Привет(プリヴェート/こんにちは)!東京外大ロシア語専攻3年のりおです。
あなたは、ロシア語劇団コンツェルトが来月12月に「生ける屍」(トルストイ原作)という演劇公演を行うことをご存知でしょうか?
今月はその公演に先駆けて、ロシア語の演劇に日々取り組んでいる劇団サークル「ロシア語劇団コンツェルト」さんと私たち東京外大ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とのコラボレーション企画をお送りします!
コラボ企画の第一弾では「コンツェルト団員インタビュー」と題して、コンツェルトに所属する団員ひとりひとりにスポットを当て、各々の考えるロシア語劇の魅力やご自身と演劇との関わりについてリレー形式で語っていただこうと思います。
記念すべき第一回目は、ロシア語科の私の後輩にあたるさのまるくんにインタビューをしました!とてもフレッシュでロシア語の学習意欲も高い1年生です。
本稿末尾にはコンツェルトの12月本公演についての情報も掲載しておりますので、ぜひ最後までお読みください(^ ^)
【さのまるくんについて】
東京外国語大学言語文化学部ロシア語専攻1年生で、今年の春にロシア語劇団コンツェルトに入団。今年2020年12月の本公演『生ける屍』にも出演予定。ロシア語や英語の音声学に興味があるそうで、ロシア語学習者の界隈ではちょっとした有名人なんです!
Twitter:@sanomaru364
―今日はインタビューを受けてくれてありがとう!早速だけど、さのまるくんがコンツェルトに入団したきっかけは何だったの?
コンツェルトのことは、僕は入学前からSNSを通じて知っていました。3月に開催されていたコンツェルトのワークショップにも参加して、それがとても楽しかったんですよね。また、高校時代に英語劇をやっていたことから外国語劇に魅力を感じて、自分の専攻語での劇に興味を持ったからという理由もあります。
―へ〜!元々演劇をやってたんだね。さのまるくんは役者をやってるんだよね?コンツェルトの中で役者以外の担当の人もいるのかな?
そうです。コンツェルトでは年2回のペースで公演を行っているのですが、その公演ごとに舞台監督や字幕担当など、各々の希望に応じて役職が決まっていきますね。
―なるほど…。じゃあ役決めはどうやってるの?希望が被ったらオーデションしたりもするの?
それぞれ役の希望を出した上で、演出家の方が最終的に決めますね。オーディションという形はないのですが、ある程度みんなで読み合わせをしてからなので、演出家の方もそこは考慮していると思います。
―さのまるくんから見て、役を演じることの魅力って何だと思う?
ロシア語を話すのももちろん楽しいですが、ロシア文学をどう解釈していくのか、それをどのように演技に反映させていくのか、というのを演出家の方と話し合っていくのが楽しいです。今回の公演の演出家は早稲田大学文学部ロシア文学専攻の4年生の方でロシア文学に明るい方なので、僕自身も学ぶことがとても多いです。
―なるほど。文学の解釈って難しそうだね。作品が書かれた時代背景とか、ロシアの文化や思想も知ってないといけないもんね。
そうですね。奥深いですね。
―普段のコンツェルトのお稽古ではどんなことをするの?
ストレッチ、声出し、演技指導が基本です。ペットボトルを頭に乗せて真っ直ぐ歩く(姿勢を良くする)練習や、輪になってキャッチボールをして目線を合わせる練習などあります。初めは日本語台本で作品理解を進め、その後にロシア語の台本で練習をしますが、やはり日本語訳では分からないニュアンス(汚い言葉もあったりします)やリズムもあるので、そこが面白いところですね。また、セリフ(ロシア語)は役者が自分でアクセントをふるので、それは少し大変でもあります。
―へ〜!じゃあ演技指導は本番が近くなってからやるのかな?
いえ、初めの読み合わせの時点で自分なりの解釈で演技をつけてくる人が多いですね。もともと演劇が好きな人が揃っているので。
―すごい、流石だね!私は2年生の時に外語祭のロシア語劇をやったんだけど、ほとんどみんな演劇初心者だから、初めは大根役者勢揃いみたな感じになっちゃったのさ(笑) ちなみにさのまるくんはコンツェルトの公演に出演したことがあるんだよね?
そうだったんですね(笑) 僕が今までに出た公演は今年7月の新人公演(チェーホフの「桜の園」)だけですが、とても思い出深いものでした。全くの外国語に感情を込めるというのは難しいもので、どこに力点を置くのか、どこを強く読むのかなど、多くの試行錯誤がありました。ZOOM演劇という初の試みにも関わらず一年生を丁寧に指導し支えてくださった先輩方、とくにこの作品の演出の方にとても感謝しています。
―私も新人公演少しだけ見させてもらったよ!役者の皆さん、発音がすごく綺麗で演技も緊迫感があってびっくりした。
そうですよね。ロシア語を習い始めたばかりなのに、僕の同期もみんな発音は上手なんです。でもやっぱりZOOM演劇となると、ロシア語の醍醐味である美しい音の響きも薄れてしまうし、お客さんの表情や反応を随時見ることができないので、少し制約があるなぁと感じました。
―そうだね、やっぱり演劇は生で見るのがいいよね。話が変わるけど、ずばり、さのまるくんおすすめのロシア文学は?
小説ではないのですが、プーシキンの詩が好きです。発音を練習する時にプーシキンの作品の朗読音声を使ったのをきっかけにその言葉のリズムが好きになりました。詩って短い言葉の連なりの中に抑揚というか波があるんですよね。でも、まだロシア文学自体は僕はあまり読めていないので、これから他の作品も読んでいきたいです。
―プーシキン!いいよね〜、私もすごく好き。ロシア文学の先生がおっしゃってたんだけど、プーシキンの詩って実際にロシアに行って現地の風土やロシア人の感情表現に触れるとそのよさがすごくわかるんだって。
へ〜、そうなんですね!僕も行ってみたいです。
―じゃあ続いて、さのまるくんだけが知ってる12月本公演「生ける屍」の見どころを教えてください!
僕はカレーニンという男性を演じるのですが、作品終盤の二重結婚と自殺偽装を裁く裁判のシーンで、登場人物がそれぞれ抱える「魂の罪」に苦しむシーンを見ていただきたいと思います。また、作中で僕たちは時々フランス語のセリフに挑戦していますので、そこも楽しんでいただきたいです。
―立ち回りや感情表現がすごく難しそうな役だね…。フランス語も出てくるなんて、昔のロシアの貴族らしいなぁ。ちなみに、私たちロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログは読んだことある?気に入った記事があればぜひ教えて!
ポーランド語科4年生の方へのインタビュー記事が参考になりました。一年生から単語を覚えていく必要性や留学先での生活など、なるほどと思う点が多くありました。
↓記事はこちら
東京外大生にインタビュー!第1弾【ポーランド語科編】〈前編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ
東京外大生にインタビュー!第1弾【ポーランド語科編】〈後編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ
―そうか〜、参考になったならよかったよ。じゃあ最後に、この記事を読んでくださっている方へ向けてメッセージをお願いします!
今回の公演は早稲田大学周辺の教会の地下にあるホールで行われます。石造りの暖炉、赤い絨毯、窓から指す日光など、とても神秘的で時間の流れがゆったりした場です。そんな劇場で上演される『生ける屍』はきっと特別な空間を生み出します。演劇、ロシア語、ロシア語演劇に馴染みは無い、という方であっても、その空間全体をお楽しみいただける公演になると思います。12/25〜27、是非とも劇場に足をお運びください。
さのまるくん、ありがとうございました!12月の本公演の成功を祈っています。
文責:りお
(インタビュー実施日:2020年11月2日)
ロシア語劇団コンツェルトは創立50周年を迎える歴史ある演劇サークルで、早稲田大学、東京外国語大学、お茶の水女子大学等様々な大学の学生が集まって構成されています。普段は早稲田大学戸山キャンパスで週2,3回のペースでお稽古をしているそうです。
記念すべき50回目の今年の本公演ではトルストイ原作『生ける屍 «Живой Труп»』を上演されます。ぜひあなたも足を運んで、ロシア語劇の魅力を堪能してくださいね!
●日程:12月25日(金)〜27日(日)
公式HPやSNSでも日々のお稽古の様子や公演情報を掲載されています!要チェック!
コンツェルト公式HP:https://www.kontsert.jp
Twitter:https://twitter.com/theatrekontsert