東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

フィンランドでも食べられているロシア料理って?

Здравствуйте! (ズドラーストヴィチェ:こんにちは) 言語文化学部2年のあづです。初めての単独ブログ執筆でドキドキしています…

 

先週開幕した北京オリンピックは熱戦続きですね!みなさんは観戦していらっしゃいますか?私は暇なときは大抵チャンネルをはしごしながら色々な競技を観戦しています。

 

 

さて、今日はロシアを飛び出して隣国フィンランドの話題です。フィンランドは北欧諸国のひとつで、1917年に独立するまで約100年間ロシアの統治下に置かれていました。そのため現在でも街中ではロシア式の教会やロシア語の記念碑がいくつか見られ、首都ヘルシンキの中心である元老院広場にはロシア皇帝アレクサンドル2世の銅像が立っています。食文化に関してはスウェーデンやロシアなどの影響を受けており、ロシアと共通する料理もいくつかあります。そこで今回はフィンランドで食べられているロシア料理とロシア料理店をご紹介しようと思います。

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ヘルシンキ、元老院広場のアレクサンドル2世像(2013年)

 

まず、代表的なロシア料理として日本でも有名なピロシキはフィンランドでも人気の軽食です。フィンランドではlihapiirakka (リハピーラッカ)と呼ばれていますが、フィンランド語でlihaは肉、piirakkaはパイのような生地に詰めた食べ物という意味があります。街中でも売られていますが、薄味のものが多いため半分に割ってケチャップやマスタードをつけて食べるのが人気の食べ方だそうです。また、ロシアの中でもヨーロッパに近い地域では焼いたピロシキが一般的ですが、フィンランドのリハピーラッカは揚げたものが多く、油を吸うために中にお米が入っていることがよくあります。ちなみに、ヘルシンキの観光名所のひとつであり様々なお店が立ち並ぶハカニエミ・マーケットホールのベーカリーコーナーで買えるリハピーラッカが絶品だそうですよ!

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出典:https://hokuogohan.fukuya20cmd.com/2021/04/29/4438/

 

また、ロシア風パンケーキのブリヌィも人気で、フィンランドではblini (ブリニ)と呼ばれています。ロシアのブリヌィはクレープのように薄く焼いたものが一般的ですが、フィンランドでは分厚いブリヌィがしばしば見られます。ブリニにはジャムやハチミツ、サワークリーム、ハム、魚卵などをのせて食べます。これはロシアと同じですね。また、マッシュポテトやきのこをのせることもあります。ヘルシンキで有名なブリニのお店と言えばBLINItです。フィンランド語では語末にtをつけると複数形になるので、BLINItはブリニ(複数形)というわけです。そのままのネーミングですね!BLINItのブリニは一般的にフィンランドで食べられているブリニと比べると薄く、様々な具が選べるそうです。また、ヘルシンキのほかのお店と比較するとかなり安い価格でいただけるのも人気のポイントです。

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出典:https://www.helsinkitimes.fi/eat-and-drink/5137-blini-season-is-on.html

 

その他にも、ボルシチはborssikeitto (ボルッシケイット)と呼ばれています。ボルシチをはじめとした様々なロシア料理に使われるビーツはフィンランド料理にもよく用いられます。フィンランドでクリスマスに食べるロソッリというサラダもそのひとつです。また、ロシアのお酒と言えばウォッカですが、フィンランドでもウォッカをよく飲みます。ちなみに代表的なフィンランド産ウォッカであるフィンランディアの原料はフィンランド産の大麦100%だそうですよ。

 

ここでヘルシンキで有名なロシア料理店を2軒ご紹介したいと思います。

1軒目はŠašlik (シャシリク)です。ロシア大使館の隣にあり、1972年から営業していてヘルシンキの観光ガイドに載るほど有名なお店です。ボルシチやペリメニ、ブリヌィなど定番のロシア料理に加えて、熊肉が食べられるそうです。私は熊肉を食べたことがないのですが一体どんな味がするのか気になりますね!またロシアの衣装を着た人たちによるバラライカの生演奏を聞くことができるのもこのお店の特徴のひとつです。

2軒目はBellevueです。ロシア正教の教会ウスペンスキー大聖堂の裏にあり、フィンランドがロシア帝国の一部だった最後の年1917年創業のヘルシンキで一番古い老舗ロシア料理店です。ボルシチなど定番のロシア料理も提供していますが、このお店のロシア料理はフィンランド人向けにアレンジされたものが多いそうです。

 

また料理に関連する言葉にもロシア語の影響がしばしば見られます。例えばロシア語で前菜を意味するзакуска (ザクースカ)はフィンランド語ではsapuska (サプスカ)という食事を表す俗語に残っています。他にもロシアとの国境地域であるカレリア地方の郷土料理でフィンランドの代表料理でもあるkarjalanpiirakka (カルヤランピーラッカ)には元々ジャガイモが使われていましたが、今では米のおかゆが使われています。それはソバや麦、米をおかゆにして食べるロシアの影響だとする説もあるようです。

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カルヤランピーラッカ

 

このようにフィンランドにはロシアと共通する料理が多く見られます。みなさんもフィンランドに行ったら本場ロシアとは一味違ったロシア料理を楽しんでみてくださいね!

 

文責:あづ

 

 

今日のロシア語

Финляндия(フィンリャンヂヤ)

意味:フィンランド

схожесть(スホージェスチ)

意味:似ている点

 

 

参考資料

・Welcome to Helsinki map 2014–2015

・Helsinki ビジターズ・ガイド 2015年版

・Kiitos Shop  ヘルシンキのお薦めロシア料理:BLINIt

https://kiitos.shop/blog/archive/recommended-russian-food-restaurant-in-helsinki-blinit.html

・北欧のおやつとごはん フィンランドのピロシキ リハピーラッカ

https://hokuogohan.fukuya20cmd.com/2021/04/29/4438/

・My Helsinki

https://www.myhelsinki.fi/ja

・銀城康子,荻原亜紀子(2008)『フィンランドのごはん』農山漁村文化協会

・銀城康子,山本正子(2009)『ロシアのごはん』農山漁村文化協会

・森百合子(2010)『北欧のおいしい話 スウェーデンのカフェからフィンランドの食卓まで』スペースシャワーネットワーク