東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ロシアのナポレオンケーキと鳥のミルクケーキ

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 Привет! ももです。バレンタインの季節だから、ついつい色んなチョコ買っちゃいますよね。今週はそんな食いしん坊仲間に向けた食テロ記事週間です(笑)。

 

みなさん、ロシアのケーキといえば何を思い浮かべますか?と言っても、特別何かピンと来る人は少ないかもしれません。正直私も、有名なものってあったっけ?…という感じでした。しかしアルバムを遡ってみると気になる写真が!

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確かこれはベラルーシのレストランで食べたナポレオンなんちゃらっていうケーキ…。あと一緒に行った友達が鳥のミルクケーキっていう面白い名前のケーキ頼んでたっけ…。そんな記憶がよみがえってきたので、今回はこのナポレオンケーキと鳥のミルクケーキについて調べてみることにしました。

 

〇 ナポレオンケーキとは

ロシアのナポレオンケーキは、ミルフィーユのようにパイが何層も重なっていて間に練乳入りのバタークリームが挟まっているケーキです。ですが普通のミルフィーユよりたくさんパイ生地が重ねられ(8~20層も!)、散らからない、しっとりとしたタイプの生地です。表面にクラムといったパイ生地を砕いたものがかかっているのも特徴です。ロシア語では、Торт Наполеон(トルト・ナポレオン)といいます。

 

〇 なぜ“ナポレオン”なのか?

日本では、苺のミルフィーユのことを「ナポレオン」と呼びますが、ほかのほとんどの国では、通常のミルフィーユのことを「ナポレオン」と呼ぶそうです。ナポレオンと聞くと、多くの人がかの有名なナポレオン・ボナパルトを思い浮かべるでしょう。しかしなぜそう呼ぶのか正確なことは分かっていません。ロシアがナポレオン戦争に勝ったことを祝って作られたという説もありますが、それよりもナポレオンとは無関係で、イタリア・ナポリの伝統的なお菓子を指す「ナポリタン」という呼び方が、フランスに伝わるときに「ナポレオン」に変化した、という説の方が有名みたいです。また、ミルフィーユはフランス語でmilleは「千」、feuileは「葉」を意味しますが、これは元をたどれば中東やバルカン半島のお菓子によく使われるパイ生地「フィロ」ではないかという研究者もいます。フィロもギリシア語で「葉」を意味し、何層にも重ねて焼いて使われます。フィロを使った有名なお菓子の一つが、中東や中央アジアなどで人気のバクラヴァというお菓子です。

 

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…ロシアのケーキを調べていたはずが、いつの間にかギリシアにたどり着いてしまいました(笑)。とにかく、普通のミルフィーユとはちょっと違うロシアのナポレオンケーキ。残念ながら普通のケーキ屋さんには売られていないよう。なので、ぜひロシア料理のレストランに行ったときにチェックしてみてください。もしくは、自分で作ってみてください!調べてみると、本格的なものからパイシートを使ってお手軽に作れるものまで、たくさんのレシピが出てきます。

 

〇「鳥のミルク」ケーキとは

「鳥のミルク」ケーキとは、スポンジと、メレンゲやコンデンスミルクを使ったスフレが層になっていて表面にチョコレートをコーティングしたケーキのことです。このケーキはロシア語で“Птичье Молоко”(プティーチエ・マラコー)といいます。プティーチエは鳥、マラコーは牛乳という意味なので、そのまんま鳥のミルクという名前ですね。なんでそんな名前が付けられたのかというと、スラブの民話の中の、美しい娘が求婚者に、誰も見たことのない「鳥のミルク」を持って来たら結婚すると言って試したという話に由来します。つまり、この世のものではないくらい美味しいものを意味するのです。そんな「鳥のミルク」ですがもともとは、ポーランドでココナッツや生クレームを混ぜたマシュマロをチョコレートでコーティングしたお菓子として作られました。そこからドイツやロシアに広まっていったのです。それがケーキとして販売されたのは1978年のこと。モスクワの有名レストランプラハで、ウラジーミル・グラルニクが6ヶ月かけて開発したといわれています。そのレシピは秘密にされ、プラハでしか手に入れることができなかったため、「鳥のミルク」ケーキを求めて多くの人が行列に並んだそうです。しかし、多くのレストランが模倣品を作り、主婦たちも「鳥のミルク」ケーキを再現しようと試行錯誤した結果、ソ連の家庭で一般的なお菓子となったのです。

このケーキを食べた友人Eによると、“白い部分がくしゅっとした感触でマシュマロの上位互換みたいな感じ。チョコはキャラメルを型に流し込んで冷やして固まりきってない状態で外しましたみたいな感触。味は見た目から想像できるやつそのもの”だそうです。私もその時一口分けてもらって食べたのですが、確かに白いスフレの部分の食感が独特で、コンデンスミルクの味がしておいしかったような記憶があります。きっとお店によっても味が違うと思うので、ほかの店のものも食べてみたいです。

 

〇 ロシアのケーキを日本で食べたいときは…?

今日紹介した二つのケーキは、残念ながら普通のケーキ屋さんなどでは売られていないようです。ですがどちらも、インターネットで調べるとたくさんのレシピが出てきます。私も日本在住?のロシア人の方が作っているレシピを見つけたのでリンクを貼っておきますね。めちゃめちゃ面白いです(笑)。

 

[ラッシャンカフェ/Russian Cafe]チャンネルより

鳥のミルク

www.youtube.com

ナポレオンケーキ

www.youtube.com

 

以上、ロシアで一般的なケーキの紹介でした。スパシーバ!

 

文責:もも

 

〈参考〉

RUSSIA BEYOND「鳥のミルク」がどんな味か知りたいなら、このソ連伝統のケーキを食べてみてほしいhttps://jp.rbth.com/cuisine/81107-tori-no-miruku-soren-no-keki

https://www.foodtimeline.org/foodpies.html#napoleons

 

*今日のロシア語*

торт(トールト)

 意味:ホールケーキ

птичка(プチーチカ)

 意味:小鳥

молоко(マラコー)

 意味:牛乳