東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第11弾【ドイツ語科編】〈前編〉

f:id:tufs_russialove:20201104193321p:plain


ドイツ語科かつさんへのインタビュー

 

Здравствуйте (ズドラーストヴィチェ)!

 

ロシア語科3年のしおりです!

先月、バドミントン部を引退しました。今年は大会が軒並み中止になってしまったため、やり切った感を感じぬままぬるっと終わってしまった感じです……無念……取り敢えずOGとしてちょこちょこ顔出せたらいいなと思っています。

さて、他語科の方とのコラボレーションということで、私はバドミントン部の先輩、かつさんにインタビューをさせていただきました!!かつさんはドイツ語科の4年生で、日本の文化や歴史について学ぶゼミに所属されています。

 

ドイツ語科について

外大では“ドイ科”という略称で親しまれている。60人ほどの大語科で外語祭ではビールが大人気。ビールの国を扱う語科なだけあって、お酒が好きな人は多いらしい。(飲めない人ももちろんいるのでご安心ください笑)。外大の地域区分としては、中央ヨーロッパ地域に属している。他に中央ヨーロッパ地域の専攻語としてチェコ語ポーランド語がある。

 

かつさんについて

2017年度に、国際社会学中央ヨーロッパ地域ドイツ語専攻として入学。4年生。2019年10月から、ドイツのシュヴェービッシュ・グミュント教育大学に留学。新型コロナウイルスの影響で3月に早期帰国。現在日本の歴史や文化に関するゼミにて卒論を検討中。

 

f:id:tufs_russialove:20201104184725p:plain

【ドイツ語の授業&言語】

―かつさん、本日はありがとうございます、よろしくお願いします!早速なのですが、かつさんはなぜ専攻語にドイツ語を選んだんですか?

せっかくだから英語以外の言語をやりたいと思って。ドイツは昔叔父が滞在していたことがあったので漠然と憧れがあって、だから選んだ。

 

―叔父さんの影響なんですね!語科の雰囲気はどんな感じですか?

派手派手しい感じではなく、まじめな人が多い印象かな。お酒好きな人は多い気はするね。ドイツの国民性(?)が反映されている気がする笑。

 

―確かにドイツ人っぽいですね笑。ドイツ語の授業はどんな感じですか?風のうわさで1年生の時から講読をバリバリやるという話を聞いたので、大変そうなイメージがありますが……。

僕の代はそこまででもなかった気がする。ちょっと下の代から厳しくなったらしい……1年生の時はドイツ語の小説を、初学者でもわかるように簡単に書き換えたものをやったかな。挿絵があって、文章があって、それを訳していく、みたいな。1個下とか2個下は読む量が増えたらしいって聞いた。

 

―あらら、そうなんですね笑。1年生と2年生で授業の難易度が大幅に変わったりはしましたか?

そんなことはないと思う。1年生はとにかく文法の基礎と、語彙量を増やすための勉強をやったね。そういう訓練がしっかりできている人っていうのは、2年生にそのまま上がっても全然いけるんだけど、それが出来ないとしんどいかな。ドイツ語がめんどくさいのは、格変化があることかな……ロシア語もあるよね。

 

―ありますね。ドイツ語の格はいくつあるんですか?

4つだね。あとは名詞が、男性名詞と中性名詞と女性名詞の三種類ある。それが四つの格で変化するので、それで最初わけわかんねーって嫌になっちゃう人が多いかな。名詞の性についても、eで終わってると女性名詞が多いとか、外来語は大体が中性名詞とか、大まかな区分はあるんだけど、一個一個の単語は地道に覚えていくしかないんだよね。そこに慣れちゃえば、定冠詞と名詞を見ただけで何格わかるから楽なんだけど、慣れるまではちょっと辛いかな。

 

―なるほど……ロシア語も、格変化には苦戦する人が多いです。屈折語(格変化がある言語)の宿命みたいなところかもしれないですね。名詞の性が三種類なのもロシア語と共通しているので、若干ドイツ語に親近感がわきました笑。ちなみに教養外国語(東京外国語大学で開講されている、いわゆる第2、第3外国語にあたる言語科目)でとるのに向くと思いますか?

どうだろ…フランス語よりはいいんじゃないかな笑。フランス語は半年やったけど難しすぎて無理だった笑。

 

―複合過去とか半過去とか難しそうな文法ワード聞きますもんね…。簡単な言語なんてないのかもしれませんね。ちなみに、ドイツ語科はクリスマスにちょっとしたパーティーをやると聞いたことがあります。

あーするね。ドイツのパンとか、プレッツェルとか食べたり。あとはシュトレンっていうかまぼこ型のケーキとか……分かるかな?

f:id:tufs_russialove:20201104184841p:plain

―分かります。ドイツ語科の人に「シュトーレン」っていったら「違う!シュトレンだ!」って怒られました笑。

そうそう、気にする人は気にする笑。そんな感じでドイツのものを食べながら、クリスマスの歌うたったりして楽しい感じ。

 

【ゼミについて】

―かつさんは、割と日本!って感じのゼミに所属されてますよね。 

そうだね。主には江戸時代とか日本の近世を取り扱ってる。ゼミ合宿で長野の山奥の田舎に行って、そこの古いお宅にある明治時代とか江戸時代とかの古文書を解読する、みたいな事もやったり。なぜ日本のゼミにしたかっていうと、一番は語科のゼミに関心があるテーマを扱ってるところがなかったんだよね。ドイツの中世のことをやるゼミと、近代ドイツとかナチスについてやるゼミがあるんだけど、自分の興味がある分野とは合わなかったので笑。日本についてなら面白そうだなと思って選んだんだけど、うちのゼミって例年そうらしくて。語科ゼミに興味が持てなかった人の巣窟みたいになってる笑。

 

―そうなんですね笑。語科で他国についてやってから日本に戻ってくるのも面白そうです。他国との比較もやったりするんですか?

卒論のテーマとしては十分にありうるって言われてる。せっかくなのでドイツを絡めた日本のテーマを取り上げたいなと思ってて、今考えてるところ。

 

【留学について:大学編】

―かつさんは、ドイツに長期留学されていましたよね。どんな雰囲気のところに行ったんですか?

シュトゥットガルトから東に50キロくらい行った、人口5万人くらいの田舎町だね。中央線沿線でいうと立川を少し小っちゃくした感じの雰囲気かな。

 

f:id:tufs_russialove:20201104185844p:plain

 

―なるほど。駅回りは結構栄えているけれど、一歩出ると静かでのどかっていう感じのところですかね?

そんな感じ笑。本当にのどかでいいところだった。ベッドタウンみたいな感じで、車で近くの大きな町に働きに行ってる感じの町で、電車の駅から歩くと一時間くらいかかるようなところに大学があって。

 

―うわぁ、それは遠いですね…。

うん、町の人がたくさんいる所謂繁華なところからは離れた、ひっそりした丘の上に大学はあるからめちゃめちゃ遠くて。勉強するにはいいところだけど遊びに行くには不便なとこだったかな。だからみんな長期のプログラムで参加してる人ばっかりで、学校近くの寮に住んでる感じだった。

 

―その距離だと毎日電車通学するのは難しそうですもんね。大学ではどんなことを勉強しましたか?

具体的に取っていた授業は、ドイツ語ネイティブじゃない人のためのドイツ語講座みたいなのと、地域基礎(東京外国語大学で開講されている専門地域を知るための必修科目)みたいな留学生向けの「ドイツはこういう国で、こういう文化圏で、こういうもの食べてて」みたいな楽しい授業と。あとは、その大学でやってる学部生向けの授業に出るなりしてくださいって感じ。シュヴェービッシュ・グミュント教育大学は名前の通り教育大学なので、中高校生とかそれより下を教えるような仕事を志している人がドイツのいろんなところから集まってくる感じだった。「学生に教えるための英語」とか、学生に教えるにはどうすればいいのかみたいなのが多かったかな。

 

―なるほど。ドイツ語力さえ追いつけば学部生と同じ授業が取れるんですね。

うん。めちゃくちゃ難しかったけど笑。そういう授業でも、留学生ですっていえば単位は優しく評価してくれる感じだった。ドイツ人は授業終わりにテストがあって、テストの点数で決まるんだけど、留学生ですっていうと、じゃあレポートでいいよ、みたいな。ベルリン大みたいなドイツのもっと大きい大学だと、日本語科みたいなのがあって。そういうところでは「留学生向けのドイツ語運用能力向上だけのためのコース」でドイツ語ばっかりやることも出来るんだけど、うちの大学は教育大学なので「ドイツ人向けに教育を教える」みたいな方針だったので、「留学生向け」に何かすることがメインではなかったかな。

 

―より実践的なドイツ語を学べそうな環境ですね。課題は多かったですか?

多かったね。ドイツ人が参加する授業もいくつか取ってたっていうのもあって、ドイツ語で予習とか復習とかしないといけないのは結構しんどかった。やっている内容はそこまで難しくかったと思うよ。外大の世界教養(外大で開講されている、所謂一般教養のようなカテゴリの授業のこと)の「ことばの不思議」(対照言語学など言語に関する授業が開講されている)みたいな内容かな。

 

―入門の科目という感じですかね。外大生なので何となくわかりました笑。交流するのはドイツ人が主だったんですか?

そうだね。留学生は少ない方だったかもしれない。これから増やしていこうっていう感じのところだった。規模的には外大くらいか、それより少し小さいような、キャンパスもすごく小さいから、この人また会うな、みたいな感じで笑。寮でも顔見知りになるのは早いから、それはよかったかも。あとは、オーストリアとかスイスとかの人はいたんだけど、日本人含めアジア人が全然いなくて。僕と、外大の一個上の人と、台湾から一人来てた女の子の三人だけだった。これは人によってはいいかも。本当に日本人がいないところに身を置きたいっていう人だったらめちゃめちゃいいと思うし、ある程度いないとつらいっていう人には向いてないかもしれないね。

 

―すごくドイツ語の鍛錬になりそうな環境ですね。ちなみに教育制度は日本と同じですか?

結構違うね。基本的に最初は小学校みたいなのがあるんだけど、10歳くらいで成績がいい人が行くところと、そこそこの人が行くところと、勉強が全然できない人が行くところにわけられて、上の二つにいると、ギムナジウムっていう大学進学用の学校に行ける。で、一番下の人は手に職系で、職人になったり、パン屋さんになったり、そういう人のための学校に行く。最近は大学に行く人が増えてるみたいだけど、割と早い段階で、お前の将来はこうだって言われちゃう感じ。小四くらいで人生決まる。

 

―ひゃーそれは結構厳しいですね…。

あと違うのは、教育の長さかな。ドイツの教育は長いから、大学に行く人も年がいってることが多くて。ドイツで22歳っていったら大学入ったばっかり、周りはみんな年上みたいな感じで。むこうで誕生日迎えた時も、何歳なのって聞かれて21って答えたら驚かれて、「えー!21」みたいなのすごい言われた。

 

―結構違うんですね…知らなかったです。

 

☆次回!ドイツ語科後半!

―「そろそろ寝ようかなと思ってたらドアをダンダンダンッて叩かれて…」⁉︎ドイツでの寮生活!

―ジャガイモと肉とビールって本当?ドイツのご飯について!

―かつさんが留学して学んだこと、これから留学する人へのアドバイスも!

思わずドイツに行きたくなる素敵な写真も掲載します!明日更新です!ぜひチェックしてください!

  

文責:しおり

 

↓後編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com