東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ジョージアのワイン文化

みなさん、Здравствуйте(ズドラーストヴイチェ)(こんにちは)!

お久しぶりです、კოჯიმაです。

秋学期が始まり、夏休みの気分も切り替わって授業のスケジュールにも慣れてきた頃合いですね。(とはいえ今年の夏も自粛でほとんど外出しない夏でしたが…)

 

在宅期間に宅飲みでワインを飲まれていた方も多いと思い、今回はジョージアのワイン文化について書こうと思います。

 

1. ワインの発祥

まず始めに、そもそもワインがどこで誕生したのか?ということに軽く触れます。

 

ピンポイントな位置でのワイン発祥の地については今でも諸説ありますが、ジョージアとアルメニアが世界最古のワイン産地とされています。2013年にはクヴェヴリという陶器を利用した8000年前から続くジョージアの伝統的な製法がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界最古のワイン産地としての地位を確立しました。

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クヴェヴリとは雫をひっくり返したような形の壺で、土の中に埋めて使用します。皮や茎などと一緒に潰したブドウの果汁を注ぎ込んで発酵させることでクヴェヴリワインが造られるのですが、醸造後に底に溜まった搾りかすはチャチャという醸造酒の原料となります。ちなみにチャチャは度数が40%以上あり、グレープウォッカとも呼ばれます。

(写真に写っている壺がクヴェヴリです。街中でもちらほらと見かけることができます。)

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ワインの製造方法はタンクや樽を使うヨーロッパ式とクヴェヴリ式の2種類しかなく、クヴェヴリ式はオーガニックな製法や味わい深さで定評があります。最近ではスペインなどヨーロッパでもクヴェヴリ式のワインが作られ始めているので、旧世界のワインが好きな方もぜひクヴェヴリワインを探して試してみてください。

 

2.  ジョージアワイン

ジョージアはワイン発祥の地というだけあり、ジョージア国内だけで500種類を超えるブドウの品種があると言われています。さらに国内の各地方に固有の品種も多くあり、それらの多様なブドウから醸造されるワインの種類の多さは目を見張るほどです。

有名なブドウの品種として、サペラヴィ種があります。このブドウからサペラヴィ(赤:ドライ)、ムクザニ(赤:ドライ)、キンヅマラウリ(赤:セミスイート)などの種類のワインが造られます。他にもキシ種やルカツィテリ種など様々な種類がありますが、ソ連時代に農場が集団化された影響で絶滅の危機にある品種も多く、再生のための取り組みも各地で行われています。

 

実は私はキンヅマラウリが大好物で、ロシア留学中は毎月1~2本は飲んでました。味わいはセミスイートとありますが、ワイナリーによって渋みと甘みのバランスがいいものからガツンと甘いものまで幅広くあるので、飲み比べてみるとワイナリーの個性がみられてとても楽しいです。

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3. 宴会文化

ジョージアには、ある有名な宴会文化があります。「スプラ」というもので、このスプラにはワインが欠かせません。スプラでの乾杯は独特で、カンツィというヤギや牛の角から作った伝統的な杯にワインを注いで乾杯します。このカンツィですが、角の先端の尖った方が底で、角の付け根側が飲み口となっているため、注がれたワインを飲み干すまで杯をテーブルに置くことができません。(個人的にはせっかくのジョージアワインを一気飲みしないといけないのはとてももったいないように思ってしまいますが…)

 

スプラにはタマダという仕切り役が不可欠です。タマダはスプラの始まりから終わりまでの全てを仕切るため良い意味で「スプラの支配者」とも言われ、乾杯の音頭を取り、歌や詩を歌い、様々な話をします。

 

タマダがどれほど大切な役割かということは、ジョージア大使館が公表している「スプラのルール」からもわかります。郷に入っては郷に従えということで、ぜひジョージアに行ってスプラに参加するときには参照してみてください。

 

4. 日本国内でのジョージアワイン

さて今回テーマの一部となったジョージアワインですが、日本国内でも販売されています。ECサイトはもちろんのこと、酒屋やワインショップ、さらには一部スーパーでも取り扱いをしているところがあります。価格は高いものが多いのですがお店によってはお求めやすい価格のものも売っていて、比較的安めのものでも外れが少ないのでオススメです。

 

今回の記事を読んでジョージアに思いを馳せながらワインを飲みたいと思ってくださった方や、友人・家族とスプラをしてみたいと思った方は、ぜひジョージアワインをお試しください。

 

今回も最後までお読みくださりありがとうございました!

それではみなさん、До свидания(ダスヴィダーニヤ)(さようなら)!

 

文責:კოჯიმა

 

参考文献

ダイヤモンド社『地球の歩き方Plat 27 ジョージア』

JICA『ワイン発祥の地、ジョージアのワインは「クレオパトラの涙」』 https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article075/index.html

『Let’s Go Georgia』 https://letsgogeorgia.com/

『ジョージア政府観光局サイト』 http://gntb.jp/