東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

カフカス旅 ジョージア編1

皆さまこんにちは、კოჯიმაです!

 

今回は前置きなしで早速、カフカス・バックパック旅のジョージア編に入っていきたいと思います!

 

【ジョージア編】

カフカス旅の2カ国目はジョージアです。かつてはグルジアと呼ばれており、こちらの呼び方の方が馴染みのある方も多いかもしれません。この国を知るためのキーワードとして外せないものは、「ワイン」、「自然」、「正教」です。他にもいくつか注目点はありますが、今回はまずはこれで留めておきます。

 

ジョージアはワイン発祥の地として知られ、空港で入国するとワインがもらえるそうです(が、今回は陸路での入国なので何もなしでした…)。他にもハチャプリやヒンカリなどの独特な食文化、豊かな自然、特徴的な言語等々導入では語りつくせない魅力に溢れた国です。昨年からとある定食屋で人気が爆発し様々な企業が売り出したあのシュクメルリも、ジョージア料理です。

 

自然と正教は本編で説明していきます。

 

日本ではまだ紹介されていないジョージアも、可能な限りご紹介していきたいと思います。

 

[トビリシ]

アゼルバイジャンで寝台列車に乗車し、翌朝5時頃に車内で出国のパスポートコントロールを行い、その2時間後にジョージア入国のパスポートコントロールがありました。この時は、車両の中にいる全員のパスポートが一度回収され、乗務員室に呼び出されて審査をするという形式でした。

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しばらくして列車が出発し、1時間ほど走行して駅に到着しました。ホームはさっぱりしていましたが、駅舎には様々なお店があり、SIMカードを買うこともできました。SIMカードを買うとき、私の前にはロシア人観光客が並んでいたのですが、店員さんがロシア語を話せないということに驚いていました。現在のジョージアの若い人はロシア語を勉強しない人も増えているそうで、カフカスの変化の一部を感じました。(ただしロシア語も英語もできる人もそれなりにいるため、ジョージアにはトリリンガルがたくさんいます。)

 

通信を確保できたので宿を予約し、移動を開始しました。メトロを利用しようとしたところ、持ち物検査がないことに驚きました。ロシアやアゼルバイジャンでは鉄道を利用する際は必ず入り口で荷物検査があるのですが、ジョージアは全くありませんでした。観光客が多いため、スムーズな移動を保障するために検査をしなくなったのでしょうか…? そしてエスカレーターもまた驚きです。ロシアでもなかなか見かけないほどに古く汚れたエスカレーターでした(笑)しかも非常に高速です。そしてエスカレーターが汚れているのに対して、メトロの車両はピカピカに塗装されていました。(ただし車両自体は古いものです。)

 

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宿の最寄り駅で降り、街並みの綺麗さにまた驚きです。特にターミナル駅が古びた質素な建物だったために、一層綺麗さが際立ちました。

 

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そして駅から徒歩数分でホステルに着きますが、今回は大当たりでした。一泊360円なのに、とっっても清潔なシャワーとトイレがある、綺麗な部屋に泊まることができました。しかも徒歩1分のところにスーパーがあるので食料品の買い出しにも困りません。

 

荷物を置いてから、初日の観光に出かけました。宿に行く時とは別の最寄り駅まで散歩をしてみたところ、気温が高くリュックを背負って歩き続けると軽く汗ばむほどでしたが、空気が乾燥しているので風が吹くととても心地よかったです。

 

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メトロの入り口の近くではお土産の露店が軒を連ねていました。見てみるとジョージアの国旗のデザインを描いたお土産、スターリンの顔がデザインされたもの、伝統的なワインを飲む容器などが売られていました。

 

再びメトロに乗って移動し、中心部へ行きました。駅を出た後に反対側の道路に渡るため地下道を利用しましたが、ここがまた面白いです。ロシアでも歩行者用の横断歩道がない代わりに地下道が設けられていることが多いのですが、この地下道にお店が多くあり、生活感を感じることができます。このときはスルグニというジョージアの代表的なチーズを燻製にしたものとクワスを買って食べました。

 

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地下道を出て坂を下っていくと、ヨーロッパ広場があり、広場の反対側の坂をまた上りメテヒ教会へと行きました。先ほどから坂の上り下りを繰り返していることからわかるかもしれませんが、ジョージアは全体的に山の多い国で、首都のトビリシも坂が多いです。徒歩移動の場合はそれなりに体力が求められます。しかしそれだけ見晴らしがよく、メテヒ教会も例に漏れません。風にあたりながらヨーロッパ広場やムトゥクヴァリ川を見下ろすことができ、写真を撮るのにもいい場所です。

 

ヨーロッパ広場は綺麗に整備された広場で、のんびりと散歩するのに適しています。広場を抜け、現在のトビリシのシンボルの一つになっている平和橋を通って川の反対側に渡りました。なお、ここら辺一帯はツアーのキャッチや写真を撮らせてお金を要求する人が多い場所なので注意が必要です。

 

川を渡ると旧市街地エリアがあり、入り組んだ通りは活気がありおいしそうな店もたくさんありました。旧市街地にあるアンチスハティ教会に入ると、先ほどのメテヒ教会とは異なる雰囲気が感じられました。メテヒ教会は比較的内装が綺麗になった正教の教会であったのに対し、アンチスハティ教会は壁の要所要所に消えかけの古いイコンが残っていました。

 

どうやら教会で結婚式が始まるとのことだったので早々に退散し、駅へ向かいました。途中でまた地下道があり、パン屋でハチャプリというチーズパンを3種類ほど買って帰りました。ちなみにジョージアのハチャプリは地方によって形状が大きく異なります。一番有名なのは西部のアジャール地方の舟型ハチャプリですが、メグレル地方の丸型ハチャプリは手軽に外出先でも食べられる形状なのでこちらもおすすめです。その他のハチャプリが気になった方はぜひ調べてみてください、沼の始まりです。

 

この日はスーパーでマツォーニという飲むヨーグルト(本来マツォーニはヨーグルトそのものでもあります)やレモネード(実際にレモネードという名称ですが、実態はジュースです)を買って帰り、ホステル内でジョージア料理の夕飯を楽しみました。

 

 

翌日は再び中心部へ繰り出して観光をしました。

この日は朝から出発して教会に向かいました。至聖三者大聖堂というところに向かうと、この日が日曜だったこともありお祈りを聴くことができました。祈祷やコーラスが反響することでまるで天から音が聞こえるように感じ、極めて厳かな雰囲気の中で心安らぐことができました。

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ジョージアは正教が多数派の国で、現在の国名である「ジョージア(Georgia)」も聖人であるゲオルギオス(Georgios)にちなんだものです。そしてジョージア正教会は葡萄十字が特徴です。葡萄十字はその名の通り葡萄の枝で作った十字架を用いて伝道を行ったことが由来であるとされています。ここにもワイン発祥の地の影響が垣間見えます。

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なお教会内部は撮影が禁止されていることが一般的ですので、イコンや装飾品で煌びやかな内装も綺麗なコーラスも撮影はできません。観光客の多い教会では撮影禁止の看板が設置されていることが多いですが、もし禁止の看板がなくても、教会内での撮影は控えましょう。また、短パンやサンダル、肩を出す服装などのラフな格好、露出の多い服装もNGです。神聖な場所のため、恰好や立ち居振る舞いに注意を払うことで敬意を表しましょう。

 

教会を出て少し歩いてから、早めのお昼を食べにお店に入りました。外気温が高いのでまずはレモネードで喉を潤し、サツィヴィという料理を注文しました。これはクルミなどのナッツのペーストで鶏肉を煮込んだ料理で、濃厚な味わいが楽しめます。(ちなみにウラジオストクにはこの料理の名前を冠した有名でおいしいレストランがあります)

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お腹を満たしてからヨーロッパ広場にあるロープウェイ乗り場へと向かいました。ロープウェイに乗ると、トビリシのシンボルでもある「ジョージア母の像」の足元まで一気に登ることができます。ロープウェイに乗ると、教会を直上から見下ろすという稀有な体験もできます。なおジョージア母の像が立っているところはそれなりの高さがあるため、ロープウェイで上って歩きながら降りていくことがおすすめです。

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お腹を満たしてからヨーロッパ広場にあるロープウェイ乗り場へと向かいました。ロープウェイに乗ると、トビリシのシンボルでもある「ジョージア母の像」の足元まで一気に登ることができます。ロープウェイに乗ると、教会を直上から見下ろすという稀有な体験もできます。なおジョージア母の像が立っているところはそれなりの高さがあるため、ロープウェイで上って歩きながら降りていくことがおすすめです。

 

ジョージア母の像が立つところから降りていくと、ナリカラ砦という要塞跡があります。トビリシ市内を一望することができる絶景スポットではあるのですが、足場の悪い高所であるにも関わらず一切の手すりや安全柵がないため、足元には常に注意が必要です。

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ふもとまで降りて少し歩くと、温泉街があります。ジョージアは温泉も有名で、公衆浴場と個室タイプの浴場があります。公衆浴場の中にはロッカーが心もとないところもありますが、お願いすると更衣室を少しだけ見せてくれるところもあるのでそれで判断できます。この時はボルジョミという都市で温泉に入る予定だったため、トビリシの温泉には入りませんでした。

 

温泉街の近くにはトビリシでのワイン醸造の歴史を簡単にまとめているこぢんまりとした博物館があり、昔のワイン製造に使われた道具などを見ることができます。

 

この時点で夕方になっていたため、宿の近くにあるヒンカリナヤというレストランで夕食を食べました。それなりに綺麗なレストランなのですが、ヒンカリ3個、ハルチョー、デカンタのワイン(500ml)を注文しサービス料込で500円ほどでした。ヒンカリとはジョージア版の小籠包のようなもので、ジョージア料理の代表格です。分厚くもちもちの皮の中には熱々のスープがたっぷりと包まれているため一つ一つが結構大きいのですが、最低注文個数が決まっているお店が多いので(最低3個や5個が一般的)、注文時に確認が必要です。ハルチョーは牛肉やお米を具材として様々な香草で味付けがされた少し辛味のあるスープで、有名なジョージア料理の一つです。

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このとき向かいのボックス席に座った男性グループが文字通り山盛りのヒンカリ(20個以上はありました)とワインだけを注文していたのが印象に残ってます(笑)

 

完食してからほろ酔い気分で帰路につき、途中のスーパーでマツォーニとレモネードを買って帰りました。一日歩いた後においしい夕飯を食べ、幸福感を抱いたままこの日は休みました。

 

[日帰りツアー]

この日は前日に予約した、トビリシ近郊のムツヘタ、ウプリスツィヘ洞窟居住跡、ゴリを巡るツアーに参加しました。ツアーでは複数の教会も巡りましたが、今回は特にウプリスツィヘ洞窟居住跡とゴリのスターリン博物館についてのみ簡潔に書きます。

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ウプリスツィヘ洞窟居住跡は紀元前に人が生活していた洞窟遺跡で、山がちなカフカス地方では多く見られます。ここでも岩場になんとか生活基盤を築き生活していた跡を見ることができますが、説明書きの看板がないためガイドさんの説明があった方がより楽しめます。また洞窟居住跡は高台に位置するため、居住跡と見晴らしをダブルで満喫することができます。

なお洞窟居住跡を見学するためには入場料がかかりますが、敷地が非常に広いためツアーのような時間の制限がなければゆっくりと散歩することもできます。

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この後訪れたゴリは、かつてソ連の書記長を務めたスターリンの故郷です。スターリンの評価はジョージアでも分かれていますが、大国ソ連の首脳を務めた人物の地元ということで生い立ちや功績を展示する博物館ができたのでしょう。

しかし肝心の展示はジョージア語とロシア語のみで、英語がありませんでした。もちろんツアーなのでガイドさんが英語で説明をしてくれますが、ロシア語が分かることでそれ以上の説明を自力で読むことができ、いい勉強になりました。ロシア語を勉強している方であれば、スターリンについて非常に細かなことも知ることができるため、おすすめの観光スポットです。

 

 

ツアーが解散した後は再びヒンカリナヤへと行き豪勢な夕飯を食べ、宿に戻って休みました。

 

 

翌日はトビリシを出発するのですが、長くなってきたため今回はここまでとさせていただきます。次回の記事も読んでいただけると嬉しいです。

 

それでは皆さま、до свидания(ダ スヴィダーニャ)!

 

文責:კოჯიმა

 

*今日のロシア語*

грузинское вино(グルズィーンスカエ ヴィノー)

 意味:ジョージアワイン

пещера(ペシェーラ)

 意味:洞窟