語は単語に重なりはあっても異なる言語だからね。

 

他に印象に残ったことといえば、私が出会ったベンガル人はみんなお喋り好きだったということかな!日本だと大人しい印象だったネイティブの先生が、一緒にショートビジットでコルカタに行ったらすごく活き活きとし始めたのもすごく覚えてる(笑)

 

あとは、現地にたくさんあった屋台も。食べ歩きできる軽食を売っているお店が多くて、どれも本当においしいの!何より、お店のおばちゃんやお客さんたちとのフレンドリーな交流が一番の思い出になったな。実はこういう屋台は、仕事を探して都市部に出てきたけど就職できなかった農村出身者や、都市部で失業した人たちが違法でお店をやっている場合が多いらしくて、そのことは日本に帰ってきてから知ったよ。そういう背景と、1か月で虜にされた屋台の魅力についてフィールドワークをして、卒論にしたいと思ってた。

 

 

―屋台についてフィールドワークできたらすごくいい研究になりそう。いつか絶対に行けるといいね。

あと、屋台の食べ物について、具体的にもっと知りたい!

(ということで、写真を見せてもらいました!) 

f:id:tufs_russialove:20210302010323p:plain

スナック菓子のお店のショーケース

f:id:tufs_russialove:20210302010356p:plain

ジラピ(生地をぐるぐるにして揚げてシロップに浸したもの)

f:id:tufs_russialove:20210302010502p:plain

エッグロール(揚げ焼きした生地の中に野菜と卵焼きが入っている)

f:id:tufs_russialove:20210302010532p:plain

チャー(日本でいうチャイのこと、甘さやスパイスの量などが店によって異なる。土のカップに入っており、飲み終わったら割って捨てる)

―美味しそう~~!そういえば、現地の人の主食って何?普段よく食べているものは?

主食はお米!バングラデシュはお米の消費量が世界一。あとよく出てくるのは豆のカレー。川魚も結構食べたりする。お肉だと羊(マトン)が多い!

 

―バングラデシュがお米の消費量が一番多いのは知らなかった!!

 

【ベンガル地域について】

―ベンガル地域のことを勉強するにあたって、何かおすすめの本はある?

ニューエクスプレスがおすすめ!文化的なことも色々書いてあるよ。

ニューエクスプレスプラス ベンガル語《CD付》 | 丹羽 京子 |本 | 通販 | Amazon

 

―ベンガル地域の文学や音楽で有名なものは?

伝統的なベンガル文学や音楽では、とにかくタゴールの作品が有名!アジア人初のノーベル賞受賞者だし、インド国歌の作詞・作曲者でもある!あと、音楽では、エクタラっていう一本の弦を張った楽器がある!

 

―タゴールの名前は知っていたけれど、てっきり小説家だと思ってた…。詩を書いたり作曲をしたり、本当に多彩な方なんだね!知らなかった…!

(気になった方はこちらをチェック→ラビンドラナート・タゴール - Wikipedia

ちなみに、他にこのあたりの地域で有名人といえばどんな人がいる?

この間亡くなった俳優のショウミットロ・チョットパッタエとかかな。タゴールは本当にすごい人だよね。

 

―最近のバングラデシュの政治や経済の状況はどんな感じ?

1971年に独立して、当時は「アジアで一番貧しい国」って言われていたけど、1990年代からは縫製業を中心に急激な経済成長を遂げているよ!服のタグを見ると、結構バングラデシュ製のことも多いかも。ただ、ファストファッションの下請けを主にやっているから、労働環境がかなり悪いみたい…。狭い建物で多くの労働者を働かせていたら、人とミシンの重みで建物が崩壊してしまった事故も2013年に起こって(ダッカ近郊ビル崩落事故 - Wikipedia)。この事故以降は少し労働環境が見直され始めているみたいだけど、それでもなかなか…。

 

―アパレル産業はそのあたりで問題を抱えているよね…。でもバングラデシュでそんな大きな事故が起こっていたなんて知らなかった。早くもっと改善されて欲しいな。

政治の状況はどんな感じ?

まず国内政治では、バングラデシュには二つの大きな政党があって、その二つが対立してる。今は、アワミ連盟っていう政党の方が与党で落ち着いている感じ。国際関係では、最近ではミャンマーからの難民であるロヒンギャの問題が大変。バングラデシュはかなり難民を受け入れているんだけど、数が増えすぎて対応しきれなくなってきたみたい…。

  

―今はミャンマーが大変なことになってるよね。

本当にね。ロヒンギャについても、すごく複雑で。ロヒンギャの人って国籍がないんだよ。あまりに複雑すぎて詳しい歴史は私もよく分かっていないんだけど、とにかく、どこの国の人たちからも認められていなくて行き場がないっていう状況。ミャンマーではミャンマー人じゃないって迫害されて、バングラデシュに逃げて来るんだけど、バングラデシュにしてみれば、「ミャンマーに帰るべき人たち」なわけで。

 

―インタビューの前に、ロシアとバングラデシュで何かつながりがないかなと思って調べてみたら、「バングラデシュ初の原子力発電所にロシアが燃料を供給する」っていうニュースが出てきたんだよね。ロシアとバングラデシュの繋がりと言えば実際そのくらいしかなさそう…(笑)

個人的に、バングラデシュは資源を持たない国っていうイメージがあるんだけど、そのあたりは周辺の国から頼っているのかな。

そうなんだ、知らなかった!たしかに、電力供給に関わる資源が豊かなイメージはないな。周辺国についていえば、すぐ近くにインドと中国があって、特に中国との関係は現首相によって強化されているよ。あと、金銭的にという意味なら、日本もかなりバングラデシュに支援しているよ。借款という形ではあるけど。

 

(※後ほど調べてみたところ、バングラデシュは国産の天然ガスを主なエネルギー源としていました。ですが、年々採掘量は減少傾向にあるようで、輸入も増えているようです。天然ガスの輸入を開始(バングラデシュ) | ビジネス短信 - ジェトロ (jetro.go.jp)

 

―確かにバングラデシュはインドにも中国にもすごく近いよね!

 

今まで高校の世界史で少し触れたくらいだったバングラデシュやベンガルについて、今回のインタビューを通して知ることができ、とても勉強になりました!

個人的には、タゴールの多彩さに圧倒されました。作曲こそしませんが、ロシアだとプーシキンが似たような立場の存在かもしれませんね!

ほのかさん、インタビューに応じてくださって本当にありがとうございました!

 

 

文責:R

(インタビュー実施日:2021年2月13日)

 

東京外大生にインタビュー!第12弾【ベンガル語科編】〈前編〉

f:id:tufs_russialove:20210306143022p:plain

ベンガル語科 ほのかさんへのインタビュー

 

こんにちは!国際社会学部ロシア地域専攻3年(新4年)のRです。

 

3月から、「外大生にインタビュー!」企画の第二弾が始まります!!

前回(昨年10月)の第一弾では、主にロシアと関連の深い地域を中心に他語科の外大生にインタビューを行いました。今回はアジア地域を中心に、さまざまな語科の外大生からお話を伺っていきます!

第二弾の一発目はベンガル語科です!皆さま是非お楽しみください。

 

ほのかさんについて 東京外国語大学国際社会学部南アジア地域ベンガル語専攻3年。ゼミは文化人類学のゼミに所属。国際協力に興味があり、ボランティアサークルやバングラデシュ関連のインターンに参加するなど、積極的に自分のやりたい世界へ飛び込んでいっている方です!私(R)の部活の元同期で、今回インタビューをお願いしました。

 

ベンガル語科について

東京外国語大学のベンガル語科は、日本で唯一ベンガル語が学べる大学の専攻。語科の人数は十数名ほど。ベンガル語はバングラデシュとインドの西ベンガル州で用いられている言語で、バングラデシュでは国語に、インドでは州レベルの公用語に指定されている。話者数は2~3億人ほど。

 

【大学生活】 

―外大に入ろうと思ったきっかけや、語科を選んだ理由は?

東京の国立大学で、国際協力に関われそうな大学を探していて。国際協力をするのに相手国の言語を話せないのはダメだ!と思っていたから、国際協力について学びつつ、言語も学べる外大が魅力的に見えた!初めはアラビア語科志望だったけれど、アラビア語科はレベルが高くて厳しそうだったのと、受験直前にテレビでたまたまバングラデシュについてのドキュメンタリーを見て運命を感じたという出来事があって、ベンガル語科に変えたんだ。

 

―なるほど!偶然の出会いって素敵だね。実際にベンガル語科に入学してどうだった?語科の雰囲気は?

そこまで入学後にギャップを感じたりすることはなかったかな。語科の雰囲気は、私の学年は落ち着いている感じ。でも代によってけっこう違うよ。

 

―ベンガル語科に入って良かったことは?

まず、ベンガル語を学べる大学が日本で外大しかないっていうのが大きいかな。だから、大使館に招いてもらって大使のお話を聞くことができたり、ベンガル語の教科書(ニューエクスプレス)の著者本人からベンガル語を学ぶことができたりと、すごく貴重な経験がたくさん積める!

あとは、コルカタに行った時にベンガル語を話したら現地の人がものすごく喜んでくれて、それがとても嬉しかった!

 

―逆にベンガル語科に入って大変だったことはある?

日本語の辞書がないことかな。英語の辞書を使うんだけど、それが古くて、現地で今実際に使われている単語とは結構違うみたい…。実際、現地に行ったら辞書になかった言葉がたくさん使われてた。ベンガル語に対応している英単語も難しい単語が多くて苦労する!あと、ベンガル語はすごくたくさんの意味を持つ単語が多くて、辞書を引いてもよく分からないこともある(泣)

 

―辞書を引いても分からないのは大変だ…。外大では、ベンガル語の勉強はどんな感じで進むの?

一年生の時に一通り文法を学んで、それ以降は会話だったり講読だったり。ベンガル語は日本語と同じような語順だし、分かりやすいよ!単語を並べておけば結構なんとかなる(笑)あと、二年生のネイティブの授業では、外語祭でやる語劇の練習をやったりもする!

 

―語劇の練習を授業でやるんだ!いいね。文法が簡単なのは羨ましい…(ロシア語は難しい)。ベンガル語の授業とか、南アジア地域に関連する授業で面白かったものはある?

雑談がとっても面白い先生がいて好きだったんだけど、外大から離れてしまった…(泣)

あとは、ネイティブの先生の授業を受けていると突然「インド的」な風習を感じられることがあって、そういう意味で面白かったかな。以前、授業中に先生が学生の机に置いてあった水を突然飲み始めたことがあって、その時はすごくびっくりしたんだけど、コルカタに行ったら現地の人たちがごく普通に水をシェアしていて、「なるほど~」って思った。お店にも、すごく大きい水筒みたいなのがドンって置いてあって、それをみんなが自由に飲んでるの!インドでは飲み水が貴重だから、「水はみんなのもの」っていう意識がすごく強いみたい。それ以降も時々先生が学生の水を飲むことはあるけど、今ではもうみんな慣れた(笑)

 

―最初は本当にびっくりしそうだけど、実際に現地で文化の違いを感じたら慣れそうだね。

他に外大の授業で、ベンガル地域と関係なく面白かったものはある?

国際社会学部の授業で国際協力に関する授業があってすごく面白かったんだけど、これも先生が退官されてしまった…。

 

―それは残念…。ゼミではどんなことを勉強しているの?

私が入っているのは語科ゼミ(語科の学生が多く在籍する、専攻地域についてより深く学ぶゼミ)ではなくて文化人類学のゼミなんだけど、3年の春学期は文化人類学の研究の基礎としてフィールドワークの方法について学んで、秋学期はゼミ生がそれぞれ自分の興味のあることについて発表したよ。私のゼミには色んな語科の人が在籍していて、かつ皆の興味がバラバラなので、「そこに注目するんだ!」みたいな発見が毎回できてとっても面白かった!「マツコの知らない世界」を見ているような感覚。みんなの興味の対象がすごくニッチで。

 

―そうなんだ!面白そう~!ちなみに卒論のテーマについては何か考えてる?

ベンガル地域の屋台について、フィールドワークをして書きたかったけど、コロナでどうなるか分からないから模索中!

 

 

―バングラデシュやインドに関わることについて、何かサークルやボランティアなどで活動してる?

バングラデシュの国際協力に関するインターンに参加してる!今は現地に行けない代わりに、国際協力についてのワークショップをオンラインで開いたりしているよ。国際協力の経験から、そのマインドや手法を日本の中でも活かせないかなって。

 

―いいね!将来の夢や考えている進路はある?

教育系、福祉系、国際協力系の仕事に就きたいなと思っているけど、まだはっきりとは決まってない。あとは、コルカタに行った時に見た屋台みたいな小さなお店を経営したいなっていうのが将来の夢、というか野望として?あるかな。

 

―素敵な夢!ちなみに、ベンガル語科の人たちはどんな進路に進む人が多い?

バングラデシュに関係のある会社に就職する先輩もいるけど、ベンガルとは関係ない進路を選ぶ先輩の方が多いと思う。

   

☆次回!ベンガル語科後編!

現地で印象に残った屋台とは?留学体験について!

「アジアで一番貧しい国」からの脱却。バングラデシュの今!

 

文責:R

(インタビュー実施日:2021年2月13日)

 

↓後編はこちらよりどうぞ 

tufs-russialove.hatenablog.com

 

毎日がトレーニング!?整頓できない大学生編

こんばんは、そーにゃです。

 

今週はカバンの中身紹介ということで、学期中に自分がどのような装備で大学へ通っていたのか紹介したいと思います。

 

初めに言っておくと、私は整理整頓とか合理的とかそう言った類の言葉からは程遠い人間です。そのことを念頭においてご覧いただければと思います。

 

全体はこんな感じです

f:id:tufs_russialove:20210227210905j:plain


1. 教材・辞書・ノート類

f:id:tufs_russialove:20210227211001j:plain
授業で使う教科書や辞書に加えてノートを数冊、それから空き時間に勉強したり暇つぶしに眺めたりするための教材を日替わりで入れています。

専攻語であるロシア語は辞書も含めてほぼ常に携帯しているのですが、これがまた重いのなんの…

ロシア語以外の教材に関しては毎日こんな感じの選択肢の中から2,3冊ほど選んで持って行っています。

 

f:id:tufs_russialove:20210227211040j:plain
そんなに勉強してるの!?と思われるかもしれませんが、そんなにしていません。読みたい時に読める、たとえ読める時間や気力がなくても、万が一読みたくなった時に手元にある、という安心感のために携帯している感じです。あとまあ筋トレにもなります。

教科書を使わずにプリントが配られる授業などもありますが、その時にはファイルも持って行っていました。しかし、不精な性格故にそのまま適当な教科書の隙間に挟み込んだりして気付いたら失くしている、なんてこともしばしば…

紙媒体でプリントが配布されない授業は基本的にノートを取っています。パソコンがあれば楽なのでしょうが、いかんせんアナログなもので自分で筆を動かさないとしっくりきません。

 

2. その他

f:id:tufs_russialove:20210227211139j:plain

眼鏡、財布、イヤホン、ウェットティッシュのほか、予備の手提げやオンライン授業のためのタブレット端末を携帯しています。2020年の秋学期は対面の授業がなくても時々学校に行って勉強をしたり時間を潰したりしていたので、タブレットは欠かせませんでした。どうしても荷物に入り切らない時には諦めてスマートフォンから授業に繋いだりもしていましたが。

 

ちなみに全部入れるとこんな感じです。

f:id:tufs_russialove:20210227211207j:plain

見るからにキャパシティをオーバーしていますね…

消防法が適用されるとアウトかな?

どうしても入りきらない時には追加のリュックや手提げも活用していました。

ちなみに中学・高校の時も授業に必要のないものをよく持って行っていたので、全く成長が見られませんね。

 

これを毎日持ち歩いていると肩がバキバキに凝ります。家でゆっくりしている時に自分の肩を触ると、信じられないくらい凝っている感触があります。

長距離通学だとこの簡易登山セットみたいな装備はもっと辛かったと思うので、近くの下宿で良かったと思う点でもありますね。

とは言いつつ、学外のサークルに所属していたのでこの荷物のまま大学終わりに電車で移動、みたいなこともしばしばありましたが…

 

この情報が果たして誰かに、何らかの形で役に立つのか甚だ疑わしいところではありますが、とにかく言えることは「大は小を兼ねる」、そして「カバンを労わろう」です。これから新たな通学ライフを迎える方、よろしければ頭の片隅にでも置いておいてください。

 

文責:そーにゃ

 

*今日のロシア語*

посещать университет(パセシャーチ ウニヴェルスィチェート)

 意味:大学に通学する