東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

公演レポート ザハーロワ&レーピン

Привет(プリヴィエット)!(こんにちは!)、ロシア語科のバレエ担当、長谷川公樹です!

今回のシリーズのテーマは「外大生の夏休みの過ごし方」ということで、僕はこの夏に観たバレエ公演についてお届けします。

 

僕は、先月(2021年8月)ロシアのバレエダンサーが出演する公演を観てきました。

ザハーロワ&レーピン パ・ド・ドゥ前橋公演(8/11)

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Транссибирский арт-фестиваль (@transsiberianfestival)

www.instagram.com

ロシア・バレエ界の女帝スヴェトラーナ・ザハーロワと、その夫で世界的バイオリニストであるワディム・レーピンが共演する公演でした。

 

スヴェトラーナ・ザハーロワについては以前に出した記事で紹介しています。
https://tufs-russialove.hatenablog.com/entry/2021/08/31/202005

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Svetlana Zakharova (@svetlana_zakharova_official)

www.instagram.com

 

ワディム・レーピンについても軽くご紹介しましょう。

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by vadim (@vadim_repin_private)

www.instagram.com

彼は、ノヴォシビルスク生まれで、5歳でヴァイオリンを始めると、わずか7歳にしてオーケストラと共演。その後も、数々のコンクールで優勝し、17歳のときに国際的な演奏活動を始めました。

 

この公演は、レーピンが主催する「トランス=シベリア芸術祭」の一環として、コロナ前は毎年関東から関西圏にかけて、全国の数カ所で開催されていた公演です。今年は、都内での開催がなかったため、はるばる群馬県の前橋まで観に行きました。
席は、なんと3列目中央✨。それも、今回はオケがステージ上にいたので、オーケストラピットもなし!これまでのバレエ人生の中で、こんなに間近でバレエを観れたのは初めてでした。

同公演の様子は、2人のインタビューも合わせて、こちらの動画でわかります。英語字幕もついていますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=1I08MIN5FEw

www.youtube.com

この公演では、レーピンらの演奏に合わせて、レーピンがソロで演奏するパートと、ザハーロワをはじめとしたボリショイ劇場のダンサーたちが踊るパートが交互に展開される構成でした。

 

レーピンの演奏では、サン=サーンスの「序曲とロンド・カプリチオーソ」が素晴らしかったです。時には紳士的に、時には険しく、時には繊細に、時には渋く、音楽的な意味で、レーピンの表情の豊かさがよく分かる作品でした。3列目だったので、実際に演奏中のレーピンの顔の表情も切り替わっているのもよくわかりました。

 

バレエの方では、ザハーロワのさまざまな側面を見せてくる公演でした。
「ライモンダ」「カラヴァッジオ」では、相手を包み込むような母性的な姿を見せてくれました。彼女は、映像で見ると気高くクールな印象があるので、生で観て初めて母性的なオーラに気付かされました。

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Svetlana Zakharova (@svetlana_zakharova_official)

www.instagram.com

 

有名な「瀕死の白鳥」は、長く美しい手で舞台上の空気を導いているようでした。

www.youtube.com

彼女が最後、天高く両腕を振り上げて止めた瞬間に、空気もそこで静止し、白鳥の上体とともに、地に向かってゆっくりと沈んでいく場面が心に残っています。
そして、間近だったので、彼女の肩甲骨の細かな動きがよく観て取れたのもよかったです。

 

とてもインパクトがあったのは、「Revelation」です。

www.youtube.com


これは、有名な「シンドラーのリスト」の曲に合わせて作られたコンテンポラリー・ダンスです。振り付けは、平山素子さんという日本人のダンサーです。

 

僕は、初めて振り付けという概念を感じさせない踊りに出会いました。
もちろん振り付けは決まっているのですが、ザハロワが「シンドラーのリスト」の音楽と共鳴して発生した感情によって、衝動的に動いているように見えました。つまり、音楽と感情表現そしてムーブメントが至って自然にマッチしていたのです。

そして小道具として登場した椅子の使い方も秀逸でした。椅子に乗ったときのバランスの悪さからは、生命の繊細さ、危うさ、儚さが感じられました。特に最後、横倒しになった椅子の上に立っているザハーロワが僅かに揺れている姿が脳裏に焼き付いています。
そして、一度消えた照明が再びつき、拍手を受けているときのザハーロワの表情も心に残っています。演技中に高ぶった感情の余韻を感じさせる表情をしていました。

 

締めくくりは、「レ・リュタン」より「妖精の踊り」というコメディ・バレエでした。初めに、レーピンとボリショイの男性プリンシパル、ミハイル・ロブーピンが日本語も交えたコントを披露してくれました。実は、僕は2019年にも同演目を観ているのですが、そのときとはコントのネタが変えてあり、今回はコロナに関連したネタとなっていて、おもしろかったです。


これは、ザハーロワの明るくコミカルな一面を見れる超貴重な作品です。いくらコミカルでも、絶対に品性を損なわないところは、さすがザハーロワです。

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Svetlana Zakharova (@svetlana_zakharova_official)

www.instagram.com

カーテンコールのときに、彼女が「アリガトウ」と囁いているのも分かって嬉しかったです。

また、ご夫妻で日本にいらっしゃることを願わんばかりです。

 

 

では、次回はバレエ・ファン待望のバレエの祭典「第16回世界バレエ・フェスティバル」の公演レポートをお送りします!

 

 

文責:長谷川公樹

 

今日のロシア語

оркестр(アルキェーストル)

意味:オーケストラ

хореография(ハリアグラーフィア)

意味:振り付け