東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

プーシキンの秋が来た

Здравствуйте!

こんにちは!4年生のなつほです。

 

東京は段々と涼しい日が増えてきて、秋の訪れを感じている今日この頃です。

実はこの記事は大阪から東京に帰る新幹線の中で書いているのですが、大阪も湿気は多いものの過ごしやすい天気で季節の変わり目を感じました。

気候変動の影響なのか、年々春と秋が短くなっているように感じていますが、私だけでしょうか?

うだるような暑さの夏と凍えるような寒さの冬が長くなると、自然を楽しんだり、春秋ファッションを楽しむ機会が少なくなってしまいますね…泣

今年は例年以上に秋の雰囲気を楽しんでいきたいと思います!

 

さて、今回のテーマは「『秋』ロシア」ということで、

アレクサンドル・プーシキンの「秋(断章)」(1833年)というタイトルの詩を紹介します!

数あるプーシキンの作品の中でも、特に有名な作品で、すらすらと詩を暗唱する人もいます。

 

彼はこの詩の中で、

«Теперь моя пора» (訳:今が私の季節だ)

と詠んでいます。

 

サンクト・ペテルブルクの夏は短いので、てっきり夏や、夏の到来を予期させる春を恋しく思うのかと思いきや、

彼は秋が好きだったようです。

 

Теперь моя пора: я не люблю весны;

Скучна мне оттепель; вонь, грязь- весной я болен;

Кровь бродит; чувства, ум тоскою стеснены.

Суровою зимой я более доволен,

Люблю ее снега; в присутствии луны

Как легкий бег саней с подругой быстр и волен

Когда под соболем, согрета и свежа,

Она вам руку жмет, пылая и дрожа!

 

いまがわたしの季節-わたしは春をこのまない。

雪解けに心はふさぐ。むかつく臭い、深いぬかるみ-春にわたしは病む。

血が駆けめぐり心も思いもおしつけられる。

むしろわたしはきびしい冬を 冬の雪をなつかしむ。

あなたが月のひかりのもとに 

いとしい人とただふたりで 思いのままに軽いそりを飛ばせてゆくとき 

あなたの友はてんの毛皮に身をつつみ 若い頬をほてらせて 

燃えつつふるえつつ あなたの手を握るだろう。

(金子幸彦訳)

 

私は、秋の風が吹く季節になると、段々と日の入りが早くなる空を見てなんだか切ない気持ちになることがあります。

しかしこの詩を詠むと、

秋の風景や香りを楽しんだり、その後迎える冬に期待して過ごしたりすることで、

限りある秋の時間を堪能できるのではないかと思いました。

 

小学校の時は毎年「○○の秋」とタイトルをつける宿題がありました。思い返せば、私は何も考えずに「食欲の秋」と「読書の秋」の2つで乗り切っていました(笑)

今年は「詩の秋」にしようかな…

 

皆さんはどのような秋を過ごす予定ですか?

 

それでは、Пока!

 

参考

  • プーシキン,金子幸彦訳,プーシキン詩集,岩波書店,1968.
  • Александр Пушкин, «Осень», КУРЬТУРА.РФ, 閲覧日2022/9/11, https://www.culture.ru/poems/4408/osen 

 

きょうのロシア語

осень(オーシニ):秋

аппетит(アピチート):食欲

чтение(チチェーニエ):読書