ナターリヤ・バルシャイ先生【ロシア語科教員インタビュー〈後編〉】
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日本での仕事について
―日本語を学び始めた理由を教えてください。
日本で生活をするためです。まず夫が日本に働きに来て、その後私も来日しました。その時はまだ何も話せませんでした。日本語を勉強し始めたのは50歳からなんです。日本という国と私が結びついたのはまったく運命と言ってもいいでしょう。
―差し支えなければ旦那さんの仕事について教えてください。
わたしの夫は日本研究者で、翻訳者や編集者としても活動しています。
―どのように日本語を勉強したのですか?
ボランティアでやっている日本語教室で勉強し始めました。10年ほど勉強していて、今でも週に1回通っています。日本語の先生はとても優しいですが、厳しいです。ずっと日本語で話さなければならないので大変なんです。ですから、ロシア語を学ぶ皆さんの気持ちはよくわかります。
―日本語の難しいところはどこだと思いますか?
わたしにとって特に難しいのは、漢字と単語を覚えることです。しかしだからといって嫌いなわけではなく、一年間書道を習ったこともありました。その美学を享受することができ、とても満足しています。
―いつ来日されましたか?
初めて日本に来たのは20年前です。そこから10年間は行ったり来たりを繰り返していましたが、その後はずっと日本に住んでいます。日本に住んでいるのは運命だと思っています。
―初めて来日した時の印象を教えてください。
日本に来て最初の一週間は一歩も家の外へ出ませんでした。迷子になったり帰り道が分からなくなったりするのが怖かったですし、なにより日本語を全く、単語一つさえも知らなかったのです。その後ボランティアで教えてもらって日本語の勉強を始めてからは多少暮らしやすくなりました。もちろん、日本の環境はベラルーシやロシアとは全く異なるので慣れる必要がありましたが、今までに日本で出会った人たちは皆私に親切にしてくれたのでだんだんと日本で生活することに慣れました。今ではたくさんの友人や可愛い生徒たち、尊敬できる同僚などが日本にいます。日本で暮らしていて幸せだと言えるでしょう。
―外大以外ではどこの大学で教えていましたか?
早稲田大学でロシア語、ロシア語のスピーチ、ロシアの映画と演劇について教えていました。
大学について
―仕事や生活で大変なことはありますか?
特にないですが、日本語があまり話せないことが一番の問題です。でも、もし私が日本語をとても上手に話せたら、授業中ずっと日本語で話してしまうでしょう。それでは生徒たちに悪いですから、授業中はできるだけロシア語で話しています。
―今までに仕事などで挫折を経験したことはありますか?
人生や仕事においてそれほど大きな挫折というものはなかったように思います。というのも私がこれまでに出会った人々は皆とてもいい人たちだったからです。その人たちのおかげで私の人生は豊かなものであり続けてきました。そんな人たちとめぐり合わせてくれた運命にも私はとても感謝しています。
―もし教師でなければどのような職業があり得たと思いますか?
教師以外にやりたい仕事は、やはり劇団の演出家ですね。
―外大生の印象をお聞かせください。
とっても優秀です。可愛くて、魅力的で、頑張り屋の素晴らしい若者たちです。愛する皆さんと会うのが好きですよ。生徒たちのことは私の子供だと思っています。
―普段外大のほかの先生方との交流はありますか?
とても優秀な専門家たちで、素晴らしい人たちです。先生方とは授業や勉強方法、そして生徒たちについて話しています。
―外大生にメッセージがあればお願いします。
Дорогие студенты. Я вас очень люблю. Я бываю строгая иногда, но я вас все равно очень люблю. Изучать русский язык трудно. Это иностранный язык. Но вы стараетесь. И спасибо вам за это. Встретимся на уроках. До встречи!
(親愛なる学生の皆さん。私は皆さんをとても愛しています。時々厳しくするけれど、それでもやっぱり大好きですよ。ロシア語学習は難しいです――外国語ですから。しかしみなさんは頑張っています。私はそのことに感謝しています。授業で会いましょう。ではまた!)
ナターリヤ先生、ありがとうございます。普段授業を受けているだけでは聞けないような様々なお話を伺えてとても新鮮でしたし、ロシア語を勉強している我々への温かい言葉も心に響きました。特に1年生や2年生の方、ロシア語学習者の皆さんにとっても先生の言葉が学習のモチベーションとなることを願います。
以上、ナターリヤ・ヴィクトロヴナ・バルシャイ先生へのインタビューでした。
取材・執筆担当:内藤奏汰(4年)、長谷川朝香(2年)
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