東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

外語祭の思い出〜語劇の主役〜

Здравствуйте! (ズドラーストヴィチェ)(こんにちは!)
言文3年の長谷川公樹です!

遂に、年に一度の一大行事、外語祭が開幕しましたね!

いつものようにバレエの話...ではなく、今日は、去年の外語祭でロシア語劇に出演したときのことを綴ろうと思います。

 

去年のロシア語劇で上演したのは、ヴァンピーロフという戯曲作家の「六月の別れ」という作品でした。かつて、ロシア語劇団コンツェルトで上演されたときには、あの沼野恭子先生がヒロインを務めたそうです!

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<あらすじ>
 大学生のコーレソフは、街でタチヤーナに出会い、一目惚れをしてしまう。しかし、タチヤーナの父は、コーレソフの通う大学学長だった。コーレソフは、素行の悪さ故に、学長に嫌われ、退学にされたくなければ、娘と別れるように迫られる。果たして、コーレソフは、自分の将来と愛する彼女のどちらを選ぶのか…

この作品で、僕は主役のコーレソフという大学生を演じました。

主役は第二希望だったのですが、第三希望まで含め主役を希望したのが僕しかいなかったそうです。

 

語劇の準備は、春学期の前から少しずつ始まりました。まずは、役職と演目を決め、そして夏学期に入るくらいまでは、大元の台本を1時間弱の語劇用に短く編集する作業がありました。
そして、夏学期の中頃から遂に少しずつ稽古が始まりました。

まずは、語科を問わない語劇のワークショップに参加し、お芝居の基礎を簡単に学びました。
そのあとは、少しずつロシア語のセリフの台本を手元に持ちながらお稽古をしました。

 

語劇には、二つの大きな難題があると思います。
発音矯正セリフの暗記です。

発音は、ネイティブの先生方に徹底的に指導をしていただきました。特に、母国の大学では演劇を学ばれた後、ロシア語劇団コンツェルトの指導もなさってきた某熱血先生には、毎週毎週何度も指導していただきました。
ロシア語科の皆さん、ネイティブの先生で、発音指導細かいな〜なんて思ったことありませんか?あれでも、先生は相当抑えていらっしゃいます。語劇のための発音指導となれば、授業の何倍も徹底的に直して下さります。
例えば、最も繰り返し直された発音のひとつが、誰でも知っているСпасибо(スパシーバ、意味:ありがとう)のси。英語のsiっぽく「スィ」と発音していませんか?それは、間違いです。むしろ日本語のように「シ」と発音するのが自然だそうです。これも、普段の授業では、あまり指摘してもらえません。

セリフは、本番の1ヶ月ほど前からしっかり覚えるようにしました。ただし、僕はサークル活動も2つ、アルバイトも1つやっていたため、なかなか覚える作業のための時間を作るのに苦労しました。そこで、「ながら作業」でセリフを覚えることにしました。僕は、普段一人暮らしをしているので、毎日家事をしなければいけません。そこで、家事を始める直前にセリフを何文か覚え、家事で手を動かしながら、何度も復唱しました。
そうすると、ある程度口がセリフを覚えてくれるようになります。

 

なんとか、ギリギリのスケジュールで準備を進めていましたが、大きなピンチもありました。本番の数週間前に、主役の僕とヒロイン役の子が2週間の自宅待機となってしまい、その間対面の練習が全くできないという事態に陥りました。これによって本番会場リハーサルも主役とヒロインがいないという危機的状態でした。

しかし、ピンチはチャンスにもなります。それまで、諸活動で忙しくてできなかったセリフ暗記を、自宅待機の有り余る時間を使って一気に進めました。1人で覚えようとしても、セリフの掛け合いの場面では、きっかけとなる相手のセリフも覚えておかなければなりません。なので、zoomで他のキャストとセリフ合わせも行いました。

そうして、なんとか本番の1週間ほど前には、ある程度セリフは暗記できていたと思います。

 

そうして、本番。
幸か不幸か、コロナ対策で本番は客席には関係者しかいませんでした。なので、例年に比べれば、出演者の緊張の度合いは、抑えられていたかもしれません。僕も、前半はとても上手くできたような記憶があります。
しかし、1時間もあると中盤、集中の糸がプツッと切れてしまう瞬間がありました。そこで、セリフが飛んでしまったり、違う動詞を言ってしまったり、とミスも少なくありませんでした。
ミスもありましたが、なんとか最後まで通すことができ、最後のカーテンコールのときには、とてもほっとしました。
無事に、オンラインでも配信され、親類や友人も観てくれました。

 

ここで、最後に本番を直前に控えている今の2年生、そして来年以降語劇に出演するであろう後輩たちにメッセージを送ります。
1つ目は、語劇の練習は、本番以後にも役に立つ!ということです。練習では、徹底的に発音を矯正し、セリフを覚えます。そのおかげか、先日ロシア人学生とロシア語で話していたときに「発音はいいね!」と言われました。(褒められたのは発音だけでしたが….笑)。また、ロシア語検定2級では、語劇のセリフで出てきたフレーズが登場しました。
2つ目は、本番で間違っても意外と平気!ということです。出演者にとって、最も怖いのは、本番でセリフが飛ぶこと。しかし、私たちはプロではありません。僕も語劇で主要なキャラクターを演じてきた先輩方からたくさん話を聞いてきましたが、「完璧にできた!」という人は、実際多くはありません。実は、本番でセリフが飛んだ先輩たちはたくさんいます。そして幸いにも、言語は外国語です。鑑賞している多くの日本人は、正直単語が違っても分かりようがありません。
もちろん、僕はこのことを通して、ミスを勧めているわけではありません。ただ、過度な緊張や、不安を感じてほしくないのです。

 

今年のロシア語劇は、最終日ですね!今年のキャストは、大勢の観客の前で演じるという、僕らが叶えられなかったことができるので、僕らの分も頑張ってほしいと思います。
そして、本番前には、上記の2つのことを思い出して、自分たちは有意義な練習をしてきた!間違いは誰にでもある!と自分らに言い聞かせて、本番に臨んでもらえればと思います。

では、Желаю удачи!(ジェラーユ ウダーチ)(成功を祈っています!)

 

文責:長谷川公樹

 

今日のロシア語

спектакль (スペクタークリ)

意味:演劇、公演