東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第15弾【ビルマ語科編】〈前編〉

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ビルマ語科 Sさんへのインタビュー

 

こんにちは!川又です。

あっという間に3月で、新学期もあと少しという感じですね。やっぱり長期休み中は時間が過ぎるのが早く感じます。そして自分がもう3年生になるというのもなかなか信じがたいです…。特に2年生の1年間はあっという間でした。

 

今月は他語科とコラボ企画をお送りしていますが、私は言語文化学部ビルマ語科4年生のSさんからお話を伺いました!Sさんは教職課程(教員免許を取得するために必要な授業課程)を履修しながら2年次から長期留学でイギリスへ渡った経歴を持つ、ユニークな外大生です。少人数の語科の方からお話を聞くと、ロシア語科とは全然違う世界が見えて楽しかったです。

 

Sさんについて 2017年4月に東京外国語大学言語文化学部ビルマ語科に入学。教員免許取得を目指しつつ、2年次夏から1年間イギリスへ長期留学。1年次にはショートビジット(長期休暇を利用した短期間の留学)でミャンマーへ3週間の滞在経験もあり。今年9月に卒業予定。

 

ビルマ語科について

例年10人に満たない少人数の語科。Sさんの学年は、一般的に女性の比率が高い外大では珍しく男女比が2:1!それ以降の学年でも男子は比較的多いそう。先生方もとても親切でアットホーム。縦のつながりや留学生との関わりもあり、柔らかく自由な価値観を持った人たちも多く、非常に暖かな雰囲気です。

 

【大学生活】

―まず、外大のビルマ語科に入ろうと思った理由を教えてください!

中学校時代から英語が得意教科で語学が好きだったため、外国語教育に特化している大学で、家庭の経済状況的にも国立で、そして色々な刺激のある東京で(私は新潟出身です)、と考えたときに、外大がその条件に当てはまったためです。また、東南アジアに行ったことはないけれども興味があり、その中でも民主化(今は軍政復古中ですが…)されたばかりで様々な将来性を持つミャンマーの言語を学びたいと思ったため、ビルマ語科にしました。学部は、絶対に英語教員の免許を取りたいと思っていたため、言語文化学部にしました。(※国際社会学部でも英語科免許は取れないことはないのですが、基本的には社会科免許となります。)

 

―外国語大学で教職を取るのってすごく大変なことですが、他の大学の教育学部への入学も考えていたのですか?

実は最初から「教員になるぞ!」と決めていたわけではなくて、当初は外務省専門職などを考えていたんです。ですが、両親が教員をしていて教員の仕事が面白そうだと思ったこと、また在学中に何か資格が欲しいと思ったことがきっかけで教職を取ることを決めました。かといって、教育学部に進学して専門性を狭めることもしたくなかったため、外大で教職を取るのが一番だと考えました。

 

―なるほど、そういう訳だったのですね。

ビルマ語科の学年を超えた仲の良さにはどんな秘密があるんですか?

毎年、先輩と新入生が「縦飲み(語科内で学年を超えて行われる飲み会。飲み会だけど私の頃のロシ科縦飲みは普通にジュースでした)」を通して親交を深めています。今年はコロナの影響で残念ながらなくなってしまったのですが、毎年恒例の、高田馬場にあるミャンマー料理店に連れて行ってもらったりするイベントもあります。あとは、留学生とのつながりも深いですね。私たちがショートビジットでミャンマーのヤンゴン大学へ行くのと交換するような形で、ヤンゴン大学の日本語科からも留学生が1週間ほど日本にやってくるんです。その期間に、一緒に両国にある江戸東京博物館に行くなどして交流します。そして1週間の「お試し期間」を経て、留学生たちがまた日本に来たいな〜と思ってくれたら、今度は1年間外大に留学に来ることになり、その時「あっ!あの時会ったね!」とまた仲良くなって、長い付き合いになるということもあります。一緒にビルマ語の会話の授業に参加してくれたり、外語祭の語劇や料理店に協力してくれたりもしましたね(笑)

 

―それは素敵!ビルマ語科って留学生との交流もあったんですね。

ところで、2/1にミャンマーで起こった軍事クーデターに関しても、ビルマ語科内で協力してネット上での署名活動を立ち上げたそうですね。

はい。私の一つ下の、現在3年生の後輩たちが中心となってアクションを起こし、それから院生の先輩の専門知識もお借りして、いろいろな学年で協力しあって生まれた活動です。

(2/1に、ミャンマーの国軍が2020年に行われた選挙に不正があったと主張して軍事クーデターを起こし、NLD(国民民主連盟)党首のアウン・サン・スーチー国家顧問やウィンミン大統領らを拘束した。さらに、国軍が全権を掌握したと声明を出し、平和的に抗議する国民を武力で鎮圧している。)

「ミャンマーを軍事クーデターから守るための日本政府の適切な対応を求める活動」の署名活動のページはこちらから→ www.change.org/standwith_myanmar

もしくはこちらのURLからサイトに飛べると思います。http://bit.ly/3kOMn5L

3/5時点で4万人以上が署名しています。

 

―またミャンマーの人々が平和に暮らせることを私も祈っています。

他にもミャンマーに関することで何か活動を行なっていたことはありますか?

ビルマ語科は学生団体ともいろいろ繋がりがあるんです。例えば、ミャンマーでは体育の授業がないのですが、ミャンマーの学校のために日本式の手作り「運動会」を開催しようという活動もしていました。今は日緬友好を図る交流会の企画など、できるところから始めています。また、私は以前までNHKラジオの国際放送でビルマ語班スタッフをしていました。これも語科つながりで得た仕事で、先輩が3〜4年次の留学をきっかけに辞めたりするので、そのタイミングで先輩に推薦してもらうような形で始めました。ラジオでの地震情報や在日ミャンマー人の交流のための番組をやっているのですが、それに関してたまに翻訳記事を書いたり、リスナーの方からのお手紙に返信したり、アナウンサーさんが間違えた部分を編集してカットしたりという仕事をしていました。普通に給料も発生するし、そのご縁からNHKに就職した先輩もいます。半分「インターン」的なバイトですね。NHKの国際放送局は外大出身の人がとても多いです。

 

―NHKの国際放送局でも活動なさってたんですね!ビルマ語科っていろんなところとつながりがあるんだなあ…。ビルマ語科の人は、卒業後はどんな仕事に就くことが多いですか?

ビルマ語を使う人ばかりではなく、様々です。私自身、ビルマ語を使う仕事ではなく英語の教員を目指しています。他には、JICAなどの国際協力機関、商社、観光業、教育関連、メディア、外務省、ミャンマー関係の仕事、インフラ整備などに従事する人がいます。でも、ビルマ語は使わないつもりで一般企業に就職したら、その後たまたまミャンマーとの接点ができてミャンマーに飛ばされた先輩もいたりします(笑)

 

―後になって飛ばされる話はロシア語科でも聞いたことがある…(笑)割とあるあるなことなのでしょうか。

ビルマ語科に入ってみて大変だったことはありますか?

ビルマ語は語順が日本語と同じSOVなので、文法は楽だろうと考えていました。ですが、実はビルマ語って過去と現在を表す動詞の形に違いがなくて、文脈でどっちなのか判断しないといけないんです。講読の時も、しっかり前後関係を把握できてないと過去と現在を読み間違えます。それ以外にもいろいろ曖昧なところがある言語で、簡単なように見えてそのせいで逆に難しく感じることはありますね。

あと、初めは文字を覚えることに苦労しました。今でも同期や今までの自分の英語学習と比べると単語を覚えることなどの一つ一つの過程に非常に時間がかかってしまいます。でもそのおかげで、自分の言語に対する弱点と向き合い、それがゼミの専攻である言語教育を考える上でとても役に立っています。私は教育実習で定時制の工業高校に行ったのですが、アルファベットにも不安があるとか、英語の一般動詞の過去形がわからないという生徒に教えていたので、もしビルマ語をやって苦労する経験がなければ、「なんでわからないの?」と言いたくなってしまっていたかもしれませんね(笑)

 

☆次回!ビルマ語科後編!

-外大の英語教育学って?Sさんのゼミについて!

-環境改善で水シャワー!ミャンマー留学について!

 

文責:川又

(インタビュー実施日:2021年02月23日)

 

↓後編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com