東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ナターリヤ・バルシャイ先生【ロシア語科教員インタビュー〈前編〉】

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● ナターリヤ・ヴィクトロヴナ・イワノヴァ(バルシャイ)先生

ベラルーシ出身、ロシア人の父とベラルーシ人の母のもとに生まれる。ベラルーシの演劇学校で学んだ後、現地の大学で教員としてスピーチや演出・演技の技術の授業を担当、その傍ら学生演劇の演出も担当。50歳の頃、夫の仕事の関係で来日し、1999年よりロシア語劇団コンツェルト※に携わる。

 

※劇団コンツェルトについて

劇団コンツェルトは早稲田大学をはじめとして東京外大、東大、慶應大などの学生からなる学生劇団で、全編ロシア語での演劇に取り組んでいる。1970年に設立、2020年に設立50周年と第50回目の公演を迎えた。ナターリヤ先生は1999年よりロシア語の演出や発音・演技指導を担当、2019年本公演を以て芸術監督の役職を退任された。

 

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地元について 

―先生はどこの国・町のご出身ですか?

私はベラルーシという国で生まれました。私が育ったのは都市ではなく、Малая Сливка (小さなプラム) という小さな村です。とても長閑な田舎の村で、周りには野原や平原、そして森が広がっています。自然がとても美しい村です。

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―その村の見所や特産品などはありますか?

自然が豊かなので、特産品というと果実などがメインです。私の家の隣には果樹園があり、リンゴや梨、プラム、さくらんぼなどが取れます。見所は、村の周りの草原や森といった美しい自然の数々です。

 

―ベラルーシにいた時にはベラルーシ語は使用していましたか?

はい、もちろんです。地元の学校では皆基本的にベラルーシ語を話していました。しかしロシア語やロシア文学の授業もあったため、ベラルーシ語※とロシア語の二つの言語を話していました。また私の父はロシア人、母はベラルーシ人だったので、父親と話す時にはロシア語、母親と話す時にはベラルーシ語と家庭内でも二つの言語を使い分けていました。

※ベラルーシ語はロシア語と並んでベラルーシ共和国の国語に指定されているが、母語や家庭内言語としての地位はロシア語が優勢であり、特に都市部ではベラルーシ語を話せないベラルーシ人も多い。

 

―家庭ではどのような料理を食べていましたか?

子供の頃にはドラニキ(ジャガイモのパンケーキ)や目玉焼き、ブリヌイ(ロシア風クレープ)などをよく食べていました。付け合わせには牛乳やスメタナ(サワークリーム)がよく出ました。

 

ご専門について

―先生はベラルーシの演劇学校に通っていたそうですが、そのきっかけは何ですか?

学校行事などで舞台に立って人前で表現をすることが好きだったので、高校を卒業した後にそのまま演劇の道を進もうと思ってそこに入りました。そこでは私は演出家の卵でした。

 

―学校ではどんなことを勉強されましたか?

主に舞台での発声や動きといった演技についてのことや演出の技術について学びました。朝から晩までみっちり授業があり、疲れはするもののとても面白くて皆楽しんで学校生活を送っていました。それは好きなことでしたから。

 

―現地で劇団を率いたことはありますか?

演劇学校を卒業した後、私は教育大学や文化大学で演出の理論や俳優の技術、弁論術といったことを教えながら、大学の学生主催の劇団に携わってきました。ですから商業的なプロの劇団にはいませんでしたが、学生演劇の演出家として劇を作っていました。

 

―今までにどんな作品を演出してきましたか?

私は40年以上演出家をやっていますが、主にロシアの古典作品や現代戯曲などを演出することが多かったです。おそらく今までに50以上の劇の演出をしてきたと思います。いろいろな作家の文学作品を劇にしてきましたし、ロシアを飛び越えて海外の作品の演出をしたこともあります。またロシア国内外の詩文学作品を演出したこともあります。

 

―今後演出の仕事をするとしたらどのような劇をやったみたいですか?

今はロシアの詩文学の作品の演出をしてみたいと思っています。特に愛にまつわる喜びや悲劇を描いたものがいいですね。

 

取材・執筆担当:内藤奏汰 (4年)、長谷川朝香 (2年)

 

↓インタビュー後編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com