東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第8弾【チェコ語科編】〈後編〉

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チェコ語科Kさんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【ゼミについて】

芝元:所属してるゼミ、入った理由、勉強している内容を教えて!

Kさん:所属しているのはチェコ専攻のK先生のゼミ。本当はスラヴ学って名前がついてる。ちなみにスラヴ学の説明をざっくりすると、スラヴ系の言語の比較をしたり、言語学的に突き詰めていったりするみたいな。そういうゼミって思ってくれれば大丈夫。半年しかやってないからあれなんだけど(※ゼミは3年から始まる)、星の王子様のロシア語訳とかスロヴァキア語訳とかポーランド語訳とかチェコ語訳とかの同じ内容の箇所が配られるのね。それを各言語でこことここが違って、文法的にこういうとこが違ってみたいなのをやった。あとは英語で書かれたスラヴ系の論文を読んで、その論文に書かれたテーマについて発表もした。

芝元:なるほどね。星の王子様の各言語比較は超面白そう。K先生のゼミの勉強はどんなところが面白いって感じる?

Kさん:言語が好きな人は言語の比較とか対照が好きな人が多いんだと思うんだけど、私のゼミは比較するのは何語と何語でも良いの。例えばチェコ語とロシア語とかね。それと、スラヴ語派の言語って西スラヴ・東スラヴ・南スラヴの3つに地域が分かれてて。西スラヴは西スラヴで言語がほぼ一緒、東スラヴは東スラヴで言語がほぼ一緒みたいな感じで地域の偏り的なのがあるんだけどその中で歴史的な変遷を経てちょっとずつ単語の綴りとかが変わっていくのよ。子音交換や母音交換的なことが起こったりして、ちょっとずつ単語が違っていったりするのね。外来語でそのまま入ってきちゃうやつもあるけど、オリジナルが一緒でそのまま変わっていったやつとか、そういう変化があって。結構地域差ができるからそれは面白いな。

芝元:ロマンを感じる。

Kさん:言語の比較とか対照が好きな人は面白いと感じると思われる。

芝元:なるほど。

 

芝元:では次の質問!卒論のテーマって決まってる?

Kさん:全然決まってないんだけど、一応、ゼミを決めるときに提出した志望動機書に書いたことはスラヴ系の言語の比較対照系。それと、私は音楽が好きだからチェコ語で書かれた歌を言語学の観点から解析するとかしたら多分面白いかなあと思って、これも一応書いたの。そしたらゼミのK先生が「面白い」って。「え?面白いの?じゃあやろっかな~」っていうくらいの気持ちでいる(笑)これをやった人を調べてみたら何といたのよ、外大に。日本語の曲だけど。各年代トップチャート100とかの歌詞の分析をして、どういう単語が使われているのかとか。あと日本語の歌に英語が入ってくる歌詞あるじゃん。それで外国への意識がどのくらいあるのかみたいな。こういうのを年代ごとに比べてとか。そういうのだったら出来なくはないのかなって。

芝元:そういう感じなのね。民謡とか古典の音楽なのかなって思ってたけど、割と現代?

Kさん:私もそれを想定してたんだけど、最近の音楽もテーマとして良さそうだなって。それに、もしかしたら、古典民謡と今の歌とかで比較すれば文法の変化とかわかるかもしれない

芝元:めっちゃいいね。新しいし面白そう!卒論書き終わったらぜひ読ませて~。

 

【将来について】 

芝元:将来チェコ語を活かせる仕事に就きたい?

Kさん:私はチェコ語を使えなきゃ嫌だってことはなくて、一応チェコに支社がある会社も見てるけど、特にチェコとは関係のないところで働こうと思ってる。あとどこかのタイミングで転職しようかなって考えてる。というのも、外大で言語・文化を勉強してるんだけど、私実は法律がめっちゃ好きで

芝元:えっ、知らんかった!

Kさん:高校生の時だけど政治経済みたいな授業があって、国会議員で罷免させられた人って少ないんだけど、そういうのが私にとって面白くて、その回の国会の議事録とか読むの好きで、受験生の時めっちゃ読んでたの。裁判の判例とか読むのも大好きで。法律大好きなの。だから外大入って、言文だけどめちゃくちゃ法律とか政治とかの国社の授業受けてて。その中でも目を付けたのが社会保険労務士。略して社労士。(※社会保険や労働問題の専門家のこと)

芝元:かっこいい。

Kさん:それがいいなって思った理由はぼんやりしてるけど、自分が前いたバイト先で有給が貰えなかったりして。一応そういうのって法律違反だけど、学生の立場から言えないじゃん。

芝元:言えない。絶対無理。

Kさん:だから、そういうのを代弁出来る人になりたいって思って。日本も労働人口が減ってきているから外国の方をどんどん雇いたいと思うの。ただ、外国の方が日本で劣悪な環境で働いてさ、日本嫌だってなったら嫌じゃん。最終的には大学生とか外国人労働者とか、弱い立場の人をサポートできるような団体を立ち上げられたらいいなって。

芝元:ほんっとに素敵。

Kさん:でも労働関係って働かないとわからないから、最初から社労士になるんじゃなくて、働いて経験積んで、経験談を基に、くらいで出来たらいいなあって感じかな。

芝元:めっちゃ考えてるじゃん。素晴らしいわ。今と意外と関係なさそうで最後結局繋がりそうだね。

Kさん:そうそう。困ったら外大のコミュニティを使って、通訳とか翻訳できる人を探してとかできるかも(笑)

芝元:え~いいな。素敵。素敵しかいいようがない。感動した。

 

チェコ旅行について】

芝元チェコに行ったことはある?

Kさん:1年生の夏休みに1回だけ旅行に行ったことがある。7月くらいでめっちゃ暑かったことを覚えてる。

芝元:特に印象に残った思い出や場所はある?あと、行ってみて印象が変わった点とかその地域を知らない人が聞くと驚くであろう風習とかもあれば教えて欲しい!

Kさん:ちょっとしか滞在しなかったから風習とかで「おお!」というのはあんまり無かった気がする。印象に残った思い出は、あんまりトラム(※路面電車)とかに乗らないで街をぐるぐる歩いたからめっちゃ疲れたこと、あとスメタナの博物館の場所が超わかりづらかったこと。

芝元スメタナの博物館だったら人いっぱい来そうなのにわかりづらいところにあるのね。

Kさん:しかもね、人が全然いなかった。博物館がめちゃめちゃ小さいの。それと、ヴルタヴァ(※モルダウ)川のすぐ横に博物館があるから、川を見ながらスメタナの曲を聞けるのね。夢をかなえた。

 

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ヴルタヴァ川

あと、個人的に食べ物が好きだから食べ物の思い出が印象に残ってる。揚げたクロワッサンみたいな、クロワッサンみたいな形した揚げパンみたいな、なんていえばいいかわからないんだけど、そのなかにアイスとか生クリームが入ったトルデニークっていうお菓子があるのよ。

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トルデニー

めっちゃ大きくて、それ食べたらおなか一杯になっちゃうんだけど、結構おいしくて。素朴でどこにでもありそうなんだけど、だからこそ安心するみたいな。私達で言うちょっと前のタピオカみたいな感じで、どこにでもそのお店がある。

芝元:へ~。食べてみたい!

 

チェコについて】

芝元チェコを知るうえで最初の一冊となるようなおすすめの本を教えて!

Kさん:勉強ではないんだけど、チェコの挿絵とおとぎ話の世界」って本がおすすめ。チェコの絵本とかチェコ人が描いた絵がひたすら載ってる。これは受験生の時に母が買ってきたんだけど、チェコがどういう国か知るきっかけになった。チェコは結構絵本が有名な国らしくて、世界で初めて書かれた子どもを対象にした絵本もチェコ人が書いたらしい。チェコっていう国がわからないけど知ってみたいっておもったら、結構こういうの読むと、チェコってこんな国なんだなっていうのがわかるからおすすめ。単純に絵も綺麗だし。

チェコの挿絵とおとぎ話の世界

チェコの挿絵とおとぎ話の世界

  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

芝元:絶対チェコの可愛さが伝わるね。

Kさん:あとは普通に画像検索して街並みとか見るとめっちゃきれい。そういうの見て「あ、メルヘンチックな国なんだ」みたいに思って欲しい。

芝元チェコは全てにおいてかわいいイメージ出せてるから凄い。絵本大国っていうのも驚きだし。そのことが広まってほしいね。

 

芝元:これに関連してだけど、チェコの音楽・絵画・文学・映画・アニメで有名なものはある?

Kさん:結構アニメーションが盛んだから多分YouTubeで調べたらいろいろ出てくると思う。有名なのは、クルテクっていうモグラのお話とかアマールカっていう女の子の話とか。でも話がシュールなのが多いんだよね(笑)

芝元:あんな可愛い見た目で(笑)

Kさん:あとシュベイクていうずっと酒飲んで歩いてる兵士のアニメもある。日本だと子供向けでこういうのはあまりないじゃん。結構ブラックっぽいのが多くて。そういうのが見てて面白いんだけどね。

芝元:見てみたいわ(笑)

 

芝元チェコの著名人はどんな人がいるの?

Kさん:フランス人と思われがちのミュシャが有名!芸術の潮流でアール・ヌーヴォーっていうのがあるんだけど、それの代表的な人物。次に私の好きな音楽についてだけど、ドヴォルザークが有名。「遠き山に日は落ちて」っていう日本語の歌詞がついてる歌があるんだけど、それがドヴォルザークの「新世界より」っていう交響曲のフレーズがベースになって作られた曲でどっかの地域のチャイムで使われてたりもする。どっかで聞いたことあるなみたいな。口内炎かなんかのCMにも使われてた気がする。意外とみんな聞いたことあるんだよ~!

芝元:え~~~びっくり。

 

チェコとロシアの関わりについて】

芝元:ロシアとチェコの関わりについて何か知ってることはある?

Kさん:関わりは深い方だよね。スラヴ系の仲間ですから。第二次世界大戦以降チェコも東側諸国だったから、ソ連の仲間だったけど、チェコ人から見てロシアはあまり良い印象じゃないのかなって思ったりすることもちょこちょこ。チェコでロシア語の学習が必須になってた時代もあった。あと、大きい出来事としては1968年の「プラハの春」のチェコ事件っていう、簡単にいうと社会主義体制の中でチェコスロヴァキア民主化しようとして改革運動をしていたときにワルシャワ条約機構軍がソ連を中心に軍事介入してきたみたいな。そういうのが色々あったから、関わりは深いと思う。

芝元:なるほど。ロシア語必修だったってことは年配の方はロシア語通じるのかな?

Kさん:通じるんじゃないかな。私のネイティブの先生、ソ連の傘下のぎりぎりだったかもしれないんだけどロシア語が話せるのよ。単に頭が良いからかもしれないけど。

芝元:今度チェコ科のネイティブの先生に話しかけてみようかな。

 

芝元:今日はインタビューを受けてくれて本当にありがとう!最後に何か一言あればどうぞ!

Kさんスラヴ系だとロシアに行きがち、中欧だとドイツも大きいし、ビールとか食事美味しいし、オーストリアも音楽の都だし、でもその近くにあるチェコも悪い国じゃないよ。勉強するもよし、行ってみるもよし、画像を眺めるもよし、ちょっと触れてみて欲しいな。

 

改めてKさん本当にありがとうございました!

チェコに本当に行きたくなりました!チェコをもっと知りたくなりました!

 

それではпока(パカー)!さようなら!

 

文責:芝元さや香

(インタビュー実施日:2020年9月23日)

 

【お知らせ】

Kさんと私が所属している外語祭実行委員会が運営を行う「第98回外語祭」は今年史上初のオンラインで開催します。期間は11月19日(木)から11月23日(月・祝)です。外語祭公式サイト(http://gaigosai.com/)でお待ちしております!!