東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

新井滋特任教授【ロシア語科教員インタビュー〈後編〉】

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↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

 

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ビジネスマン新井先生のプライベートな素顔

―休みの日は何をされていますか?趣味は何ですか?

休みの日はお掃除ですね(笑) 整理整頓が好きなので、自宅ではお掃除担当です。あとは、テレビで野球観戦をしています。コロナの前は、実際に球場に足を運んで観戦していたほどなので、早く安心して見にけるようになってほしいものです。

 

―モーニングルーティンやナイトルーティンでは何をされていますか?

毎朝、「モーニングサテライト」という経済情報番組を見ています。資産運用をしていることもあって、株価の動きや経済動向を知るために、毎朝経済ニュースを見ることが必須ですね。夜にも「ワールドビジネスサテライト」という経済情報番組を見ています。ベッドの上でストレッチをしながら番組を見ています。これらは、「やらなければならない」という意識ではなく、「興味があるのでやる」という意識でやっていますね。

 

―今後退任された後はどのような活動をされたいですか?どのようなプライベートを過ご されたいですか?

私は世界展開力強化事業のコーディネーターとして雇われていて、世界展開力強化事業が2022年の3月で終了するので、それをもって契約終了となります。それが終わったら何をするかはまだ具体的には決まっていないのですが、この仕事を始める前のような、セミリタイアの状態に戻ろうと思っています。セミリタイアというのは、「お仕事を頼まれたらやります」といった形ですね。何もしなくなるというのはつまらないので。外大に着任する前は、JETROの専門アドバイザーとして務めたり、JICAがロシアの代表団を連れて日本の札幌に来た時に通訳をしたり、ロシア語通訳協会に入ってビジネスロシア語の講師をしたり友人の輪を広げたりしていました。そういった経験や繋がりを今後ももっと広げていきたいです。あとはプライベートでは娘が中学校1年生なので、娘の進学指導やキャリア指導を応援していきたいです。娘は迷惑に思うかもしれないけど(笑)、娘に頼まれればやっていきたいなと思いますね。

 

新井先生から外大生に向けて

―先生の在学時の外大(生)と今の外大(生)の印象に違いはありますか?

40年以上前の話なので具体的な比較をするのは難しいのですが、基本的な部分でそんなに大きな違いはないかなと思いますね。ただし、私が在学していた昭和の時代と平成・令和の時代では時代背景が全く違うので、その時々の今どきの若者像という部分での違いはあると思います。今の学生たちがどのくらいの深さで友達と付き合ってるのかわからないんですが、当時は今のようにSNSとかスマートフォンとか全く無かったので、我々は友人とかなり深く付き合っていました。友達の広がり具合や友達と付き合うときの深さが当時と今では違うかなという印象です。あとは男子学生について言うと、当時国立大学は一期校(東大や筑波大などの旧帝国大系)と二期校に分かれていたんですよ。一期校と外大みたいな二期校は試験のタイミングも違っていたので、男子学生でその当時二期校である外大を受けて入った人というのは大体一期校を受けてダメだった人が多かったんです。つまり第一志望で入ってくる人が少なかったんですね。今は一期校二期校の差は無いので、第一志望で入ってくる男子学生が多いかもしれないですね。そのため、専攻のロシア語に対するスタンスというのが違うんじゃないかと思います。私の印象では当時ロシア語を一生懸命勉強している男子学生っていうのはあまりいなかったような気がします。ですから大学を卒業する時や就活の時に、ロシアにこだわっている人がそんなにいなかった印象ですね。それが違いかもしれません。

 

―新井先生から見た外大生の強みはどのようなところだと考えられますか?

外大生の強みは語学をやっているということから来ると思うんですけども、コツコツ学習していく能力の高さだと思います。語学はやっぱり基本から地道に勉強しないと全く先に進まないので、外大生はコツコツ勉強するタイプの人が多い。つまり、学習能力が高い人がそこそこ多いんじゃないかなっていうところがあると思いますよ。そういうことは世の中に出ていっても1つの強みであって、それがゆえに色々な分野で適応が可能であると。逆にいうと、適応しないと物にならないわけですよね。私は何語が出来ますと言ってもそれはあまり強みにはならなくて。そういったコツコツ学習していく能力が高いために、色々な環境・分野に適応ができるというのが一番の強みではないかと思います。

 

―外大に着任してからの1番の思い出は何ですか?

大学で仕事をする経験が全くなかったので、最初はどうなることやらと正直思いましたね。それでもめげずにコツコツと、外大生の強みですからコツコツとやっていくなかで、どんどん面白くなってきました。1番印象に残っているのはやはり6つのロシアの協定校から来た約30名の学生に対して実施したサマースクールですね。初めての経験ですからものすごい時間をかけてね、ここまでやるかというくらいまで丁寧に準備をして実際に学生さんたちを迎えたわけなんですよ。そうしたら、ロシアの学生から非常に面白かったと感謝されたんですね。あとは、そのサマースクールの時に国際日本学のロシア語の授業の中で、各授業に対して非常に面白かった、面白かった、普通、あまり面白くなかった、全然ダメ、そういった段階の評価をするアンケートを取ったんですね。それでなんと2018年と2019年対面でやったサマースクールで2回とも、私の担当した授業が一番高評価だったんです。やった甲斐があったと思いました。私がコーディネーターだしずっと彼らの面倒を見ていたので高い評価しかあげられなかったとかあったのかもしれないですが、ロシアの学生は忖度するようなタイプがそんなにいると思わないので、純粋に高い評価を受けたのかなと思いました。そのサマースクールにかけた労力に対して、高い評価で報いがあったというのが1番印象に残っていることですね。

 

―ロシアビジネスにあたって必要な姿勢、能力は何ですか?

ロシアビジネスに限ってということは無いのですが、とにかくビジネスにおいて重要なのはコミュニケーション能力なんですね。つまり表面的にやりとりするっていうよりも相手のことを考えて、自分のことや自分の会社について正確に知ったうえで、ビジネスのパートナーの懐に入っていける。懐に入っていけるというのは、同僚、上司でもそうなんですけども、相手の気持ちをおもんばかって相手の懐に入って、コミュニケーションが取れる能力っていうのが1番大事なんですね。ロシアで特別ということを言うならば、ロシアの人はそれを非常に重要視することです。相手の母国語で深い話が出来るまでのコミュニケーション能力があれば絶対に成功すると思います。私はソニー時代やコンサルタント担当の時代に成功したと思うんですけども、それはコミュニケーションが取れたからです。そういうのを周りの人は見ているので、ソニーとしては私を14年半もモスクワに張り付けておいたわけですよ。普通そういうことはしないですからね。このように、コミュニケーション能力が高くロシア通であり、なかなかその人をリプレイスできないところまで評価を受けるというのが非常に大切です。特にロシア人というのは結構感情や人情というところに訴えかけるんですね。エモーションのレベルでコミュニケーションできると、そういう人たちは我々を受け入れるわけです。そして、それは直接ビジネスの成果となって現れるわけですね。

 

―今後ロシアビジネスに関わりたいと思っている外大生に向けて、メッセージをお願いします。

どこに就職しても、東京外大でロシア語をやっていたというのはついて回るわけです。ですから、会社がロシアに関することをやっていないとなれば話は別ですが、現在やっているもしくは今後やるという可能性がある場合、本人が好む・好まざるに関わらず、「ロシアをやってください」となる可能性が高いわけですね。その時に備えて、会社内でロシア通と呼ばれるほどのロシアについての知識を学生時代に吸収して欲しいですね。あとは、ツールとしての外国語(ロシア語+英語)が大切です。英語なしにはビジネスできませんから、特に英語は重要です。学生の時はあまり難しいことは要らないので、やろうと思えば学生時代にモノにできる文法や一般的に使われている表現といった基礎レベルをロシア語・英語ともに徹底的に鍛えて欲しいです。つまり、基本的なことですけども、自分の専門分野であるロシアの地域研究と外国語力(ロシア語力+英語力)の基礎を万全にしておくということが非常に大切だと思います。

 

新井先生が本当に様々な経験をされてきたということが分かり、新井先生への尊敬度が高まりました。私も将来ロシアビジネスに携わりたいと考えているので、新井先生の行動力やコミュニケーション能力を見習っていきたいと思います。新井先生、本当にありがとうございました。

 

取材・執筆担当:明歩谷七海(4年)、芝元さや香(4年)、添田乙羽(4年)

 

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