東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

留学体験記モスクワ&ペテルブルグ【後編】

Дорогие друзья!(ダラギーエ ドゥルジヤー「親愛なる友よ!」)こんにちは〜言文ロシア語専攻3年の長谷川公樹です。前回の記事に引き続き、ロシアでの短期留学の思い出を綴っていきたいと思います。今回は、観光に焦点を当てていきます!

 

ロシアは日本人にとっては観光地としては馴染みのない国ですよね…しかし!世界的に見れば、ロシアも観光大国なんです!特に古都サンクトペテルブルグはとても世界屈指の人気観光地です。この点は、僕自身が現地に行って確信しました。見るべき観光地や文化施設が本当にたくさんあるんです。1ヶ月の滞在期間でも、全てを巡るには到底足りないと感じました。

 

僕は、モスクワに約3週間とペテルブルグに3日程滞在しました。しかし、滞在していた期間の最後の方は、ロシアでもコロナ対策が始まってしまい、ペテルブルグに行ったときには、残念ながらほとんどの観光地が閉まっていました。なので、今回ご紹介できるのは、モスクワの観光スポットが中心となります。

 

まず、モスクワは博物館や美術館、そして劇場がとてもたくさんあります。宇宙関連施設が人気なのも特徴の一つと言えると思います。ただ、本当に多すぎて全てを巡るには絶対に長期留学しなければいけないだろうと思いました。

 

では、僕が行けたいくつかの観光地の中で、ベスト3をご紹介しようと思います!

 

まず3位は、プーシキン美術館です。モスクワを代表する美術館の一つで、ロシア国内に限らず、西ヨーロッパの著名な画家の作品も多く取り揃えています。僕は、そんな有名な絵がいくつも飾られているとは知らず、友だちと気軽に立ち寄ったら、、、なんとモネやマネ、ドガやゴッホなどなど日本の小学生でも知っている画家たちの作品がいくつも展示されていました。次の写真はモネの「睡蓮の池」です。

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このプーシキン美術館、面白かったのはこれらの著名画家の絵が展示されている常設展だけではありません。特別展の方では、刺青展をやっていました。そこでは、なんと日本の入れ墨にも焦点を当てていました。僕は刺青には抵抗があるので、あまり写真には残していませんが、立派な刺青を施した侍が描かれた浮世絵がいくつも展示されていましたし、日本の極道で受け継がれてきた刺青文化を紹介しているVTRも流れていました。

プーシキン美術館は、気軽に立ち寄った割には、思いの外収穫がありました。

 

第2位は、トレチャコフ美術館です。これは、ペテルブルグにあるエルミタージュ美術館と並んで世界的にも知名度の高い美術館です。エルミタージュ美術館は、ロマノフ王朝時代の美術品や西ヨーロッパから収集した作品が中心であるのに対し、トレチャコフ美術館はロシア国内の画家の作品や、ロシア正教の作品を中心に展示しています。外観は思ったよりも地味という印象でしたが、本当に多くの作品が並んでいました。しっかり楽しもうと思ったら丸1日かかります。僕は、ロシアの画家の中では、イワン・クラムスコイが好きなので、彼の作品を直に見れるのを楽しみにしていました。下の写真に写っている絵が、代表作の「忘れえぬ女」です。

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どこかで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか?よくチャイコフスキーのCDの表紙に使われています。

この作品は、日本でも人気が高く、私がモスクワに行く半年前には日本にこの作品が来ていたんです。僕はそのときは見にいけなかったのですが、私の親や友人が見に行っていました。自分の知人が半年前に日本で見た作品とモスクワで出会うというのも何か感慨深いものがありますよ。

 

ここまで読んで下さった皆さん、何か疑問に思うことはありませんか?そう!ロシアの美術館は撮影可なんです!学生さんたちが椅子に座って念入りに絵の勉強をしているのも日本では見られない光景でした。

 

では第1位は、、、、ボリショイ劇場です!ロシア語の教科書の例文に何度も何度も登場するあのБольшой театр(バリショイ チアトゥル)です!日本では、バレエの殿堂として知られています。もちろんロシアバレエファンの筆者にとっては絶対に行きたい場所でした。モスクワ中心部の赤の広場の隣に建つこちらの建物。

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この威風堂々とした存在感!やはり本場の劇場は全て格が違いました。

こちらが、劇場のチケットオフィスで直接買ったチケット。

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チケット自体の装飾が美しいですよね。ロシア人の店員はほとんどロシア語しか話せないことが多いのですが、流石にボリショイ劇場のスタッフは、数字(特に値段と時間)はスムーズに英語で言えていました。

ボリショイ劇場といっても、古くから使われているHistorical StageとNew Stageという2つの劇場があります。本当は両方行く予定だったのですが、諸般の事情によりNew Stageのみ行くことになりました。

では、公演当日チケットも用意して早速入場、、、といきたいところですが、ボリショイ劇場のエントランスには黒い壁がそびえ立っていました。入場するには、空港のような念入りな荷物検査を受けなければなりません。黒いスーツの大男が立っていると不慣れな日本人にはドキッとしてしまいますが、そのおかげで安心して観劇を楽しめますよね。

次は、荷物とコートをクロークに預けなければいけません。日本では座席まで持ち込むことが多いですが、ロシアでは冬に厚着をするせいか分かりませんが、クロークに荷物とコートを預けるのはマナーとなっています。こちらがクロークのタグ。

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こんなところまで美しいのも、さすがですよね。

 

こちらがロビーの写真。

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シャンデリアや壁の装飾が本当に綺麗でした。

次はホール内です。私の席は3階バルコニー席(約6,500円)でしたが、日本の劇場に比べて舞台への距離感が近いのが良かったです。

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今回観た作品は、「明るい小川」というソ連時代の作品です。ショスタコーヴィッチの曲に合わせて、ソ連の田舎町を舞台にした心温まる作品でした。

なんとカーテンコールも撮影可というサービスの良さだっので、しっかり好きなロシア人ダンサーを写真と動画におさめてしまいました。

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ここで気づいたのですが、ロシア人の観客と日本人の観客の観劇の様子は少し異なります。最も気になったのは、そのカーテンコールのとき。日本人は、手が痛くなるまで何度も何度も拍手をして、少しでも長い時間アーティストを見ようとカーテンコールを続けますよね。でも、ロシア人は少しドライなところがあり、終演するとカーテンコールを待たずにどんどん帰ってしまうんです。なんともったいない。

こうして僕の夢のバレエ鑑賞@ボリショイ劇場は幕を閉じました〜。

 

ここまでで、観光地を3つご紹介しましたが、、、観光の超重要な要素を見落としていましたね。そう、グルメです!

モスクワの食文化について、3つお伝えしたいことがあります。

 

まず一つ目は、ロシア人は大の紅茶好きということです。ロシア人は、本当にどこでも紅茶を飲みます。オフィスはもちろんのこと、新幹線の中でも飲んでいる人がいましたし、病院でも毎食紅茶が出てくるんです!(なんでそんなこと知っているのかは、ここでは秘密です…笑)

では、ロシアに行ったら早速紅茶を注文してみましょう!といきたいところですが、ここで注意点が二つあります。

一つ目は、「紅茶」の言い表し方です。実は教科書では「紅茶」=чай(チャイ)となっていますが、ロシアでは《Дайте мне чай.》「чайを下さい」というと《Какой чай?》「どんなお茶?」と聞き返されてしまいます。なぜかというと、多くのロシアの飲食店のメニューにはчёрный чай「黒いお茶」とзелёный чай「緑のお茶」という2種類のчайがあるからで。私たちの考える紅茶は、この前者の方にあたります。日本語では紅と書きますが、ロシア人は黒だと認識しているのでしょうか、、、笑。ちなみに後者のзелёный чайですが、なぜ「緑茶」と訳さなかったかというと、味が日本の緑茶ではなかったからです。メーカーやお店によっても違いますが、ほうじ茶に似ていたりジャスミン茶に似ていたりと、なんとも掴みがたい味をしていました。決して不味くはなかったですよ笑。教科書に「ミルク入りの紅茶を下さい」という例文があったので、その通りに言ってみたところ「どんなミルク?」と怪訝な顔をされてしまいました。

また、日本人にもロシアの紅茶について間違ったイメージが定着してしまっています。みなさん「ロシアン・ティー」といったら何を思い浮かべますか?ジャムの入った紅茶ですよね?でも実は、ロシアで紅茶を頼んでもジャムはついてきません。実際にジャムを入れて飲んでいる人も見たことがありません。

残念ながら現地ではジャム入りの紅茶を飲むことは難しいかもしれませんが、日本のロシア料理店では必ずジャムがつきの紅茶を出してくれますよ〜

もう一つ、ロシアの紅茶についてお伝えしたいのがロシアの紅茶用カップが素敵ということです。これがПодстаканник(パツタカンニク)という装飾の施された器に耐熱の厚いグラスを入れたものです。これが僕のオススメ度No.1のお土産です!ロシアのお土産といえばマトリョーシカが定番ですが、それ以外にも何か実用的で綺麗なものが欲しいという方におすすめです。下の写真は僕のロシアのお土産たちの一部なのですが、一番右端に写っているのがПодстаканникです。

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ロシアの食文化について二つ目にお伝えしたいことは、ロシア料理は野菜がたくさん!ということです。野菜スープや惣菜パン、あとは色とりどりのサラダが楽しめます。僕が現地に行って、一番気に入ったサラダはこちらです。

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「毛皮のコートを着たニシン」です。色合いが綺麗なのはもちろん、細かく刻まれた野菜の食感や、酢漬けのニシン(またはスモークサーモン)が一緒に口の中で楽しめるのが魅力です!

 

三つ目にお伝えしたいことは、ロシアに行ったら周辺諸国のエスニック料理も楽しんで!ということです。ロシアでしか食べれらないグルメは、本場のロシア料理だけではありません。日本ではなかなか味わえない本格的な東欧諸国の料理も楽しめます!僕は、ベラルーシ料理のお店とジョージア料理のお店に行きました。ベラルーシ料理は、肉やジャガイモなどを大胆に使った満腹感のあるメニューが多くてほっこりしました。ジョージア料理は、ふんだんにチーズを使った料理がとても美味しかったです。パクチーを使ったものもあり、ロシア料理とは大きくテイストが異なるという印象を受けました。

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写真には写っていませんが、この奥で民族衣装を着たおじさんたちが陽気に楽器を演奏したり民謡を歌ったりしていて、とても良い雰囲気でした。モスクワ大学の近くにあるお店で、必ずまた行きたいなと思っています。

 

最後に、ペテルブルグについても少し書きたいと思います。記事の前半にも記した通り、コロナ対策で観光地はどこも休館していたため、どこも外から眺めることしかできませんでした。一応、ネフスキー通りやエルミタージュ美術館、エカチェリーナ宮殿、カザン大聖堂といった観光名所は通りました。

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実際に行ってみて分かったのは、サンクトペテルブルグの雰囲気はモスクワとは大きく異なるということです。モスクワはソ連色が強く、コンクリートが前面に出ているのに対し、ペテルブルグはロマノフ王朝時代から続く旧市街地の風景を大切に残しています。特に中心部の歴史地区は世界遺産に登録されています。あとは、モスクワに比べると小川が多く、比較的自然が豊かな印象がありました。

 

コロナが終わったら絶対にペテルブルグ観光にリベンジしてみせると固く決意しています!

 

以上、長くなってしまいましたが、長谷川公樹によるロシア留学体験記でした〜。海外留学や海外旅行の数ある候補地の中にロシアも入れていただければ嬉しいです。では、また〜До встречи(ダ フストレーチィ「またお会いするときまで」)!

 

文責:長谷川公樹

 

*今日のロシア語*

искусство(イスクーストヴァ)

 意味:芸術

男性 гурман(グルマーン)/ 女性 гурманка(グルマーンカ)

 意味:食通、美食家