東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ロシア関連書籍の紹介

こんにちは!Rです。オンラインで人と繋がるのが億劫になってしまい、就活もさほど進まぬなか、最近は本ばかり読んでいます。そんな私に書けることといえば本についてしかない!ということで、今日は、私が読んだロシアに関する本で、特に面白かったもの、今まで以上にロシアに興味を沸かせてくれたものをいくつか紹介することにいたします!

 

文学については後日文学特集が組まれるのでそちらに任せるとして、この記事では、写真や絵の多い芸術分野の本や、ロシアにまつわるエッセイなどを紹介します。

 

【今回紹介する本】

 

海野弘解説・監修(2015)「ロシア・アヴァンギャルドのデザイン 未来を夢みるアート」、パイインターナショナル

ソ連アヴァンギャルド芸術に少しでも興味のある方は、絶対に読むべきです!私は美術に明るくありませんが、強烈なインパクトを持つ作品の数々に心を奪われました。商品や映画のポスター、ブックデザイン、絵本のイラストなどさまざまな分野の作品が掲載されています。個人的には、映画「ティーカップ」のポスターが気に入りました。

 

沼辺信一他編(2004)「幻のロシア絵本:1920~30年代」、淡交社

上の本の「絵本」の章を抜き取ってさらに細かく紹介・解説したような本です。こちらの方が先に刊行されているのですが。

この本は、2004年に兵庫県の芦屋市立美術館で”幻のロシア絵本1920-30年代”展が行われた際の図録のようです。そのころ大学生だったら芦屋まで足を運んだのに!という気持ちでいっぱいですが、2004年といえば私ははまだ幼稚園生でした…。

余談ですが、芦屋は、日本の文豪、谷崎潤一郎が愛した街として有名ですね。私は谷崎が好きなので、東京からはるばる芦屋市の谷崎潤一郎記念館まで足を運んだことがあります。

幻のロシア絵本 1920‐30年代

幻のロシア絵本 1920‐30年代

  • 発売日: 2004/03/01
  • メディア: ペーパーバック
 

 

③田中友子(初版は2004,改訂版は2019)「ビリービンとロシア絵本の黄金時代」、東京美術

こちらは、私にロシアへの興味を持たせてくれた本です。そういう意味で本当にこの本には感謝しています。

なんといってもこの本の一番の魅力は、ビリービンの絵の美しさにあります。

下に挙げる画像はWikimediaから拾ってきたものですが、彼は、例えば、このような絵を描く画家です。とってもすてきです。

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ビリービンとロシア絵本の黄金時代 改訂版 (ToBi selection)
 

 

 東郷正延(1966)「ロシア語のすすめ」、講談社現代新書

 以前のブログで紹介したとおり、ロシア語の学習を「すすめ」る本です。語学へのモチベーションが上がらない全ロシア語学習者に捧げたい本。

 

東郷正延氏について触れたリュボーフィの記事はこちら。

研究社の「露和辞典」を作った人ってどんな人? - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

 

桂川甫周(編纂)、亀井高孝(校訂)「北槎聞略」、岩波文庫(岩波文庫版は1990。桂川による原本は1794、亀井の校訂版は1937に初めて出版されている)

これは、私が現在進行形で読んでいる本ですが、とっても面白いですよ。江戸時代にロシアに漂着した大黒屋光太夫たちの話です。大黒屋光太夫については耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

全く互いに言語が通じない状態で出会い、そこから手探りでコミュニケーションをとっていく…というのは、現代ではもはや起こり得ないことかと思います。しかし、彼らの苦労があったからこそ、今の私たちが(少なくとも教材の豊富さでいえば)らくにロシア語を勉強できるのですよね…。頭が上がりません。

これは江戸時代の学者、桂川甫周が大黒屋光太夫から聞いた話を記録したものなので、言葉遣いが古く、読みにくいのが難点ですが、内容は本当に興味深いので、頑張って読む価値があると思います。

この「北槎聞略」を基に、井上靖が「おろしや国酔夢譚」という小説を書いていますから、「北槎聞略」が読みにくい場合はそちらを先に読むと良いかもしれませんね。 

北槎聞略―大黒屋光太夫ロシア漂流記 (岩波文庫)

北槎聞略―大黒屋光太夫ロシア漂流記 (岩波文庫)

  • 作者:桂川 甫周
  • 発売日: 1990/10/30
  • メディア: 文庫
 

 

⑥松下恭子(1972)「子どものモスクワ」、岩波新書

こちらは、著者・松下恭子さんの娘さんである友子(ゆうこ)さんが、幼稚園の途中から小学一年生の間をモスクワで過ごした滞在記録兼成長記録です。その地の言葉を知らぬ小さな子どもがロシアで過ごすうちにみるみるうちにロシア語を学び、吸収していく様子を見るのがとても面白いです。

 

たとえば、幼稚園に入って一か月後の彼女の語彙はこんな風…

 

 一カ月たって、友子に、しっているロシア語をきいてみたら、こんなぐあいだった。(中略)

ちーちか(プチーチカ、小鳥)、さばーちか(いぬ)、たあぽちき(上ばき)、くらしいぼ(きれい)、すぱひーぼ(ありがとう)、とうだあ(そっちへ)、すうだあ(こっちへ)、ぼっとたあか(こうだよ)

そのほか、わたしがしらべてみると、数の一から十までを入れて、三十くらいあった。(pp.15-16)

 

 最初のうちはこんな具合ですが、間は端折るとして(気になる方は是非お読みになってください)、数年後にはすっかりロシア語が堪能になって、小学校のロシア語の授業でもロシア人のクラスメイトに引けを取らないくらい優秀な成績をおさめています。

ソ連時代の様子(特に教育)について知りたい方は、是非読むとよいと思います。

子どものモスクワ (岩波新書 青版 824)

子どものモスクワ (岩波新書 青版 824)

  • 作者:松下 恭子
  • 発売日: 1972/06/20
  • メディア: 新書
 

 

 

おわりに

いかがでしたか?

一般に、ロシアの本というとロシア文学を想像することが多く、そしてロシア文学というと重苦しい印象を抱くことが多いのではないかと思います。実際、ロシア文学は慣れるまで読むのが大変ですよね…。そのため、今回は文学からは離れて、気楽にロシアについて知ることのできる本を選びました。

特に前半に紹介した三冊は絵がメインですから、ただ絵を眺めるだけでも楽しめるのではないかと思います!

これらの本が、そしてこの記事が、皆さんがロシアに興味を持つ、または、さらにロシアにさらに親しみを覚えるきっかけとなれば幸いです。

 

 

文責:R

 

 

*今日のロシア語*

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 意味:幼稚園

 

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