東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

巽由樹子准教授【ロシア語科教員インタビュー〈後編〉】

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↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

 

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ロシア地域研究者として 今とこれから

―現在、先生は何について研究されていますか?

一言でいうなら、「ロシアの文化史」とまとめるのが楽かな…(笑) いろいろな事物が権威を与えられることによって「文化」になるプロセスや、その「文化」による人々の価値観の変遷について研究しています。また、プロセスの中で書物からインターネットまでメディアがどのような役割を負うのかについても興味があります。

 

―研究者どうしの交流はありますか?

学会に行って知り合いの輪が広がったり、新しい知識を得たりすることはよくありますね。

西洋史学の研究室に在籍していたので、その分野の研究者の方々とは20代から交流があって、今でもおすすめの本を教えてもらったりしますね。学内では、チェコ専攻の篠原琢先生(教授、中央ヨーロッパ史)を始めとした多くの歴史学の先生とプロジェクトをやったりしますね。

 

―研究の過程で挫折やモチベーションを失うこともあるかと思うのですが、続けるためのモチベーションはありますか?

「面白い!」と思う何かに出会うこと、そしてそれを「自分で言語化して説明したい!」という気持ちがモチベーションになります。

博士論文の査読では、議論が客観的でないと評価されて心が折れることもありましたが、今に活きる訓練であったことは確かです。モチベーションが下がった時もありましたが、そこでのトレーニングを乗り越えたので、研究者としての素地はあるのかなと思っています。

 

―今後、研究で成し遂げたいと考えていらっしゃることはありますか?またそのために必要だと思うものはありますか?

今はロシアのミュージアムが情報の伝達者としてどのような役割を担っているのかに興味があります。研究のためには、やはり勉強するしかなくて、時間プリーズって感じです…(笑)

仕事も家庭も忙しいのですが、研究者としての優先順位を間違えてはいけないなと思う部分もあります。やりたいことはあるけど、史料収集が追い付かず曖昧なので、これから進めていきたいです。

 

巽先生から見る外大やロシア語科

―先生から見た外大の魅力やロシア語科の魅力を教えてください。

ロシアに興味を持つ日本の学生ってそんなに多いわけではなくて、東大の学部時代には少なかったし私自身もロシア語クラスではありませんでした。でも外大は1学年に60人もロシア語専攻の学生がいて、ディープにロシア語やロシアが好きな人もいればもう少しライトにロシアに関わっている人もいます。そういう裾野の広さというのはやはり他にない特色かなと思っています。

外大の学生さんは人と関わるときに優しいというか、マウンティングとは遠い、良いバランスを持った人が多いと思います。

結構専門的な内容を授業やゼミでやることもあるんですが、課題やコメントシートを見ていると非常にきちんとしたものを提出してくれるので、人との関わり方のバランスが取れている上で勉強もきちんと深められる学生が多いと感じます。そういうところが社会に出た時にいい人材になるんだろうなと感じさせます。

 

―語科内やネイティブの教員、他の地域を担当している先生方との交流はありますか?

結構ありますね。ロシア語科はとても風通しが良い職場なので、今は皆忙しいしコロナなので飲みや食事に行くということはないですが、ちょっと相談するとかそういったことはあります。当たり障りのない話だけではなく、困った時にはちゃんと相談に乗ってくださるなという実感があります。その中でも沼野恭子先生(教授、ロシア文学・ロシア文化)の人柄が大きいと思うんですが、前田和泉先生(教授、ロシア文学・ロシア文化)もツッコミを入れてくださったりしますし(笑)、皆さん掛け値なしにいい人たちだと思います。 

ネイティブの先生は研究室が横並びになっています。ナターリヤ・バルシャイ先生(特任教授)は温かい方だと思います。クリスマスカードを研究室のドアに届けておいてくださったりして。

 

―因みにネイティブの先生とは何語でお話をされますか?

ロシア語で話しますね。

 

―教員として授業を行うときに意識していることものはありますか?

人数が多くてロシア語の授業はひとつのクラスに30人という学級のような感じなので、すごくハキハキして目立つような人もいれば静かに座っているような人たち、男の子や女の子、気分が落ち着いてるような人、へこんでいるような人もいるわけですね。当てたらハキハキ答えてくれるだろうなという人に当てると楽なのですが、そうすると指名が一箇所に集中してしまって全体でつながる授業にはなりません。

調子の悪そうな人に当てるということはないんですが、普段自分から声を上げるということはなくても当てられたらきちんと答えられると言う人を当てたり、 ただ当てるだけではなく少しお喋りを入れるなど一体感を意識した授業を行いたいです。

特に学生の名前を覚えることを大事だと思っていて、2年生のうちに名前を覚えたいと思っています。去年の2年生はオンライン授業だったので少しそれが厳しかったですが、今年の2年生は対面で行なっているので今頑張って名前を覚えているところです。

 

―大学構内で好きな場所はどこですか?

図書館が好きで、吹き抜けの見晴らしの良い席で学生の皆さんと同じように勉強することもあります。書庫も使うことがあります。

 

―最後にロシア地域研究を志している学生に向けてのメッセージをお願いします。

ロシアというのは文化がものすごく優れていて、また歴史の展開としては極端なところもある国です。歴史的には思い切った見直しも可能であるという地域でもあってとても刺激的な対象だと思います。その意味でまず面白い地域だということを伝えたいです。

 

普段授業でお世話になっている先生もロシア語の勉強で悩むことがあると知ってとても安心しました。我々もくじけずに頑張りたいと思います!

 

取材・執筆担当:宮原凜(3年)、外山夏帆(3年)、杉村(1年)

 

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