東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

輝けるロシアのバレエ・ダンサー【女性編】

Привет(プリヴィエット)!(こんにちは!)、外大ロシア語科のバレエ・マニア(自称)長谷川公樹です!

前回の男性ダンサーの紹介から日にちが経ってしまいましたが、今回も引き続きロシアのバレエ・ダンサーを紹介していきます。今回は、僕の推しのバレリーナを4人紹介します。(心を鬼にして、紹介する人数を絞りました)

 

1人目は、バレエ界のインフルエンサー、マリア・ホーレワです。

 
 
 
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彼女は、現在マリインスキー・バレエ団のファースト・ソリスト(上から二番目の階級)です。2018年にワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業して、マリインスキー・バレエ団に入団したばかりの注目の若手です。

 

ワガノワ時代から、名教師リュドミラ・コワリョーワ先生の生徒として注目を集めていました。最近では、自身のInstagramやYouTubeチャンネルで頻繁に自身の踊りやエクササイズの動画を発信しています。

例えばこちらの動画。

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彼女が、オーロラ姫のヴァリエーション(バレエ作品の中で、ダンサーが単独で踊るパート)の踊り方を解説している動画です。そもそも、有名なロシア人ダンサーが無料でヴァリエーションを解説してくれるということ自体、コンテンツとして大変価値があるものです。さらに、同内容を英語とロシア語両方で話してくれるので、リスニング教材としても役立つかもしれません。

 

では、前談が長くなってしまいましたが彼女の踊りを観ていきましょう!

今回選んだのは、「くるみ割り人形」のクララです。

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彼女のチャーミングなルックスは夢見る少女のクララ役にピッタリですよね!

さらに、華奢な上半身と長い手足、そして伸びやかなアームスの構え方が、ワガノワらしくてとにかく美しいですね〜。たっぷり曲を使ってから、スッとピクチャーポーズを決めたときの姿が…うん、たまらない!マリインスキーの理想形!

  

 

2人目は、ボリショイが生んだ超絶技巧の名手ナタリア・オシポワです。

 
 
 
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彼女はボリショイ・バレエ団でプリンシパルを務めた後、現在は英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めています。

 

彼女の特徴はなんと言っても、圧倒的な身体能力の高さです。特に彼女のジャンプの高さ、滞空時間ともに男性ダンサー並みです!そして噂によると着地したときに音がしないんだとか。。。筆者は残念ながら直に観たことがないので確認はできていませんが。

では、早速彼女の踊りを見ていきましょう!「ローレンシア」のヴァリエーションです。

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筆者は動画冒頭の3秒で「ん???」となってしまいました。ジャンプが高い!距離が長い!なんでそんなに後ろ足が上がるの!?ってなりますよね〜。特に、バレエを習っていた人はいかに異次元かよく分かるのではないでしょうか?

 

彼女は、ボリショイ時代は「ドン・キホーテ」のキトリや、「パリの炎」のジャンヌ役を得意とし、専ら超絶技巧で注目されていた印象がありました。しかし、ロイヤルに移籍して以降は、「マノン」や「ロミオとジュリエット」といったドラマ・バレエや、最新のコンテンポラリー作品にも数多く主演するようになり、その芸域を広げ続けています。

 

 

3人目は、モスクワとペテルブルグ両方を制覇したエリート、オリガ・スミルノワです。

彼女は、現在ボリショイ・バレエ団のプリンシパルを務めています。

彼女の注目すべき点は、まずその略歴です。彼女は、ワガノワ・バレエ・アカデミーで名教師リュドミラ・コワリョーワ先生のもとで学び、なんと首席で卒業しました。しかし!ワガノワの母体であるマリインスキー・バレエ団ではなくボリショイ・バレエ団に直接入団しました。これは、大変異例なことだったので、世界のバレエ界の注目を集めました。

 

では、本題に移りましょう。彼女の踊りの特徴はというと、その気品だと筆者は思います。時には無機質な美しさを、時には心の深淵を見せてくれます。特に、どこか遠くを見つめているような大きな目が印象的です。

スミルノワのバレエとは何か。それが分かる短いドキュメンタリーがありますので、そちらをご紹介します。英語字幕がついているので、ロシア語が聞き取れなくても大丈夫です。

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«Никогда ни хватит.»(決して十分ではない)という彼女の言葉が、彼女の性格をよく表していると思います。このドキュメンタリーの中で、先生が仰っているように、彼女は相当ストイックで、そして賢いのです。そして、実際にその気質が演技にも表れています。

ちなみに、この動画の後半に映し出されているのは、「ジュエルズ」という作品の中の「ダイヤモンド」というパートです。ガラス細工のようなクールな印象のあるスミルノワには、本当にあたり役だと思います。

 

実はあのプルシェンコも彼女のファンの1人のようで、彼自身のアイスショーの中でスミルノワと共演しています。

 

 

最後にご紹介するのは、ロシア・バレエ界の女帝…いや、世界の女帝、スヴェトラーナ・ザハロワです。

もうこのブログでご紹介するのも3回目になってしまいました。それくらいロシアに興味をお持ちの方には必ず覚えていてほしいバレリーナなんです。

彼女の輝かしい経歴をご紹介しましょう。彼女は、キエフ・バレエ学校で学んだ後、飛び級してワガノワ・バレエ・アカデミーの最終学年に編入。卒業後はマリインスキー・バレエ団に入団し、わずか1年で最高位のプリンシパルに昇格するというスピード出世を果たします。2003年には、ボリショイ・バレエ団に移籍し、現在の確固たる地位に上り詰めました。

これまで、ゴールデン・マスク賞、ブノワ賞、プーチン賞、ロシア人民芸術家などなど一通りの賞を総なめにしてきました。最近では、子ども向けのチャリティーイベントを主催したり、ダンス番組で司会を務めたりと、その活躍の幅を劇場の外にまで広げています。

一説によると、彼女の意に背くと、ボリショイ劇場の総裁すらその座が危ぶまれるとか、、、

 

2000年代では、「白鳥の湖」や「眠りの森の美女」といったクラシック作品で主演をすることが中心だったようですが、近年では「椿姫」や「アンナ・カレーニナ」といった近現代のドラマ・バレエでの活躍が目立つようになりました。2019年には、なんとあの「シャネル」を演じ、話題になりました。

 

では、彼女の「椿姫」を少し観てみましょう。円熟期に達した彼女の魅力が存分に発揮されている作品だと思うので、この演目を選びました。

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なんと美しく儚いのでしょう。。。ただ美しいロシア人ダンサーは他にもいます。しかし、彼女のように、希望のない愛を表現できるダンサーはなかなか他にいないと思います。

もちろん表現一辺倒ではなく、ドレスの下から覗く美しくしなった足先や、圧倒的に軽やかなムーブメントはテクニカルな観点からも至高です。

 

実は今月、筆者は今回ご紹介したオリガ・スミルノワとスヴェトラーナ・ザハロワの公演を観てきました!!

その公演レポートは、来月の「外大生の夏休みの過ごし方」シリーズの中でお届けします!

 

そちらの方も、お楽しみに〜

 

До встречи(ダ フストレーチ)!(またお会いしましょう!)

 

文責:長谷川公樹

 

今日のロシア語

щелкунчик (シェルクーンチク)

意味:くるみ割り人形

балерина (バリェリーナ)

意味:バレリーナ