こんにちは!東京外国語大学3年の川又です。
あと10日で夏休みが終わってしまうので少し寂しいです。
今週のブログのテーマは「ひんやりロシア」です。面白いテーマですね。
最近の東京は、昼はまだ暑さが残るものの夜はかなり肌寒く感じます。今回の記事はこのちょっと冷えてきたこの時期に読むと「ひえっ」となる記事かもしれません。
今回はロシア正教の伝統儀礼である沐浴についてお話しします!
まずはこちらのプーチンによる沐浴の映像をご覧ください。今年1月20日放映のテレ東のニュースです。再生回数が50万回近くまで伸びているので、普段からロシアに関するニュースに注目している人は見たことがあるかもしれませんね。
この日の気温はなんと氷点下15℃!そんな中でこの凍った水の中に入るなんて、想像するだけで体が霜焼けを起こしそうです。
この沐浴は、伝統的に例年1月19日の洗礼祭の日に行われます。冷水に3度浸かって穢れを清め、無病息災を祝うそうです。
この日は、イエス・キリストがヨルダン川で洗礼者ヨハネの洗礼を受けた日であることから祭日とされています。ユリウス暦を採用しているロシアでは1月19日に当たりますが、その他の国では1月6日に祝われているようです。
プーチン大統領の沐浴の映像が日本でもプチバズ(ちょっと流行)していて、「ロシア正教ってこんなことしないといけないの怖い!」と思われる方もいるかもしれません。しかし、「伝統的」と書いたように、実はこの冷水に飛び込む危険な沐浴はロシア正教会が決定している絶対の規則ではないようです。ロシア正教会における洗礼祭のメインイベントは教会での祈祷と聖水の奉献であり、沐浴については正教会も「危ないから推奨はしない」という態度を取っているようです。
確かに、救急隊員に見守られながらするような沐浴が正教徒の絶対の規則だったら嫌ですね(笑)
https://www.gazeta.ru/social/photo/kak_proshli_kreshenskie_kupaniya_v_rossii.shtml?updated
↑こちらのサイトからロシア各地での沐浴の写真が見られますが、左から5枚目の写真はがっちり救急隊員の人に支えてもらいながら水に浸かる女性の写真です。水着姿の女性と帽子と手袋までバッチリの救急隊員とのギャップが面白いです。
そこまで対策するということはこれまでに心臓発作とか何か事故があったのかな…と考えずにはいられません。
例年の参加人数がどれくらいなのかははっきりとはわかりませんでしたが、ある記事によると、2020年の洗礼祭では首都モスクワだけで46箇所の沐浴場が設置されたようです。結構多い!
また、調べていく途中でпрорубь(プロールピ)という単語を知りました。「氷に開けた穴」という意味らしいです。ロシア文化を反映した単語!って感じがしていいですね。また、この穴は「ヨルダン」と呼ばれることもあるようです。もちろん、イエス・キリストが洗礼を受けたヨルダン川の名に由来しています。
「ロシア人ってぶっ飛んでるなあ」「やっぱり寒さに強いんだなあ」というステレオタイプなロシア人の姿がより強く印象付けられてしまいそうです(笑)が、実際寒さには強い人が多いのでしょうね。すごいですロシア人。
文責:川又
今日のロシア語
крещенские купания(クレシェンスキエ クパーニヤ)
意味:(洗礼祭の日の)沐浴
пропубь(プロールピ)
意味:氷に開けた穴
参考サイト
https://tass.ru/obschestvo/10471387
https://www.gazeta.ru/social/photo/kak_proshli_kreshenskie_kupaniya_v_rossii.shtml?updated
https://www.mos.ru/news/item/68198073/