東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第16弾【ウルドゥー語科編】〈後編〉

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ウルドゥー語科 たつきさんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【留学について】

Na:留学や旅行に行ったことはありますか?

たつき:インドのハリヤナ州とパキスタンのカラチで1ヶ月ずつホームステイをしました。パキスタンと北インドはウルドゥーとヒンディーと言語的に大別されますが、口語的にはほとんど同一の言語となっています。それにもかかわらず違う言語として扱われていることに違和感があり、文化的な側面から内実を知るためにホームステイを選びました。結局訪れてみて、ウルドゥー語とヒンディー語の違いとしては、パキスタンとインドという母国への思いの強さから生まれたアイデンティティ的な側面よるものが強いのかなと思いました。

 

インドのハリヤナ州に行った時は州の中でも田舎の地域に行ったのですが、そこでは、なんと初めての外国人が僕でした!その地域は「古典的なインド」という感じでした。文化人類学をやるには、この地域はもってこいだと思います。 

 

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たつき:この写真は、パキスタン・カラチのアラビア海です。

Na:意外と都会的なんですね。

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たつき:この写真は、パキスタンのバローチスターン 州の現地人しか知らないような天然リゾートの写真です。パキスタンの陸軍の人と一緒でした。

Na:濃ゆい写真が多いですね(笑)

 

Na:ちなみに、現地に行って見掛けた日本製品はありましたか?

たつき:ユニチャームのおむつなど、日本の生活用品が販売されていました。でも日本のものばかりではなく、メインとしては中国の製品が販売されていましたね。日本製品がある理由としては、安い労働力を求めて日本企業が積極的に進出していることが主なものみたいで、現地のニーズというよりかは日本企業からの訴求が大きいみたいです。 

 

Na:特に印象に残った思い出や場所はありますか?行ってみてどういう印象を持ちましたか? 

たつき:見る景色一つ一つが印象に残っているのですが、特に皆さんにもわかるような場所だとモヘンジョ=ダロですね!今まで教科書で何度も出てきたインダス文明を探検したのは一生忘れません。「俺はこれを作るの絶対無理だな」と思うくらいに大規模な計画都市と治水システムで圧倒されました。あと、「三大文明のうちの1つ、しかもその中でも1番行くハードルの高そうなモヘンジョ=ダロに行けた俺、すごい」と思いました。(笑)

これがモヘンジョ=ダロで撮った写真です。

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Na:確かに、誇らしくなりそうですね!(笑)三大文明全部制覇してみたいです!

 

Na:ところで、その地域を知らない人が聞くと驚くであろう風習などはありますか? 

たつき:皆、夜型だったことですね。2時とか、だいぶ遅い時間に寝てます。それで、翌朝起きるのは10時とかで遅い方でした。なので、生活リズムが合わないのが大変でした。夜10時から遊びに連れて行かれることも多くて。だから夜になっても明かりが点いていて、「光の街」と言われているほどです。あと、女性が顔を隠すのはヒンドゥー教徒も同じなのだと気づきました。宗教関係なく、インドのハリヤナでは女性が顔を隠すことが社会規範となっているようです。

 

Na:現地の人々の様子を教えてください!どのような人が住んでいますか?

たつき:パキスタンのカラチにはいろんな人がいます。現在は比較的安定した治安で、特別注意が必要な感じではないです。人はみんな優しくて、日本人と言うととても嬉しそうにもてなしてくれました。戦前からの日本企業の進出も理由みたいです。僕は最初パキスタン行こうとしてた時めっちゃビビってたんですけど、女子の語科の同期もこの前全然ビビらずに行ってました。なので、行って後悔することはないですよ👍

 

【地域について】

Na:インドやパキスタンについて勉強する最初の一冊となるようなおすすめの本はありますか?

たつき:インドだったら『ヒンドゥー教: インドの聖と俗』、パキスタンなら『パキスタンを知るための66章』ですね!

Na:『○○を知るための△章シリーズ』 は、私も中央アジア版のものを読んだことがあります。読みやすくて好きです。ちなみに『パキスタンを知るための66章』って教科書なんですか?

たつき:教科書ではないです。勝手に自分で読んで勉強する入門書みたいな感じですね。地域基礎の授業では、教科書を使わずに、先生が作成したレジュメを使っていました 。でもどうやらこれから教科書が出てくるって噂があるので、もしかしたら地域基礎の授業が楽になるかも!

Na:これからの後輩に有益な情報ですね!

 

 

Na:その地域の音楽や絵画、文学、映画、アニメで有名なものはありますか?

たつき:やっぱりウルドゥー語、ヒンディー語ならボリウッドは勉強にも使うほど聞き取りやすく有名なものが多いです! 

(ボリウッド:インド・ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭文字「ボ」と、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を合わせてつけられた。つまりインド映画のこと。)

Na:ボリウッドといえばとにかく踊りまくってるイメージがあるのですが、どの映画にもダンスシーンはありますか?(笑) 

たつき:最近は踊ってるのが少なくなってきたみたいですけど、普通に踊るシーンはあると思います(笑)それがボリウッドの面白さですね。 

Na:ボリウッドはどういうテーマが多いんですかね?

たつき:学歴競争・教育問題など、インドの社会問題が多く取り上げられていると思います。Netfrixには、“Dear zindagi“という映画があり、感動的で、僕はこの映画が好きです。

”Zindagi”は「人生」という意味で、この映画には、「人生を大切にしていこう」というメッセージが込められています。ところで、ロシア映画はどうですか?見ますか? 

Na:ロシア映画、比較的暗いのが多い ので、私はあまり見ないです。インド映画って、暗い社会問題を取り上げても、最終的にはハッピーエンドになること多いと思うんですけど、私が見てきたロシア映画は最初から最後まで暗い感じで…(笑)それがある意味「らしさ」があって良いとも思うんですが。

 

Na:やや前の質問と被りますが、インドやパキスタンの著名人といえばどのような方がいますか?

たつき:アーミルカーンという素敵な俳優さんがいます!ちなみに弊学のネイティブの先生の名前もアーミルカーンです!

Na:アーミルカーンと調べたところ、その俳優さんと先生が出てきて二大有名人ですね。

たつき:俳優のアーミルカーンはインド人だけど、外大の先生はパキスタン人です。その名前が多いみたいですね。イスラム教徒の名前みたいです。

 

Na:知っている範囲で、インドやパキスタンの政治・経済の状況を教えてください。

たつき:面白いなと思ったのはパキスタンでの徴税率が30%強しかなく、パキスタン人がメッカの聖地巡礼で落とした金額が徴税額を上回ったことがあるということですね(笑)国民が脱税しているというよりは、政府の徴税システムがちゃんとしていないために、国民は税を納めないようになり、政府の財源が少なくなっています。 まだまだ政府の税制整備が必要そうです。僕はメディア翻訳でこのテーマの記事を訳しました。

 

Na: 現地の食べ物ってどんな感じですか?

たつき:宗教によって食べ物は違ってきます。パキスタンはイスラム教だから羊肉やチキンを食べます。一方で豚を食べるのはダメです。ダメなんですが、都市部では、豚や牛を食べている 人もいます。

Na:他国の影響が及んでいる地域では、意外にも、食と宗教の関係が柔軟になっている ところもあるんですね。

たつき:ちなみに、僕のインドのホームステイ先で出てくる食事は全部野菜でした!おかげで、肌がきれいになりました(笑)

Na:それは大変そうですが、結果的に良かったですね(笑)

たつき:カラチではビリヤーニーっていうチャーハンみたいな食べ物がめっちゃ美味しいので、ぜひ食べてみてください。シディークパレスというパキスタン料理店も四谷にあるのでぜひ行ってみてください。

 

【ロシア×ウルドゥー語圏】

Na:たつきさんの語科の地域とロシアの関わりについて、知っている情報はなにかありますか?

たつき:インドのオーケストラとかはロシア人が多いって聞きますね。インドのオーケストラって聞くとインド人をイメージすると思うんですが 、ほとんどロシア人かカザフスタン人らしいです。

Na:ロシアでオペラなどが有名ってところからインドのオーケストラにもロシア人が流れたんですかね?

たつき:どうですかね…真相は分からないんですけど、かつてのインドにおける社会主義の風潮や中印戦争の影響もあって、そうした時に、ロシアとの交流が多くあったのかもしれません。

 

Na:パキスタン人の対露感情はどのようなものでしょうか? 

たつき:基本的に冷戦時代のイメージが強いと思います。「強国の一つ」「先進国」というイメージで語る人が多いです。パキスタンの人にとっては、ロシアは日本と同じくらい進んでいるイメージみたいです。なので、米国英国に次いで留学先としてロシアを選ぶ人が多いイメージはあります。ちなみに私のパキスタンのホストファザーは、ロシアで医学を10年も学んだそうです。 

Na:ロシアの医学部留学は意外でした。また、冷戦時代のイメージでロシアを語るのは、日本の特に高齢者世代の感覚に近いと思いました。

 

Na:もうそろそろおしまいなので、先ほどのウルドゥー語教材について、皆さんに宣伝お願いします。

たつき:ウルドゥー語語彙学習サイト(ディルパル)を製作中です!これまで単語帳がなく思うようにウルドゥー語学習が進まなかった人も初学者の人も使えるようなサイトなのでお楽しみに!2021年4月1日、もうすぐリリース予定です!

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↑こんな感じでウルドゥー語教材アプリを使えます!

 

Na:教材の取り組み、頑張ってください!応援しています!長々と質問にお付き合いいただきありがとうございました!最後に何か一言あればお願いいたします。

たつきウルドゥー語しか勝たん!! 卍

 

文責:Na

 

(インタビュー実施日:2021年3月3日)