東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

東京外大生にインタビュー!第3弾【ポルトガル語科編】〈後編〉

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ポルトガル語科北川さんへのインタビュー

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【言語の学習】−言語学を専攻する北川さんのポルトガル語学習法

りお:じゃあ、外大生必須の「言語学習」について少し聞きたいと思います!北川先輩がポルトガル語を学ぶ上で意識していることはありますか?

北川:文法は外大の授業できっちり習うはずだし、外大生ならしっかり勉強すればきっとマスターできるから、俺は「単語」がめっちゃ大事だと思ってる。日常生活で使う単語って、大学の授業ではあんまり習わなかったりするじゃん?

りお:そうですね。

北川:現地で生活していれば徐々に覚えていくけどね。俺は言語学をやってるから言語学の用語は詳しくなるけど…。単語力はマジで大事ってことを、4年前に戻れるなら教えてあげたいなあ。その時もわかってたはずなんだけどね(笑)

りお:私も1,2年生の時はロシア語の文法規則を覚えるだけで手一杯だったなあ。単語っていつでも復習できそうなぶん、忘れがちなポイントかもしれないですね。

北川:会話では文法が多少曖昧でも案外通じるよね。単語が出てこないほうが致命的なミスが起こりやすいと思う。

りお:たしかにたしかに。

北川:あとは、ネイティヴの人と話す機会があれば、多少間違ってもいいから言いたいことを最後まで話し切るほうが自分のためになると思うよ。キョドってても何も学べないし。かっこいい言葉で言うと、「間違うことを恐れるな」ってことかな。

 

りお:外大でポルトガル語を勉強するのと、現地に行って勉強するのって、けっこう違った感覚なんでしょうか?先輩のご自身の学習を振り返ってみて、どうですか?

北川:俺が一番ポルトガル語力が伸びたなって思うのは、2年生の時にポルトガル語弁論大会に出場するって決めた時期かな。ネイティブのポルトガル人の教授と週2,3回のペースで練習させてもらって、練習の後も一緒にご飯に行かせてもらったりもしていい会話練習になったよ。やっぱりネイティブと話すことはめちゃくちゃ重要だと思ってる。1年の時にショートビジット(外大の提携する大学への短期留学プログラム)でポルトガルに行ったときも、3年で派遣留学で行ったときも、「絶対に英語は喋らない」って決めてたんだよね。英語に逃げることは簡単だけど、苦労しながらもその国の言語で話すのが一番語学力が伸びると思うし、何度聞き返されようと頑固にポルトガル語で話し続けてた。自分の学んでいる言語にこだわるのはすごく大事だと思うよ。

りお:カッコいい!おっしゃる通りですね。

北川:外大でも留学先の大学でも、俺が勉強してた内容は言語学だったから、留学先の授業はなんとか聞き取れたよ。言語学の用語は英語由来の言葉が多いし。初めは授業のノートを取るのは大変だったけど、授業自体はそれほど大変ではなかった。俺は留学に行った時からネイティヴポルトガル語を聞くのはそんなに苦じゃなかったし、日本でしっかり勉強してたらそのまま活かせると思うよ。

りお:そうですか、ちゃんと勉強しなきゃなあ…。

北川:現地人の友達がいるといいよね。そんなに沢山じゃなくていいけど、信頼できるネイティヴの友達が2,3人いれば十分。語学力を鍛えたいなら、やっぱり現地では日本人とつるまないほうがいいよ。元も子もないこと言っちゃえば、全部「気合い」!

りお:(笑)

北川:何においてもね。コツコツ勉強するっていう気合いも大事だろうし、例えば異国で風邪ひいた時にどう対応すべきか考えることも、外国人だからって現地人にバカにされても「なんだこの野郎!」って言い返せるくらいの根性を持つことも大事なのかなと思う。

りお:おっしゃる通りですね。とっても頼もしい!

 

ポルトガルに関わる活動について】−ポルトガル語の輪を広げるために

りお:北川先輩はポルトガルに関わる学生団体も運営されていますよね。

北川:そうそう。学生団体「Estudamos Português!(エストゥーダーモス ポルトゥゲース)」ね。

Estudamos Português!とは?

2018年設立。ポルトガル語ポルトガル語圏の文化の普及促進や言語学習者・母語話者との交流を目的として様々な活動を行なっている学生団体。2020年5月現在、日本全国の大学から83名の会員が在籍。北川さんはその初代代表を務めていらっしゃいました。


りお
:団体で発行されているフリーペーパー読みましたよ〜!ポルトガルやブラジルに関する知識がほとんどない私でも、めちゃくちゃ楽しく読めました。日本にこんなに広いポルトガル語学習者のコミュニティがあるなんて知らなかったですし、執筆者の皆さんの留学先でのエピソードがとても面白かったです。

北川:おっ、ありがとう。実際、ポルトガル語に触れる機会ってかなり限られてると思うし、ポルトガル語とかその文化とか、留学のことについて気軽に知れるような情報発信ができるといいなと思ってね。第二号も発表したところなんだ。(記事末尾にフリーペーパーのURLあり。)第一号は主に大学生向けの内容だったから、今回は社会人やもう少し幅広い層の人も楽しめるように内容を工夫したのさ。

 

りお:最近は外国人を交えたスピーキングセッション社会人の方を招いた勉強会も行っていますよね。それらはどんな意図で始めたものなんですか?

北川:スピーキングセッションに関しては、俺の個人的な実感がベースになって始めたものだよ。例えばさ、留学先で会ったポルトガル人と会話の練習をしたいからってビデオ電話するのって、なんかむずがゆいじゃん?(笑) いきなり電話するのもアレだし、利害関係がない人と話せればいいなって思って始めたのがこのスピーキングセッションなんだよね。やっぱコロナのせいで直接会って会話練習できる場も減ってるから、自分たちでそういう機会を作っちゃえばいいと思って。

りお:ほほ〜!素晴らしいアイディアですね。

北川:スピーキングセッションの対象を学生だけにするか、社会人も入れるかは迷ったんだけど、社会人も入れることにしたんだ。結果的に参加してくれた社会人の方がフリーペーパーに支援してくれたり、コミュニティの輪も広がったから、よかったと思うな。

りお:ふむふむ。じゃあ勉強会のほうはどうですか?

北川:勉強会は、ラッキーなことに外大の常勤の講師の方が「もしよかったらこういうのやってみない?」って話をくれたんだ。ゲストはポルトガル駐日大使の方や、学者、新聞記者といった方々を講師の方の知り合いを通じて紹介してもらった。もし対面でこういう勉強会をやるとなると場所借りるのが大変だけど、オンライン主流の今だからこそ開催できたのかもしれない。 

 

ポルトガルとロシアの繋がり】−あんまりなさそうだけど…?

りお:今回の企画の方針上、北川先輩の専攻するポルトガル地域と私のロシア地域との繋がりや違いを探りたいと思ってるんですが…。

北川:正直あんまり繋がりを感じたことはないかなあ。現地でロシア料理屋なんて見たことないし、ロシア人を見かけることもなかったし…。

りお:地理的にもかなり離れてますよね。

北川:そういえばポルトガルに「ロシアの山」(montanha russa)っていうジェットコースターがある。元はフランス語だったかな。

りお:へ〜!

北川:あと、俺の行ってたポルトガルの大学にはロシア文学を学ぶコースがあったよ。あとは〜、そうだな、政治的にはポルトガルは結構左寄りの国なんだよね。「ポルトガルはスイカのような国だ」って言われることがある。外側は緑色で一見平和で穏やかそうだけど、中は赤くて共産主義的な面がある。社会党共産党議席数も多いし。

りお:比較的リベラルな国なんですね。それはもしかするとソ連社会主義の思想的な影響も何か受けてるかもしれませんね。でも今のロシアはまたちょっと違うからなあ。

北川プーチン様様だもんね。

りお:外から見るとそうかもしれませんね(笑) でもここ2年くらいは支持率が落ちてきてますけどね。あと、昔からロシア人は暖かい地方への憧れみたいなものがあるんですよ。黒海カスピ海に囲まれたコーカサス地方には、ロシアの有名な詩人や作家も度々訪れてるんです。

北川:なるほどね。ポルトガルでいうと本土最南端にアルガルヴェ地方っていうところがあって、ここはビーチが有名なリゾート地でもある。

りお:へー!そうなんですか。あとサッカーはポルトガルでもロシアでも人気ですよね。

北川:ロシアのチーム弱いじゃん。

りお:そんなこと言わないでください(笑) ロシアでも一番人気のスポーツはやっぱりサッカーだと思いますよ。

北川:2019年のロシアW杯ではポルトガル人選手もロシアに行ってたね。あとポルトガルとロシアの共通点としては、ナポレオンに攻められたってことかな。

りお:(笑) ナポレオンは世界中駆け回ってますね。

 

 

りお:北川先輩、今日はインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!外大での語学授業からポルトガルでの留学生活、学生団体のことなど、貴重なお話を聞けてとても嬉しかったです。

北川:いえいえ。すごくいい企画だと思うから今後も頑張ってね!

 

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ポルトガルにあるユーラシア大陸最西端のロカ岬。ポルトガル最大の詩人カモンイスが読んだ、「ここに地果て、海始まる」"Aqui... onde a terra se acaba e o mar começa.."という碑文が彫られてるそうです。

 

【おまけ】−ポルトガルやブラジルについてさらに知りたい方へ

記事を読んでポルトガルやブラジルに興味を持った方へ、北川さんが関連するおすすめの本やエンタメを教えてくださいました。ぜひチェックしてみてください!

 

Q. ポルトガルを勉強する最初の一冊となるおすすめの本は?

金七紀男『ポルトガル史』

ポルトガル史

ポルトガル史

  • 作者:金七 紀男
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: 単行本
 

 

Q. ポルトガルやブラジルの音楽、映画、文学等で有名なものは?

音楽:ボサノヴァ(ブラジル音楽のジャンル)、ファド(ポルトガルの伝統歌謡)

映画:シダージ・デ・デウス(2002年制作のブラジル映画。スラム街のストリートチルドレンを描いた。)

文学:ジョゼ・サラマーゴポルトガルの作家。視覚障害をテーマとした『白の闇』で1998年ノーベル賞を受賞。)、フェルナンド・ペッソーア(ポルトガルの詩人・作家。『不穏の書、断章』など。)

 

Q. ポルトガルやブラジルの著名人といえば?

クリスティアーノ・ロナウドポルトガル代表のサッカー選手)

ネイマール(ブラジル代表のサッカー選手)

グテーレス事務総長(現国連事務総長

 

 

文責:りお

(インタビュー実施日:2020年8月3日)

 

 

北川さんが代表を務めていた、日本でポルトガル語を学ぶ大学生による学生団体「Estudamos Português!」 の公式サイト

https://estudamos-portugues.amebaownd.com

フリーペーパー第一弾はこちら(無料で閲覧・ダウンロードできます)

https://estudamos-portugues.amebaownd.com/posts/6900040

フリーペーパー第二弾はこちら(無料で閲覧・ダウンロードできます)

https://estudamos-portugues.amebaownd.com/posts/9391675