東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第11弾【ドイツ語科編】〈後編〉

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ドイツ語科かつさんへのインタビュー

 

↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【留学について:ドイツでの生活編】

―大学付属の寮に入っていたとおっしゃっていましたが、寮はどんな感じでしたか?きれいでしたか?

うん…うーん……(苦笑い)きれいかっていわれると、はっきり言ってきれいではない!めっちゃ安いけどね。月250ユーロくらい。日本円でいうと4万円ぐらいかな?ドイツ語科で他の地域に行っている人はもうちょっといいところに住んでるはず笑。ちゃんと日が差し込むとか、備え付けのキッチンがあるとか、自分のトイレがあるとか。うちの寮はそういうのが全然なくて、キッチンも共同、トイレも共同、シャワーも共同みたいな感じだった。部屋は一人一つだったんだけど、隣の部屋の人とトイレは共有、みたいな。

 

―なるほど。ちなみに、部屋に持ち込んではいけないものはありましたか?私がショートビジットで行ったカザフスタンの大学の寮はお酒の持ち込みが禁止でした。

たばこくらいかな。警報機が鳴ってしまうので……。お酒は、ドイツは16歳から飲んでいいからみんなばんばか飲んでたね。キッチンが部屋から少し離れたところにあったから、何か作るときは行かなきゃいけないんだけど、必ず誰かいて。「あー来たのかービール飲め」みたいな感じだからよくない笑。ただ、階ごとに毛色は違ったみたい。僕は一番騒がしいところに入れられちゃったみたいでね。毎日のようにキッチンでどんちゃん騒ぎしててお酒飲んでた笑。夜とか、そろそろ寝ようかなと思ってたらドアをダンダンダンッて叩かれて「パーティー来いや!」みたいな感じだった。

 

―にぎやかで楽しそうです。まさに「水よりビール」って感じですね笑。皆さんフレンドリーな感じなんですね。

そうだね、みんなやさしい。北ドイツは人が冷たいみたいな話を聞いたことがあったんだけど、少なくとも南は全然そんなことなくて。田舎町っていうのも大きくてみんな親切で優しかった。大学の人もそうだし、スーパーのレジのおばさんとか、知らない人も優しかった。犯罪も少なかったし、いいところだったよ。僕、現地でスマホをなくしたことがあって…いやーあの時はやばかったな。二週間くらい見つからなかったからもう戻ってこないと思ったんだけど、いろんな人が手伝ってくれてみんな探してくれて。最終的にはバスの運転手が見つけて保管しててくれてた。みんなの親切のおかげで返ってきた感じ。

 

―それはすごい!海外だと返ってこないことの方が多いイメージなのにあるのでちょっと驚きました。話が少し変わるのですが、授業がないときは何をしていましたか?

予習だね笑。あとは、行ったのは冬だったから、クリスマスマーケットには行ったな。大きい街はもちろんだけど、小さい街にもクリスマスマーケットがあって、町ぐるみで10月とかから準備してる。ドイツのクリスマスマーケットは11月の終わりくらいからクリスマスまでやってるので。一か月前とかから住民が屋台を設営したりしてた。日本の横浜とか日比谷のクリスマスマーケットとは比べ物にならないよね。

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―結構時間をかけて準備されるんですね。本場のクリスマスマーケット、行ってみたいです!マーケットでは何が売られてるんですか?

ホットワインが有名だね。ワインをあっためてシナモンとか香辛料を入れたやつ。マグカップに入れてワインが出てきて、お金を払えばカップもくれる、みたいな。お土産もにいいね。

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 ―いいですね!温まりそう…どこか違う都市に遊びに行ったりはしましたか?

割とフランスが近かったから、フランスに行ったりしたな。あとはミュンヘンまで電車で三時間くらいかけて行って、外大のドイツ語科の同期の人と会ったりした。ドイツ国内であれば時間はかかるけど移動はすごい楽なのでおすすめかな。15ユーロくらい、日本円で2000円行かないくらいの値段で、長距離バスでほんとどこでも行けちゃうから。自分の足で見に行くっていうはドイツの国の中を知るにもいいと思う。ただ、冬はあんまり旅行には向かないかな…寒いし、電車止まるし、全然時刻通りに来ない。

 

―ドイツ人って時間に正確だと聞いたことありますが、そうでもないんですね。

それは「人が」の問題で、電車は全然正確じゃない笑。よくわかんない理由で電車は普通に30分くらい遅れるし、「終バス間に合わないじゃん!」とか文句つけても「知らないわ、電車が遅れたせいだから」みたいな感じだから普通に。

 

―それは寒いとなおのこと辛いですね…文化の違いですかね。やっぱり日本の電車の時間の正確さはすごいですね。文化の違いとして気になるものの中で「食文化」って上位に食い込むものだと思うんですけど、ドイツの食べ物はどんな感じですか?

ジャガイモと肉とビールだね笑。あとはソーセージと、固くて大しておいしくないパン。

 

―所謂黒パンですか?

そうそうライ麦の。

 

―なるほど。私の中で想像していた「ドイツご飯」と大きく離れてはいなさそうです笑。特に好きだった料理はありますか?

南ドイツの郷土料理に、マウルタッシェっていう餃子みたいな料理があって。小麦粉の皮に刻んだひき肉と刻んだ野菜とかを入れたやつで、焼くも良しスープで煮るも良しでおいしかった。ドイツ料理は色がまずそうとか量が多いとかいろいろ言われがちだけど、マウルタッシェはおいしかったね。あとは、豚肉のカツレツとポテトとか。すっごいでかい皿で、とてもじゃないけど一人じゃ食べられない量出されて。ドイツ料理ってでっかいひと皿に肉ドカーンってあって、付け合わせにジャガイモとザワークラウトがある感じ。

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―ボリューミーですね…でもおいしそうです!ちなみにドイツに持って行った方がよかったものは何かありますか?

 冬に行く人はとにかく寒いんであったかい上着は必要だね。僕のいたところは雪があまり降らないところだったから、積もっちゃってどうこう、みたいなことはなかったけど、寒いのは寒いから。あとは、箸があるといいかな。一応カップ麺とかうどんとか、近所のスーパーに日本の食べ物は売ってて、それはよかったんだけど、スプーンとフォークしかないから。そこ慣れてないと苦労するかもしれない。

 

―お箸ですか…それは盲点でした。さて、ロシアサークルからのインタビューということで、留学先ドイツでロシアとの関わりについてお伺いしたいと思います。何か思いつきますでしょうか?

ロシアの食べ物とかはスーパーに売ってた。スーパーの外国のものを取り扱ってるブースみたいなところにロシアのものはいろいろあった。スナック菓子とか。昔は仲が悪かったイメージはあるけど、今はそうでもない気がする。ただ、ドイツ国内でも事情は様々に違うから街によっても違うんじゃないかな。東ドイツの方に行くとよりロシアとの関わりは深いかもしれない。

 

―日本のスーパーでキリル文字の商品が売っているのは見たことがないので、ドイツにはあるのか!と驚きました。地域差はあるにせよ、かつての関係性の深さの名残なのかもしれませんね。

 

【帰国するときの話、留学を経て考えたこと、これから留学する人に向けて一言】

―留学に行ってみて、感じたことはありますか?

意外とどうにかなる、って思った。行く前は不安もあったけど、現地に行ったら、そこに溶け込む、じゃないけど、慣れちゃう。最初ついたばっかりの時は自分がすごい異質な存在で浮いてるように思ってたし、言葉の面でもすごく早口だから最初は何言ってるのかわかんなくて。なんだけど、だんだん分かってくるようになる。それでこっちもだんだん言いたいことが言えるなーってなってきたのがちょうど僕が帰ってくるくらいの頃だったから…もったいないんだよね。一年いればそこらへんももっともっとレベルアップできたと思うので、留学は半年より一年行った方がいいと思う。

 

―かつさんはコロナウイルス感染症の影響で途中帰国されましたもんね。結構バタバタしたのでは……?

そうだね。外大から危険レベルが上がったんで帰ってきなさいって言われていたのはもちろんなんだけど、どうやらドイツにいる日本人も帰れなくなるらしい、日本政府が海外からの受け入れを禁止するらしい、みたいなことになって。それで慌てて飛行機をとった。一週間遅かったら帰ってこれなかった、くらい割とギリギリのところで何とか帰ってこれた感じ。成田では、めちゃめちゃ列になってひとりひとり体温測ってて、二時間くらい立って待った。二週間は家の外に出られないし大変だったね。友達に会ったりも出来なかったし。

 

―途中で帰国することになってしまったわけですが、やり残したことは何かありますか?

本当は夏にいろいろ行きたかった。ドイツは北に行かないと海がないので、ドイツ人は、夏には日差しと海を求めて北上するんだよね。デンマークに近いあたりの地域の方に行ってビーチで泳いだりとか。そういうところに行ってみたかったな。留学は一年行ける人はぜひ一年行くといいと思う。半年だとね…短すぎる。最初は慣れるのに長く感じるけど、ほんとに気づいたらあっという間だから。

 

―そうですよね。長くいたほうがその国のいろんな姿を見ることが出来る気がしますもんね……。留学したからこそ得られたものは何かありましたか?

ドイツのいろんなことを知ったのはもちろんだけど、個人的には日本にも意識が向くようになったかな。日本人がいない環境だと、日本人がレアだからいろんなことを聞かれるんだよね。日本では今何が流行ってるのとか、普段何食べてるのってことから、韓国のことどう思うとか、北朝鮮どう思うかとか答えづらいことも含めていろいろね。でもそういう日本語でも説明しにくいようなことを聞かれて、ああ、自分は日本のことをあんまり知らないできたのかなって思った。外大生は外に目を向けがちなんだけど、日本のこともよく知ってないと。日本のことをよく知ったうえで、外国語でそういうのが言えればもちろんいいんだけど、日本のことも知らないでいるのはちょっともったいないと思う

 

―「知らないんだ」っていう事実に直面しないと、意識しないですもんね。

ドイツは環境と政治に対しての意識がすごく高いから、議論がすごく盛んで。酒飲みながらメルケルの悪口言ったり…そんなことばっかり笑。その流れで日本はどうなの、みたいなことを聞かれたけど、自民党が、とか安倍さんがみたいな簡単なことしか言えなくて。あ、あんまり知らないんだなって思った。いろんなことにアンテナを張って、日本のことについても知っとくといいと思う。だからそこで、日本のことを研究するゼミには入れたのも結果オーライというか、結果的にはいい形で。やっぱりその辺りはドイツに行かなかったらなあなあにしたままだったのかなと思って。

 

―なるほど。日本人ですけど、私も日本の政治に関しては自信を持って議論できる気はしないです…もう少し国内事情にも目を向けて行こうと思います。日本文化のゼミは一見留学とは結び付かなさそうですが、「外からの日本への視点」を得て、日本に戻ってくる、というのはとても意義深い気がしました。ドイツに行く人に何かアドバイスはありますか?

行けたらいろんなところに行ってくださいってことかな。旅行でいいんで。日帰りで半日町にいるだけとかでもいいから。ドイツは陸続きだからいろんな国に飛び出していくのもいいし。

 

―留学するのに持っていたほうがいいマインドはありますか?

「楽しむ!」はどうでしょう!言葉出来なく他もたどたどしくても分かってくれるし。僕はドイツっていう日本とは全然違うところに飛び込んだけど……食べ物とかもそうだし、時差もそうだし。習慣も違うし宗教も違うし。全部違うところだったけど、それを「自分のいるところと違うから嫌だ!」みたいになっちゃうよりは、それをそれとして、楽しんじゃった方が気持ちも楽だよね。あとは、日本にいる友人を大事にしよう、ってところかな。僕は日本の友達と割とよく電話をして心の平静を保ってたというか…ホームシックにもならずにいられたので。

 

―確かに、「置かれた状況を受け入れて楽しむ」というのは大事なことですよね。素敵なメッセージをありがとうございます。いろいろな話が聞けて楽しかったです。今日はありがとうございました!

 

かつさんとは部活の縁で仲良くしていただいていましたが、留学の話などを改めてじっくり聞く機会はなかったので非常に興味深かったです。今まで知らなかった「ドイツ」について知ることが出来た気がします。ありがとうございました!

 

 

文責:しおり