東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

エルミタージュ美術館

Здравствуйте! (こんにちは!)

言文4年の長谷川公樹です!

 

新入生は、そろそろ大学の授業に慣れてきた頃でしょうか?

 

今回取り上げるのは、世界四大美術館のひとつ、エルミタージュ美術館です。

 

 

私は、サンクトペテルブルク大学に留学中に3度この美術館を訪れました。

この記事では、世界屈指の壮麗なるギャラリーの魅力を、ごく一部ですが、皆さんにご紹介します。

 

  • 概要

 

エルミタージュ美術館は、ロマノフ王朝の女帝エカチェリーナ2世による西欧画コレクションを中心に、西洋から中東、東洋まで様々な地域、年代の展示品約310万点あまりが収蔵されています。(ロシアを代表する美術館ですが、ロシアの画家や作家の作品が中心ではありません。代わりに、同じサンクトペテルブルクのロシア美術館やモスクワのトレチャコフ美術館がロシアを代表する画家たちの作品を多く取り揃えています。)

では、まずその歴史を簡単にまとめます。

 

<歴史>

 

1754年

メインの館である「冬宮」がエリザヴェータ女帝により建設が開始。

1764年

 エカチェリーナ2世により、西欧絵画225点が搬入され、彼女のコレクションが始まる。同年、「エルミータジュ」と命名。「エルミタージュ(Hermitage)」は、もともとフランス語で「隠れ家」を意味する。

1859

一般公開開始

1917

ロシア革命によりロマノフ王朝滅亡。

十月革命で、冬宮が襲撃される。

1920

個人コレクションは国有化される。

1930年代

ソ連政府が外貨獲得のため、一部の作品を国外に売却。

1941年

第二次世界大戦の戦火を避けるため、コレクションをウラル地方に避難

2014年

本館の向かい側に立つ旧参謀本部内に別館がオープン。

 

  • 展示品

【本館】

エルミタージュの目玉は、なんといってもエカチェリーナ2世が収集した西欧美術と言えるでしょう。

展示されている数ある絵画の中で、最も価値のある作品の一つが、レオナルド・ダ・ヴィンチ作「リッタの聖母」です。

 

 

その隣には、同じくダ・ヴィンチ作の「ベヌアの聖母」が飾られています。

 

他にもラファエロやレンブラント、ヴェラスケスなど、中世の西欧を代表する画家たちの名画が数多く展示されています。

 

コレクションは絵画だけではありません。美しく装飾の施された食器コレクションや、古代ギリシャやローマの彫刻、中東から東洋までのいろんな国々や民族の衣装や武器、貨幣まで、古今東西、世界のあらゆる品々がコレクションされています。

 

 

からくり時計「孔雀」…1770年代にエカチェリーナ2世が英国の時計職人ジャームズ・コックスに作らせた。エルミタージュを代表する作品のひとつ。

 



 



【別館】

一方で、別館の方には、ルノワールやモネ、ゴッホやゴーギャン、ピカソ、セザンヌなど、近代西欧美術のほとんどの巨匠の作品を多く取り揃えております。

 

 

クロード・モネ「庭の女性」

 

  • エルミタージュの魅力

 

この美術館の魅力、それは展示作品よりも、エルミタージュそれ自体です!(僕個人の感想です)

エルミタージュは、元々は美術館ではなく、ロマノフ王朝の皇帝たちのための宮殿でした。なので、建物内の階段、回廊、広間…全てが絢爛豪華に装飾されています。

そして、4万6,000平米(東京ドーム約1個分)という広さ。

 

そんな、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館でしかできない特別な体験….それは、美の迷宮で迷子になることです!

もちろん、初めは構内地図を確認しながら進みますが、あまりにも部屋数が多いため、どこかで道に迷ってしまいます。進んでも進んでも未知の部屋ばかり…

 

では、壮麗なエルミタージュの内部をご紹介しましょう。

 

 

 

【本館】

 

「大使の階段」入場ゲートを通ると、まずここから、2階へと進みます。



「黄金の客間」

 



 

「玉座の間」

 



永遠に続く回廊もワクワクします。

「ラファエロの回廊」

 




2階は、これまでの写真に写っているように、中世ヨーロッパの風の部屋で構成されていて、その多くがロマノフ王朝の皇帝たちの仕事場となっていました。

しかし、階段で1階へ降りると…

 



世界観は打って変わって、古代ギリシャやローマの彫刻たちが現れます。

 






私は、二日かけて、エルミタージュの9割以上の部屋を通過することができました。(全作品を鑑賞できたわけではない)

 

ほとんどの部屋に共通して言えることは、天井が美しいということです。無数にある部屋の天井に、それぞれ別々のデザインの装飾が施されています。

※シャンデリアは下から撮っても綺麗です。

 

 



ちなみに、エルミタージュには3階もあります。3階は、あまり装飾の豪華な部屋はなく、質素な部屋が並んでいます。

展示物は、極東から中央アジア、中東などから収集されたものや貨幣コレクションなどです。もちろん、日本の美術品やコインも陳列されています!(例え展示品であっても、日本から遠く離れた地で、日本の品に出会うと嬉しくなります。)

 

 

 

【別館】

2014年にオープンした別館の方は、宮殿である本館とは打って変わって、とても現代的なデザインになっています。

本館の向かい側にある旧参謀本部建物の向かって左半分が別館となっています。

 

 

一見すると、3階建てのシンプルな造りに見えますが….

内部は、あたかもS F映画のセットのような広い空間が広がっています。

 

 

  • まとめ

 

さて、エルミタージュ美術館に行ってみたくなりましたでしょうか?

エルミタージュの展示を全て制覇するには、何週間もかかると言われています。3回しか訪れていない私でも、皆さんに紹介したい展示や部屋は他にも山ほどありますが、今回は一部だけ紹介させていただきました。

一刻も早く情勢が落ち着いて、再び日本人もエルミタージュの作品に出会える日が戻ってくることを切に願っています。

 

До встречи!(ダ・フストレーチ)「またお会いしましょう!」

 

文責:長谷川公樹

 

 

今日のロシア語

музей(ムゼーイ)意味:博物館、美術館

картина(カルチーナ)意味:絵画

Эрмитаж(エルミターシュ)意味:エルミタージュ美術館