東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第6弾【中国語科編】〈前編〉

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中国語科Tさんへのインタビュー

 

中国語科について 60名ほどの学生が在籍する、外大の中では比較的大規模な語科。東京外大の中で最も長い歴史を持つ語科の一つ。(明治6年、英・独・仏・露・中の5語科を持って東京外国語学校が発足した。)通称チャイ科。

 

Tさんについて 2017年4月に東京外国語大学国際社会学部中国語科に入学。3年次秋から約半年間中国へ留学。新型コロナウイルスの影響で当初より予定を早めて帰国。現在4回生4年生で、再来年(2022年)3月に卒業予定。卓球部に所属しており、留学先の中国でも卓球のクラブで活動していたそう。

 

外大生活編(外大を選んだ理由・中国語科について)】

―外大に入った理由と、なぜその語科にしたか、学部はどうやって決めたかを教えてください。

大学に入る動機として中国語を学びたいとずっと思っていたので、語科は自然と決まりました。中国語を学びたいと思った理由は、小さい頃から漢字が好きだったからです。また、親が中国の歴史が好きで、その影響もあって自然と中国に対して親しみを持っていました。

学部については僕が入学した当時、後期日程は国際社会学部以外選ぶことができなかったため自動的に決まりました。(2021年度入試においても、後期日程では国際社会学部しか受験することができません。)

 

―外大に実際に入ってみてどうでしたか?いい意味でも悪い意味でも、思っていたことと違った、ということはありましたか?

正直高校時代は大学での勉強がどのようなものか全く想像がついていなかったのでギャップというものはあまり感じませんでした。強いていうなら、思っていたより要求される勉強時間が長いとは感じました。

また、国社(国際社会学部)でも外大だし言語学について学べるだろうと思っていたことについては見事に裏切られました。もともとは言語学を学んでみたかったので・・・。

 

言語学ですか。言語文化学部の導入科目などは取らなかったのですか?

(外大では他学部の授業も取ることができます。上限はありますが、単位認定もされます。)

そうですね。結局取りませんでした。転学部をしようかと真剣に考えたこともあったのですが、転学部という制度を知った時期が遅かったため、国社のまま進むことにしました。

あまり社会学に興味を持たないまま国際社会学部に入ったこともあり、学びたい専門分野がなかなか思い浮かばずゼミ選びで苦労しました。

 

―そうだったのですね。ゼミについては、後ほどまた詳しくお聞きしたいと思います!まず、中国語科や中国語の勉強について伺います。

最初に、中国語科の雰囲気を教えてください。

比較的真面目な人が多い印象です。良くも悪くもはしゃぎすぎない感じで、そんな雰囲気が僕は個人的に気に入っています。また、1学年60人以上いる大語科なので、みんなでまとまって動くというよりは小さなグループがあちこちにできているように思います。

 

―中国語科に入って良かったことを教えてください。

自分が大学に入った一番の動機である、「中国語を学ぶ」ということをストレートに達成できたことと、自分にとって心地よい雰囲気の中勉強をすることができたことだと思います。あまり騒がれると集中できないので・・・。

 

―大切なことですね!逆に、入って後悔したことや辛かったことはありますか?

語科というより大学そのものに対する後悔ですが、どうしても語学ばかりに傾倒してしまい、他の学問を深く学ぶことができなくなってしまうことが少し残念でした。もちろん意識次第で自学自習を進めることはできるのですが。

他大学の学生たちが何かひとつ専門と呼べるような学問を身につけているのに対し、自分は勉強時間の多くを語学に充てていたため、「語学は果たして学問と呼べるのか」問題も含めて自分なりによく葛藤していました。そんな葛藤を抱えていたこともあり、留学先の大学で、語学だけでなく専門科目の勉強(経済学など)も学べたのはとても良かったと思っています。 

 

―語科の卒業生はどのような進路に進む方が多いですか。

正直あまり知らないのですが、印象だけで話すなら中国語を生かす仕事に就いている人はそこまで多くない気がします。僕も、直接は中国語と関係しない職業に就くつもりです。仕事をやっていく上で中国語を使う必要が出た場合はもちろん喜んで使いますが、進んで翻訳・通訳になったり中国に進出している企業に勤めたりする予定は今の所ありません。大学院に進む人ももちろんいます。

 

【勉強編(語学・その他)】

―中国語科では、言語の勉強はどのように進みますか?

(例:ロシア語科の場合、一年次はネイティブを除きすべて文法、二年次はほぼすべて講読。)

1年次、2年次ともに春秋5コマずつの計20コマで、1年次は文法2コマ、読解1コマ、ネイティブ(日本語堪能)による会話2コマの構成、2年次は文法1コマ、読解1コマ、講読(扱っているテキストが読解と異なるが、やっていることは読解とさほど変わらない)1コマ、ネイティブ(日本語堪能)による会話1コマ、ネイティブ(日本語話せない)による会話1コマという構成です。

3年次以降は中国語の方言上海語、福建語、台湾語など)のクラスや、レベルの上がった会話クラス、難しめの文章を扱った読解クラスなどを自由に選ぶことができます。

 

―1年次から読解の授業があるんですね・・・!

そうです。文法はさっぱり分からない状態ですが、一応漢字を見ればなんとなく意味は分かったりします。もちろん、初学者向けのやさしい文章を読むのですが。

 

―そうなんですね。中国語の授業で一番面白かったものは何ですか?

個人的には2年次に受けるM先生の講読のクラスが一番面白かったです。文章の文法構成をきちんと捉え、それを訳に活かすということを学生にしっかりと身につけさせようとしていて、どんな訳を書けば直しのない訳になるのかなと考えながら予習するのが楽しかったのを覚えています。また、扱った文章が現代小説で、普通に読んでいても面白かったです。

  

―力がつきそうな授業ですね!

また、専攻地域と関係なく、Tさんが個人的に取っていて好きだった外大の授業も教えてください。

沖縄語の授業と、経営組織論の授業が面白かったです。

前者(沖縄語)は世界教養科目(主に1・2年次に取ることになる科目。各大学で一般に教養科目として開講されているものとさほど変わらないと思われる)で、通年の授業です。沖縄語の文法を基礎からやっていく授業です。春学期にある程度語彙や文法を蓄積し、秋学期では会話の練習をしながらさらに新しい文法を学んでいきます。毎回宿題と小テストがありますが、そこまで大変ではないです。日本語にかなり近い言語であるおかげでちょうどいいくらいの難しさに落ち着いてくれています。

ちなみに秋学期の最後の授業が終わったあと、先生と時間のある人たちとで一緒に武蔵境の沖縄料理屋に行って、ポーク卵おにぎりや豆腐よう、泡盛などの沖縄料理をいただきました。美味しかったです!

また、先生は今年の3月に沖縄語の教科書を出されました。生協にも並んでいるらしいです。 

初級沖縄語

初級沖縄語

  • 作者:悟, 花薗
  • 発売日: 2020/03/16
  • メディア: 単行本
 

 (↑こちらですね。Amazonの評価は★5つです!)

 

後者(経営組織論)は国際社会学部の概論(主に二年次に取る科目)で、こちらも通年の授業です。経営組織論という名前ではありますが、実際には心理学のような内容で、人の認知バイアスや行動の傾向について学ぶことができます。春学期は個人の行動の傾向、秋学期は集団における個人の行動の傾向を主に扱っていて、個人的にとても興味深い内容でした。

正直どちらの先生もキャラクターにややクセがあるかもしれませんが、それも含めて面白いなと感じました。

 

―どちらの授業も面白そうですね!沖縄語まで学ぶことができるのは、外大ならではという感じがします。

(外大では、27の専攻語のほかに、「世界のことば」という教養科目の授業で世界各地のさまざまな言語を学ぶことができます。ラテン語ギリシア語といった有名な言語がある一方、コリマ・ユカギール語のようなマニアックな言語もあります。)

 

【勉強編(ゼミについて)】

―所属しているゼミと、入った理由を教えてください。

経済学ゼミに所属しています。元から少し数学が好きで、経済学なら数字を扱えると思ったからです。

 

語科ゼミ(地域研究に特化したゼミ)でも経済を学ぶことはできると思いますが、そうではなく経済学一般についてのゼミを選んだのはなぜですか?

実際、国際関係コースの経済学ゼミと地域研究コースの中国経済を学ぶゼミとで少し迷いましたが、

個人的には、中国経済ゼミの方は、経済理論から中国経済を分析するというよりは中国の持つ独自の文化的観点から中国経済を捉えるという感じのゼミだという印象を持ちました。そのため、理論を中心に経済を学びたい自分とは少しずれているかなと思い、地域研究に特化しない方の経済学ゼミを選びました。

 

―なるほど!実際に、ゼミではどのようなことを学んでいるのですか?

現時点で3年生の春学期のゼミしか受けていませんが、その時は日本のバブル崩壊とその後の「失われた20年」の原因について学びました。秋学期には行動経済学について学ぶ予定です。

 

―ゼミでの勉強の面白さを教えてください。

経済学はお金の動きだけを見る学問だと思われがちですが、実際には「効用を最大化する」という大きな命題のもとに様々な分野に用いられる、ツールのような側面もあります。そのため、経済学で学んだ考え方(モデル)が日常のさまざまな事象を説明するのに活用できるところが面白いなと感じています。

 

―なんだか、心理学みたいですね!先ほど紹介してくださった、経営組織論の授業とも通ずるところがあるように思います。

そうですね。心理学の場合は科学なので、実験を通してもっと実証的に分析する印象があります。

 

―卒論はどのようなテーマで書く予定ですか?

現時点ではまだはっきりと決まっていませんが、なんとなく中国経済に関することか、行動経済学に関することを扱いたいかなとは思っています。

  

☆次回!中国語科後編!

―驚愕の超巨大キャンパス!中国での留学生活!

バッテリーがやられる!?極寒の大国、中国とロシアについて!

―最近の中国経済事情って?

季節を感じる現地の写真とともにお届けします!明日更新です!お見逃しなく!

 

文責:R

(インタビュー実施日:2020年9月21日)

 

↓後編はこちら 

tufs-russialove.hatenablog.com