東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

お茶を飲んで冬を乗り越えよう!~ロシアと日本、お茶文化の比較~

こんにちは。ももです。最近は暖かい日が続いていますね。ですがまだまだ冬は続きます…。冬の寒い夜、みなさんは何を飲みますか?緑茶や紅茶、コーヒー、ほかにも、ココアやチャイなどを飲む人もいるかもしれません。温かいものを飲むと体の中からぽかぽかしてきますよね。というわけで今回は、日本より長くて厳しい冬を持つロシアのお茶文化と日本のお茶文化を比べてみました。

 

〇 日本人とお茶

そもそものお茶の起源は、中国の雲南省で初めて茶樹が発見されたという説が有力です。それが日本に伝わったのは平安初期。最澄空海などの遣唐使が伝えたといわれています。そこから貴族や武士にお茶を飲む文化が広がっていきました。さらに、江戸時代初期に急須でお茶をいれる煎茶の文化が中国から伝わり、より簡単にお茶を飲めるようになったことで、庶民にもお茶を飲む文化が広がっていきました。

 

〇 ロシアのお茶文化

公式にお茶がロシアに伝わったのは17世紀前半、モンゴルからロシア皇帝へ献上された中国茶でした。やがてロシアと清の間で国交が結ばれると、牛車やラクダにお茶を積んで、モンゴルやシベリアを何か月もかけてロシアに運んでいたそうです。19世紀後半にスエズ運河シベリア鉄道が開通したことで、より楽に運搬することができるようになり、輸入量も増えていきました。

ロシアのお茶文化には、サモワールが欠かせません。サモワールとは、卓上の湯沸かし器のことです。金属製の壺で、中央に炭火などの燃料を入れ、周囲の空洞部に水を注ぐとお湯が沸く仕組みになっています。タンクの下のほうに蛇口が付いていて、壺の上にティーポットを載せられるようになっています。使い方は、燃料でサモワールの中のお湯を沸かすと同時に、上に乗せたティーポットで濃いめのお茶を煮出します。飲むときには、ティーポットのお茶を注ぎ、必要に応じて蛇口からお湯を注いで好みの濃度に薄めます。サモワールを使うことで、濃さを調節できるだけでなく、いつでも熱いお茶が飲めるようになっているのですね。

ロシアンティーといえば、紅茶にジャムを入れて飲むとイメージする人もいるかもしれません。しかし実際にはそのように飲むことはなく、お茶請けとして添えられるヴァレーニエ(ロシア風のジャム)をなめながら飲むのがロシア風の楽しみ方。ぜひ試してみてください。

 

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〇 日本とロシア、お茶菓子比較

日本でお茶菓子として挙げられるのは、やはりまんじゅうやようかん、大福などの和菓子ではないでしょうか。特に濃ゆい抹茶と甘みが強い和菓子との相性はぴったりだと思います。ですがしょっぱいおせんべいや、洋菓子のチョコレートやカステラ、さらにナッツとも組み合わせは抜群。お茶の種類や温度によって合うお菓子を探すことができる(そして大体なんにでも合う)のが、日本茶の素晴らしさだと思います。

ロシアではお茶請けとしてジャムや砂糖、果物などが出されますが、ほかにも様々なお茶菓子があります。北欧やバルト三国でも食べられているオープンサンドイッチは、バゲットにニシンやサーモンの塩漬けなどを載せたもので、見た目にも鮮やか。はちみつで練った生地を焼いたロシア風ビスケットのプリャーニキやカッテージチーズで作った焼きチーズ菓子のスィルニキなどもとってもおいしそう…。これらのお菓子とともに優雅なロシアン・ティータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

〇 ちょっと変わってる?日本のお茶文化

日本や中国、東南アジアで飲まれている緑茶やウーロン茶には、一般的に砂糖を入れません。その理由は一説によると、渋みやほろ苦さとともに茶葉本来のほのかな甘みを感じる、とても繊細な飲み物だからだそうです。ただ、個人的には、何となく合わなそうという固定概念で砂糖を入れてこなかったので、今度試してみたいと思います。意外と合うかも…?

また、熱いお茶だけでなく冷たいお茶を飲む習慣があるのも日本特有で、世界的にはお茶は熱い飲み物という認識の地域がほとんどだそうです。

 

〇 ミルクティーは飲まない?ロシア文化の謎

ロシアでは、ジャムやレモンと一緒に紅茶を飲む文化がありますが、一方ミルクやクリームを添えることは少ないんだそう。その理由は、紅茶は体を温める冬の飲み物だから。新鮮なミルクが手に入るのは初夏から秋までの限られた期間なので、冬に飲む紅茶に入れて飲むという習慣が根付かなかったみたいです。逆にヴァレーニエ(ロシア風のジャム)は夏にダーチャ(ロシアの別荘)で摘んだベリーで作った保存食なので、冬の間も紅茶と一緒に楽しむことができるのですね。

 

今回は日本とロシアのお茶の違いを比べてみました。実際に調べてみるとここには載せきれないくらい面白い話がたくさん見つかったので、いつか第二弾を書くかもしれません(笑)。今回は日本とロシアに焦点を当てましたが、お茶は世界中で飲まれている飲み物なので、各国のお茶事情なども調べてみたいですね。以上、読んでくださりありがとうございました!

 

文責:もも

 

*今日のロシア語*

чай(チャーイ)

 意味:お茶

чашка(チャーシュカ)

 意味:茶碗

 

【参考文献】

『お茶ミュージアム-ヨーロッパ・アメリカのお茶文化』

http://museum.ichikawaen.co.jp/knowledge/euro-usa.php

ルピシア―ロシアのお茶文化』

https://www.lupicia.com/magazine/2018/02/special.html

 萩野恭子・沼野恭子(2006)『家庭で作れるロシア料理~ダーチャの菜園の恵みがいっぱい!~』河出書房新社