東京外大生にインタビュー!第20弾【ペルシア語科編】〈前編〉
ペルシア語科あまねさんへのインタビュー
【学生生活について】
ー外大に入った理由と、なぜペルシア語科にしたか、学部はどうやって決めたかを教えてください
なんと言ってもペルシア語やイランについて本格的に学べるからですね。高校2年生くらいの時から自分の出自を活かしてイランに関わるような仕事に就きたいと考え始めたのですが、そのような勉強ができる一番レベルの高いところを目指そうと思い外大にしました。学部は将来仕事で活用できるようなスキルが身に付くと思ったので国際社会学部にしました。また、国際関係に興味があったというのも理由の一つです。
ー実際に入ってみてどうでしたか?思っていたことと違った!ということはありましたか?(いい意味でも悪い意味でも)
外大に入る前は自然に留学生と交流できるものだと思っていましたが、実際は自分から英語の授業などを取らないと留学生との接点があまりないというのが思っていた事とは違いました。韓国など、日本語での意思疎通ができた留学生との関係がやっぱり深くなりましたね。
ーペルシア語科の雰囲気を教えてください!
ペルシア語科はいい意味で狭い語科です。小語科の中でも特に先輩後輩の結びつきが強く、学生向けに解放されている研究室(通称ペ研)で勉強や雑談をしていくうちにとても仲良くなります。また語科独自での合宿や忘年会など親交の場が設けられています。語科の皆でディズニーに行って遊んだり、コロナ以降はzoomを使ってゲームをしたりと学外でも仲は良いのですが、むさくるしいほど干渉してくるということはなく適度な距離感をもてる良い語科です。小さな語科内で良い友人関係が作れたことは一生の宝です。
ーペルシア語科に入って良かったことは何ですか?
やはりペルシア語の勉強ができたことですね。「親の言葉喋れない系ハーフ」から脱却できたのはとてもうれしかったです。また、自分が今まで読むことができなかった文字(ペルシア語はアラビア文字に数文字加えたペルシア文字で表記する)を読めるようになる喜びは何物にも代えがたいですね。あとアラビア語を始めるときの取っ掛かりが多少楽になります。
ーちなみにペルシア語を勉強し始めてからお母さんとペルシア語で話す機会などは増えましたか?
自分からはあまり話さないのですが、母親の方はペルシア語で話すようになりましたね。今では日常会話の3割くらいがペルシア語になっています。ただ重要なことをペルシア語で言われたりすると少し困ることもあります。
ー逆に、ペルシア語科に入って後悔したことや辛かったことはありますか?
ペルシア語は簡単な文法を有しているがゆえ、文章を読み取るのがとても難しい言語です。私は特に講読が苦手で夜遅くまで研究室でヒイヒイ言いながら予習をしていたくらいなので、その点はとてもきつかったですね。また、外語祭で人手不足に陥るのも少数語科ならではの大変さだと思います。
ー確かにペルシア語の文構造を把握するのは大変ですよね。
そうですね、ペルシア語は響きが重要なので、多少文法がめちゃくちゃでも綺麗に響くように語順が変えられたりもします。だから文章を読む際には自分でも声に出して読んでみることが重要です。特に詩ではその傾向があるので読むのが大変です。
ー言語の勉強はどのように進みますか?
1年生の春学期は、日本人の先生の授業では教科書に沿って主に文法を学びます。ネイティブの先生の授業では先生が教科書とは別に用意した教材を使っているので、文法のクラスとはあまりリンクしていません。秋学期は春学期に進みきらずに残った文法事項を習うほか、ちょっとした講読が始まります。2年生以降は本格的に講読が始まりますね。ネイティブの先生の授業はどちらかといえばスピーキングがメインになります。
ー中東地域関連で最も面白かった授業は何ですか?
ニッチな授業になってしましますが、「16-19世紀イランにおける政治・法秩序の変容」という授業が面白かったです。実際にイラン政府から賞を受け取るほどの大御所の先生の講義で、新しく得る知識が多くとても為になりました。
ほかにも、同地域のA先生の授業は全般的に面白かったです。難しい話もありますが、ジョークも交えつつユーモアあふれる授業をされていたので1時間半退屈することなく聞いていました。
ーまた、語科と関係なく、外大の授業で面白かったものを教えてください!
文化人類学系の授業は面白いものが多いですね。人類の攻撃性についてチンパンジーとボノボを参照しつつ考察する授業や、環境変化等の問題について映画を見て考えてみる授業等があり、型にとらわれない面白さを実感しました。リフレッシュできますし、主体的に想像力を働かせて考える授業は言語とはまた違った面白さがありますね。
ー今現在、ペルシア語や中東地域に関わる活動や仕事をしていますか?している場合、どのようなきっかけで始めましたか?
特に活動などはしていませんが、ペルシア語科ではアクティブラーニング(学期中に二回にわたって与えられる授業内課題)としてペルシア語の記事翻訳をしますね。翻訳したものは外大のHPや「日本語で見る世界のメディア」 というTwitterアカウントで発信されています。
(http://www.el.tufs.ac.jp/tufsmedia/)
ー語科の卒業生はどのような進路に進む方が多いですか。また、将来やってみたい仕事や夢はありますか。
みんなバラバラでペルシア語など、外大特有の知識を生かす仕事に就く方もいれば全く関係ない仕事に就く方もいるので、どのような進路が多いなどは特にないかとは思います。イラン関係の仕事でいうとJICAやマスコミ関係、また外務省に進む方も一定数いるようです。自分もイラン関係の仕事に就きたいと考えているので、その辺りの職業を目指しています。
【学びについて】
ー所属しているゼミと、入った理由、勉強している内容を教えてください。
自分は比較政治学ゼミに入っています。このゼミに入った理由は、ゼミの教授がイラン研究の第一人者であることに加え、地域研究よりもより広範な視座をもった勉強をしてみたいと思ったからです。比較政治学は政治学の中でも比較的社会学寄りであり、自分の性分に合っているように感じます。ゼミでは専ら社会で起きている一見不可思議な現象を社会学的な視座を用いることによって科学的に説明する練習などをしています。
ーゼミはどのような流れで進みますか?
ゼミでは先生が選んだ本を読み進めていました。英語で書かれたものなのですが、指定されたページの内容を毎週2人ほどが自分なりに噛み砕いて発表し、先生がそれに補足をしながら進めていました。学期末にはまとめとして、個別発表を行いました。
ーゼミには何人くらい所属していますか?
先輩も混じっていたのですが、同学年は6人ほどでした。東南アジアから中東地域専攻の学生が多いように感じます。
ーゼミで勉強しているテーマの面白さを教えてください。
やはりある社会の特徴を説明する際に「○○人は本質的にこうだからこのような結果になるんだよ。」というような言説をつかわず、科学的な理由を考察していくところが面白いです。
ー卒論ではどのような内容を書く予定ですか?
まだはっきりとは定まっていませんが、イランのある社会的な出来事、例えばデモ等についてそれが起きたこと理由をきちんと科学的に考察していくような内容を書きたいと思っています。
文責:そーにゃ
(インタビュー実施日:2月27日)
☆次回!ペルシア語科後編!
-鬱陶しいほどフレンドリー?イラン人について知れる留学のお話!
-近年のイラン情勢、さらにイランとロシアの関係も!
↓後編はこちら
tufs-russialove.hatenablog.com