東京外大生にインタビュー!第13弾【ベトナム語科編】〈後編〉
ベトナム語科 堀さんへのインタビュー
↓前編はこちらよりどうぞ
tufs-russialove.hatenablog.com
【学びについて】
―所属しているゼミと、入った理由、勉強している内容を教えてください。
コミュニティ通訳ゼミに所属しています。コミュニティ通訳とは医療通訳、司法通訳、学校通訳、司法通訳など、日本に住む外国人の生活に必要となる通訳です。入った理由は日本で生活する外国人が増えているにもかかわらず、少数言語でのサポート体制が整っていないことに問題を感じたからです。日本において多文化共生社会をつくるため何が必要なのか学びたくこのゼミに入りました。
―なるほど。現在の日本では少数言語でのサポート体制が整っていないということに気づいていない人がまだ多いと思いますが、堀さんがこの問題に気づいたきっかけは何ですか。
きっかけは、日本語を話すことが出来ないベトナム人の先生が税務署に用事があるというので、それについていったことです。通訳は全然出来なかったけど、なんとか先生に意味を伝えることが出来ました。この時に、日本語がわからない外国人が結構いるのに、マイナー言語を勉強していたり、通訳できたりする人が少ないんだろうなと改めて思いました。これだと外国の方が困ってしまうだろうなと実際に感じ、改善されたらいいなと思いました。
―確かにそうですね。また、多文化共生社会を作るのに私達日本人が一番大切な意識、心構えは何だと思いますか。
興味を持つことがまず一番大事かなと思います。コロナ禍においては、自分のことばかりになってしまうことがあるとは思いますが、他に困っている人は誰なのか、どういう人がいるのかということに目を向ければ、外国人の存在を知ることができると思います。実際に通訳できる人は少ないかもしれないですが、意識が変わるだけで彼らの安心感が変わるのではないかと思います。
―素敵な考えですね。話を少し元に戻しますが、ゼミで勉強しているテーマの面白さを教えてください。
色んな語科の学生がいるので、それぞれの地域の特色を見ながら日本の多文化共生について考えることができます。またゼミ生はゼミの授業以外にも、選択科目の通訳演習の授業と、市役所と連携して外国人のための生活便利帳を作成する授業を並行して履修します。教科書の内容に加え、より現場に近い視点で学べるのも魅力の一つです。ちなみに、生活便利帳というのは学生がつくる外国人のための冊子です。テーマは毎年府中市役所の方から提案があり、年によって様々ですが、今年は外国人のための部屋探しガイドブックというのを作りました。部屋を探す段階から契約・入居までの過程をやさしい日本語で説明してあります。完成したものは実際に府中市に置いてもらいます。
――かなり実践的ですね!卒論ではどのような内容を書く予定ですか。
技能実習現場での「やさしい日本語」の使用について研究しようと思っています。やさしい日本語というのは、例えば津波が来そうなときに、「津波が来そうなのでどこどこに避難してください」のような日本語ではなく、ひらがなで「つなみにげて」と表記するというように、日本語が少ししかわからない外国人にも理解できるような、わかりやすい日本語のことです。現在、これをどんどん使っていきましょうという動きが進められています。
そして、技能実習生の日本語のレベルは様々なので、受け入れ側である日本人も分かりやすい日本語を使う必要があると考えています。そこで、災害時のメディアによる活用などで注目が高まっている「やさしい日本語」の使用を技能実習現場でも進めていく方法やそのメリットについて調査する予定です。
―「やさしい日本語」を作成する上でどんなところが難しいと感じますか。
人によってわかりやすさが違うので、誰にでもわかるような日本語を書くのが難しいです。また、日本人がそれを作ろうとすると本当にわかりやすいのかの判断が大変で、客観的に書くのが難しいです。そのため、実際に外国人にチェックしてもらったりします。
【留学について】
―留学や旅行に行ったことはありますか。
ショートビジットに2回、スタディーツアーに1回参加しました。
ショートビジットでは1年の夏にベトナム、2年の冬にアメリカ、スタディーツアーでは1年の冬にウズベキスタンに行きました。
―すごい!ウズベキスタンは中央アジア地域にあるロシアとの関わりが深い国なので、急に出てきてびっくりしました!どうしてウズベキスタンのスタディーツアーに参加したのですか。
親戚並みに親しいウズベク人の知り合いがいて、その人から色んなウズベキスタンの話を聞いていたので、いつか行きたいと思っていました。外大に入学して、ウズベキスタンでのプログラムがあったので実際に行こうと思いました。
―なんだかこれも運命的ですね!特に印象に残った思い出や場所はありますか?行ってみて印象が変わった点はありますか?
ウズベキスタンに実際に行ってみると、まずサマルカンドで建造物のスケールの大きさに圧倒されました。サマルカンドブルーの青くて綺麗な建物にとても感動しました。また、そこで交流した日本語を学んでいる現地の学生が一回の発言の中にウズベク語とロシア語、英語、日本語を混ぜて話していたことに驚きました。ウズベキスタンではウズベク語やロシア語など複数の言語を使う人が多いと聞いていましたが、一度に混ぜて使うとは思っていませんでした。
また、ベトナムも印象深いです。特に印象に残っているのは、ハノイに一ヵ月行ったのですが、その間に少し山奥のサパというところに行ったことです。サパは少数民族が多い地域で、そこに住む少数民族は着ている服や言葉もハノイの人たちと全然違っていました。ハノイに戻ってから、民族博物館に行ったのですが、ベトナムには54の少数民族がいることを知りました。ちなみに、サパにいる少数民族の方たちと会話するときはベトナム語を用いました。少数民族の人たちはベトナム語と少数民族の言語を両方理解できるのだと思います。
あと、一番慣れなかったのは値引き交渉です。市場とかでベトナム人は頑張って値引きして買い物をします。外大の授業の教科書でも値引き交渉の例文が載っているくらいです。日本人の友達も値引きに挑戦したのですが、凄く下の値段を言ったらブチ切れられてしまい怖くて買い物できませんでした(笑)
―日本だと値引きをすることって全然ないので加減がわからないですよね。ところで、現地の人々の様子を教えてください!どのような人が住んでいますか。
ウズベキスタンはとても落ち着いていて、治安の良い国だと感じました。学生など現地の人と結構交流をしたのですが、皆優しかったです。料理とダンスが上手なイメージです。あとはイスラム教徒が多い国ですが、宗教についてそこまで厳しい印象はなく、人それぞれという感じだった気がします。
ベトナムは若い人が多いので元気に溢れていました。ベトナムはサッカーが人気なのですが、応援とかも見ていてすごいです。みんな赤いシャツを着て、うわーーーって。エネルギーが凄いです。
【地域について】
―ベトナム地域を勉強する最初の一冊となるようなおすすめの本はありますか。
地域基礎の教科書となる『現代ベトナムを知る60章』が、歴史や社会、文化を網羅した内容で良いと思います。今でもベトナムについて調べるときは参考にすることが良くあります。特に印象に残っているページは、食文化のところです。ベトナムの人は暑い食べ物と涼しい食べ物でバランスをとるようで、どちらかに偏っていても体に悪いとされているそうです。そもそも食べ物を暑い・涼しいで分けたことが無かったので面白かったです。
―とてもユニークな概念ですね!次に、ベトナムの音楽や絵画、文学、映画、アニメで有名なものを教えてください。
音楽は、ソントゥンM-TPという男性歌手が非常に人気です。同期にも彼の大ファンがいます。また、たまに日本でもベトナムの映画が公開されています。私はあまりベトナムの映画を観たことがありませんが、この前Amazonで「Tam Cam」というベトナム版シンデレラと言われている伝説を豪華に映画化された作品を観ました。
↓ソントゥンM-TPさんの公式YouTubeチャンネルで最も多く再生された曲のリンクです!
―ベトナム版シンデレラ!かなり気になります!話が変わりますが、近年のベトナムの政治・経済の状況を教えてください。
ベトナムはコロナ対策が成功している国です。かなり初期のころから海外からの渡航者の受け入れを止めていました。そのおかげで、感染者は1月に少し出ましたが、1月末から現在まで市中感染者はゼロです。去年もずっとそのような感じでした。これは、一党体制の社会主義国だからできることかなとも思います。
経済も急成長を遂げています。この要因としては、やはり海外からの投資が大きいのではないかと思います。
【ロシア×ベトナム】
―歴史、文字、文化、近年の政治・経済など、ベトナムとロシアの関わりについて知っている情報はなにかありますか。
サッカーのアジアカップで活躍したベトナム代表のゴールキーパーのダンバンラム選手がロシアとのハーフだそうです。日本対ベトナムの試合で、誰もが日本勝つだろって思っていましたが、ダンバンラム選手が好セーブをしていたのが話題になりました。
ダンバンラム選手はなんと今年の1月末からセレッソ大阪に所属し始めたようです!とてもタイムリー!ベトナム語科とロシア語科が一丸となって彼を応援したいですね!
―本日は長々と質問にお付き合いいただきありがとうございました!最後に何か一言あればお願いいたします。
学部や語科の魅力が伝わればいいなあと思います!また、沢山の経験ができる大学なので色んなことを楽しんでもらえればなと思います!
改めて堀さん興味深いお話を本当にありがとうございました!
堀さんのお話を伺っていてベトナムにまた行きたくなりました!
しかし現在の状況では行けないので、代わりにおすすめのベトナム料理店を教えていただきました!堀さんおすすめは池袋にある「フォーティン」というフォーの専門店だそうです!
↓お店のホームページ
美味しそうですね!!早く食べに行きたいです!(^^)!
それではпока(パカー)!さようなら!
文責:芝元さや香
(インタビュー実施日:2021年2月19日)
【お知らせ】
現在、堀さんはCOVID-19多言語支援プロジェクトに参加しています。外国人のお知り合いがいらっしゃる方は、ぜひこのプロジェクトの共有をお願いします!
↓ホームページ