東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第12弾【ベンガル語科編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20210306143151p:plain

ベンガル語科 ほのかさんへのインタビュー

 

↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

  

【留学について・現地での経験】

 ―コルカタに行った時の話を聞きたい!ショートビジット?

 そう、二年生の時にショートビジットで行った!バングラデシュには行ったことがない。ショートビジットやスタディツアーで今までにカンボジアやネパールにも行ったけど、個人的にはコルカタが一番楽しかったな。コルカタだけ言葉が通じたからかもしれないけど(笑)

 

―現地で特に印象に残ったことはある? 

コルカタでは、ベンガル語を喋ったら現地の人がとても喜んでくれて嬉しかったな。ベンガル地域の人たちは、すごくベンガル語を大切にしているんだって。私が行ったのはインドのコルカタ(インド西部)だけど、バングラデシュではベンガル語が国語として、それこそベンガル人のアイデンティティとして本当に大事にされてる 。バングラデシュはパキスタンから分離独立した国だけど、当時の西パキスタン(現在のパキスタン)と東パキスタン(現在のバングラデシュ)の対立には言語の違いという面もあって。当時、西パキスタン側の方が力が強くて東パキスタンの方が西側に支配されているような状況だったんだけど、西パキスタンがウルドゥー語を共通の国語にしようとすると、ベンガル語を母語とする人が多く住む東パキスタンはすごく反発したみたい。実際、ウルドゥー語とベンガル語は単語に重なりはあっても異なる言語だからね。

 

他に印象に残ったことといえば、私が出会ったベンガル人はみんなお喋り好きだったということかな!日本だと大人しい印象だったネイティブの先生が、一緒にショートビジットでコルカタに行ったらすごく活き活きとし始めたのもすごく覚えてる(笑)

 

あとは、現地にたくさんあった屋台も。食べ歩きできる軽食を売っているお店が多くて、どれも本当においしいの!何より、お店のおばちゃんやお客さんたちとのフレンドリーな交流が一番の思い出になったな。実はこういう屋台は、仕事を探して都市部に出てきたけど就職できなかった農村出身者や、都市部で失業した人たちが違法でお店をやっている場合が多いらしくて、そのことは日本に帰ってきてから知ったよ。そういう背景と、1か月で虜にされた屋台の魅力についてフィールドワークをして、卒論にしたいと思ってた。

 

 

―屋台についてフィールドワークできたらすごくいい研究になりそう。いつか絶対に行けるといいね。

あと、屋台の食べ物について、具体的にもっと知りたい!

(ということで、写真を見せてもらいました!) 

f:id:tufs_russialove:20210302010323p:plain

スナック菓子のお店のショーケース

f:id:tufs_russialove:20210302010356p:plain

ジラピ(生地をぐるぐるにして揚げてシロップに浸したもの)

f:id:tufs_russialove:20210302010502p:plain

エッグロール(揚げ焼きした生地の中に野菜と卵焼きが入っている)

f:id:tufs_russialove:20210302010532p:plain

チャー(日本でいうチャイのこと、甘さやスパイスの量などが店によって異なる。土のカップに入っており、飲み終わったら割って捨てる)

―美味しそう~~!そういえば、現地の人の主食って何?普段よく食べているものは?

主食はお米!バングラデシュはお米の消費量が世界一。あとよく出てくるのは豆のカレー。川魚も結構食べたりする。お肉だと羊(マトン)が多い!

 

―バングラデシュがお米の消費量が一番多いのは知らなかった!!

 

【ベンガル地域について】

―ベンガル地域のことを勉強するにあたって、何かおすすめの本はある?

ニューエクスプレスがおすすめ!文化的なことも色々書いてあるよ。

ニューエクスプレスプラス ベンガル語《CD付》 | 丹羽 京子 |本 | 通販 | Amazon

 

―ベンガル地域の文学や音楽で有名なものは?

伝統的なベンガル文学や音楽では、とにかくタゴールの作品が有名!アジア人初のノーベル賞受賞者だし、インド国歌の作詞・作曲者でもある!あと、音楽では、エクタラっていう一本の弦を張った楽器がある!

 

―タゴールの名前は知っていたけれど、てっきり小説家だと思ってた…。詩を書いたり作曲をしたり、本当に多彩な方なんだね!知らなかった…!

(気になった方はこちらをチェック→ラビンドラナート・タゴール - Wikipedia

ちなみに、他にこのあたりの地域で有名人といえばどんな人がいる?

この間亡くなった俳優のショウミットロ・チョットパッタエとかかな。タゴールは本当にすごい人だよね。

 

―最近のバングラデシュの政治や経済の状況はどんな感じ?

1971年に独立して、当時は「アジアで一番貧しい国」って言われていたけど、1990年代からは縫製業を中心に急激な経済成長を遂げているよ!服のタグを見ると、結構バングラデシュ製のことも多いかも。ただ、ファストファッションの下請けを主にやっているから、労働環境がかなり悪いみたい…。狭い建物で多くの労働者を働かせていたら、人とミシンの重みで建物が崩壊してしまった事故も2013年に起こって(ダッカ近郊ビル崩落事故 - Wikipedia)。この事故以降は少し労働環境が見直され始めているみたいだけど、それでもなかなか…。

 

―アパレル産業はそのあたりで問題を抱えているよね…。でもバングラデシュでそんな大きな事故が起こっていたなんて知らなかった。早くもっと改善されて欲しいな。

政治の状況はどんな感じ?

まず国内政治では、バングラデシュには二つの大きな政党があって、その二つが対立してる。今は、アワミ連盟っていう政党の方が与党で落ち着いている感じ。国際関係では、最近ではミャンマーからの難民であるロヒンギャの問題が大変。バングラデシュはかなり難民を受け入れているんだけど、数が増えすぎて対応しきれなくなってきたみたい…。

  

―今はミャンマーが大変なことになってるよね。

本当にね。ロヒンギャについても、すごく複雑で。ロヒンギャの人って国籍がないんだよ。あまりに複雑すぎて詳しい歴史は私もよく分かっていないんだけど、とにかく、どこの国の人たちからも認められていなくて行き場がないっていう状況。ミャンマーではミャンマー人じゃないって迫害されて、バングラデシュに逃げて来るんだけど、バングラデシュにしてみれば、「ミャンマーに帰るべき人たち」なわけで。

 

―インタビューの前に、ロシアとバングラデシュで何かつながりがないかなと思って調べてみたら、「バングラデシュ初の原子力発電所にロシアが燃料を供給する」っていうニュースが出てきたんだよね。ロシアとバングラデシュの繋がりと言えば実際そのくらいしかなさそう…(笑)

個人的に、バングラデシュは資源を持たない国っていうイメージがあるんだけど、そのあたりは周辺の国から頼っているのかな。

そうなんだ、知らなかった!たしかに、電力供給に関わる資源が豊かなイメージはないな。周辺国についていえば、すぐ近くにインドと中国があって、特に中国との関係は現首相によって強化されているよ。あと、金銭的にという意味なら、日本もかなりバングラデシュに支援しているよ。借款という形ではあるけど。

 

(※後ほど調べてみたところ、バングラデシュは国産の天然ガスを主なエネルギー源としていました。ですが、年々採掘量は減少傾向にあるようで、輸入も増えているようです。天然ガスの輸入を開始(バングラデシュ) | ビジネス短信 - ジェトロ (jetro.go.jp)

 

―確かにバングラデシュはインドにも中国にもすごく近いよね!

 

今まで高校の世界史で少し触れたくらいだったバングラデシュやベンガルについて、今回のインタビューを通して知ることができ、とても勉強になりました!

個人的には、タゴールの多彩さに圧倒されました。作曲こそしませんが、ロシアだとプーシキンが似たような立場の存在かもしれませんね!

ほのかさん、インタビューに応じてくださって本当にありがとうございました!

 

 

文責:R

(インタビュー実施日:2021年2月13日)