東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第18弾【ラオス語科編】〈後編〉

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ラオス語科 ラオ科の元店長さんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【ラオスの文化】

―留学や旅行でラオスに行ったことはありますか?

はい、1年生の冬休みに2週間、語科のみんなでショートビジットで行きました。ラオス国立大学というところに全員で行って授業を受けたんですけど、一緒に行った11人で1つの教室が与えられて、そこにラオス人の先生が来て授業やってくれる感じでした。授業もすごく多いわけじゃなかったので、ネイティブの先生が観光地とかに連れて行ってくれました。修学旅行みたいな感じでしたね。

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ラオス国立大学にて

―特に印象に残った思い出や場所はありますか?また、行ってみて印象が変わった点はありますか?

想像通りの発展途上国でした。首都は発展しているので首都にいれば不備はないって感じです。あと、車が歩行者のために止まってくれないので、走る車の間を渡る技術が身に付きます(笑)

発展度がどのくらいって難しいですけど、タイとかマレーシアみたいに超高層ビルが立ち並んでるみたいな感じではなく、規模感でいえば日本のそんなに大きくない都市ぐらいかなって感じです。

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朝の市場での様子

―物価はどのくらいなんでしょうか?

首都だと少し高めなんですけど、めっちゃ安いです。詳しくは覚えていないんですが。外食で一食150円あれば食べられます 。ビールが一缶40円くらい。屋台は多いんですけど生野菜とか屋台で売られているものを食べるとあたるので、300円~500円くらい出してかなり良いものを食べていました。

 

観光地で有名なのは、パトゥーサイとタートルアンです。パトゥーサイっていうのがフランス風の凱旋門で、タートルアンは金ぴかの寺院です。どちらも教科書によく出てきたので、これが本物!という感じでした。パトゥーサイや有名なお寺などの入場料が、ラオス人価格と外国人で値段が違ってて、(外国人価格のほうが高い)それが新鮮でした。ほかにも、商業施設に連れてってもらったり、市場に行ったり、メコン川沿いを散歩したりしました。

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パトゥーサイ

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タートルアン 手を合わせているのはラオスの挨拶なんだとか。

 

―ラオスの料理はどんな感じですか?

料理は辛いです(笑)。東南アジアの中では味付け が薄い方らしいのですが私は濃いなって思いました。

 

―パクチーが使われてたり?

パクチーも使われています。これは私の感覚なんですけど、日本でいうパクチーを使った料理って、大量に使うじゃないですか。私もあれは食べられないんですけど、タイとかベトナムとかラオスの人とかってそんなにどっさり入れないんです。日本でいう玉ねぎとかにんじんとかと同じ感覚なので。だから、食べられますね。入学してすぐ日本のラオス料理屋さんに行ったときはパクチーにちょっと抵抗があったんですけど、そんな大した量が入ってるわけじゃないから、今は普通に食べれます。

 

―日本で思い浮かべるパクチー料理とは違いますね。現地の適量入ったもの食べたら好きになるかもしれないのにちょっともったいないです

外語祭でラープっていうラオスの肉料理を出すとき、基本パクチー入りを出すんですけど、パクチー嫌いな人のためにパクチー抜きも作ってるんです。だけど、パクチー抜きを頼まれると、皆、入ったのも食べてほしいな~ってなります(笑)。香辛料というかスパイスなんで、無いと、ラープの味とは違うというか。

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ラープとラオスのビール”ビオラオ”

 

―へえ!私も本場で食べてみたいです。先ほども話に出てきて気になったのですが、ラオスはフランスに統治されていた過去があるんですよね。現在どのくらいその影響はあるのでしょうか?(ラオスはカンボジア、ベトナムとともにフランス領インドシナ三国として支配されていた)

フランス統治の影響は、凱旋門のようになくはないんですけど、そこまでは見られないです。逆にフランスの影響が少ないから、全然発展してないんですよ。フランスがインドシナ三国を支配してた時に、優先順位が、ベトナム、カンボジア、ラオスだったんですね。なので教育機関を整備したり、官僚制度を作ったり、フランス語教育したりとかする前に支配が終わって、ラオスは何もされてないというか。だからあんまり発展してないのかなって思います。

 

―それは調べても出てこなかったので面白いです。

あ、でもフランスパンをめっちゃ食べるところはフランスの影響らしいです(笑)。フランスパンにラオス風に味付けした肉とかを挟んで食べるカオチーっていうものがあるんですけど、それとかも一つ70円くらいで買えてめっちゃおいしいです。

 

―どういう宗教を信仰しているんですか?

宗教は、上座部仏教で、今も、托鉢と喜捨は朝やっています。朝4時とかに起きて、炊いたお米を歩くお坊さんに喜捨するみたいなことをやっているそうです。あと毎月のように仏教行事があるんですけど、それは日本の行事よりも少し多いくらいの感覚です。雨季に関するお祭りなど年に何回か大事な行事があって、そのときはかなり盛大に祝います。4月の13,14,15が仏教の新年で、そのとき雨季に入るお祭りをします。多分東南アジアのこの辺の国は一緒だと思うんですけど、お坊さんが用意した仏像を拝みに行った後、皆で水を掛け合うんです。水で去年の汚れを洗い流すという意味があるみたいです。

 

―現地の人々の様子を教えてください

治安は思っていたよりはよくて、普通に過ごしていれば何も起きないです。悪い人はいなくて、皆穏やかで優しい印象です。話す時に声調を間違えると通じないことが多かったです。

あとラオス人やその周辺地域の人はビールが大好きなイメージがあります。ビールがめっちゃ安いので、すごい量飲みます。騒ぐのが好きなのか、結婚式とかも、村の皆を呼んで盛大にやるみたいです。

面白いなと思った文化は、人を呼ぶときに、~さんって言う代わりに~お姉さんとか~おばさんとか言うことです。姉じゃないのに、○○お姉さんって呼ぶみたいな。もっと上になるとおばさんになる。逆に、上が下を呼ぶときに親子くらい離れてると、子どもっていう単語を名前に付けるんですよ。さんとかちゃんの代わりに。一応さんとかに当たる単語はあるんですけど、ほんとに会ったことない人とか有名人とかに使われてるイメージがあります。

 

―それは面白いですね。

あとラオス人はコーヒー飲むときブラックコーヒーとか、ミルクコーヒーを飲まなくて、代わりにコップの底から二センチくらい練乳を入れて、そこにコーヒーを淹れて、混ぜて飲むんです。めちゃくちゃ甘いんですよ。これはちょっとラオス独自かもしれません。

 

―その地域を勉強する最初の一冊となるようなお勧めの本はありますか?

『ラオスを知るための60章』ですかね。ほかのシリーズと比べ口語的で旅行記みたいなので読みやすいです。

 

―東南アジア地域関連で面白い授業を教えてください

M先生の「現代東南アジア経済論」です。タイ経済の先生なのでラオスではなくタイとタイを中心とした東南アジア全体の話なんですが、私が経済に疎かったため、アジアの通貨危機やリーマンショック時の影響、現在のコロナで変わったことなどが学べました。

 

―ラオスの授業というより、東南アジアの授業が多いんですか?

東南アジアって、東南アジア第一と第二を合わせて、やっと大語科くらいなんですよ。なのでラオスに限定した授業はそんなにないです。ラオス語科の人しかとらないので。タイ語科の人数が一番多いからタイの授業が多いですね。ラオス史とかミャンマーの政治とかの授業もありますが、かかわりが深い語科の人も受けに来てます。

 

―その地域の音楽や絵画、文学、映画、アニメで有名なものはありますか?

とんちを利かせ、上の人をぎゃふんと言わせる少年シエンミエンが有名です。日本の一休さんのような存在です。貧乏人のカムパーくんが成り上がって王になる物語も多く、これは旺盛時代王への不満からこのような話が作られたそうです。

現在の作品であまりラオス制作の何か、というのは思いつかないです。あるにはあるみたいですけど、面白くないからみんなタイの番組を見ているみたいです。

 

―近年のラオスの政治・経済の状況を教えてください

政治は社会主義の一党独裁だけど、経済はほぼ完全に資本主義。独裁だからと言って国民が何かを奪われていたり、何かを恐れていたりするわけではないです。

 

―社会主義と言えば昔ロシアも社会主義だったんですが、かかわりはあったんですかね?

冷戦時代多分支援してくれてたんですよ、社会主義だから。技術支援とか。でも結局中国となんやかんやあって、ロシア人が去って代わりに中国の支援が入った…みたいなことを聞いたことがある気がします。

 

―ではラオスの人々の対露感情はどういったものでしょうか?

今は無関心に近いと思います。無ということはないのでしょうが、現在支援してくれているタイや中国・韓国・ベトナムなどと比べれば関心は低いですね。

 

―今もう社会主義という感じはほとんどないんですか?経済も資本主義ですし。

社会主義っていうのは私はあんまり感じなかったかな。他の社会主義国に行ったことないからわからないですけど。でも経済は完全に資本主義の摂理にのっとってます。とはいえ首都とか大都市以外の田舎では自給自足らしいです。焼き畑とか稲作をやって物々交換みたいな。現金収入がなくても生きていける環境だからGDPが低いんですよ。最近は現金を求める傾向も強くなってきて、プランテーション作物とかもあるんですけど、ラオスは内陸国で河口とかの平らなところがあんまりなくて、切り開くのが難しいみたいです

―長々とお付き合いいただきありがとうございました。言語を学ぶ上での苦労やラオスを含む東南アジアの文化などを垣間見ることができて、とても楽しかったです。 

 

文責:もも

(インタビュー実施日:2021年2月8日)