東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

「飛び下りてごらんなさい。もし本当に私を愛しているのなら」-トゥルゲーネフ『はつ恋』

Привет(プリビェット/こんにちは)!恋の字にゲシュタルト崩壊を起こしているУです!

今回は文学特集〜!みんながマニアックな作品を挙げる中、ド定番の一冊『はつ恋』をチョイスしました🤗

ご一読いただけると嬉しいです!

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さて、「初恋」ってみなさんどんなイメージをお持ちですか?


一途な想いが青空の下、キラキラと輝いて、でもどこか儚いもの…


とか


真綿で包んで、心の奥にそっと仕舞っておきたい宝物のような思い出…

 

な〜んて世間一般では言われているかもしれませんが、不倫・曇天・死ネタ満載の三拍子が揃った(偏見)ロシア文学では、どう描かれたのでしょうか?

 

『はつ恋』ってどんな作品?

『はつ恋』(あるいは『初恋』/«Первая любовь»(ピェールバヤ リュボーフィ))は19世紀を代表するロシア文豪の1人、トゥルゲーネフ(Иван Сергеевич Тургенев)が1860年に発表した中編小説です。父と子じゃなくてごめんね、しおりさん。

世界史選択必見!ロシア帝国の運命を変えた一冊『猟人日記』 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

 

主人公は中年の男、ウラジーミル。彼が自分の初恋を回想し、それを手記に残すという形式で物語が進みます。

 

У的ぶっ飛びポイント

みなさんご存知の通り、ロシアは我々の常識をぶち破ってくれます。
この『はつ恋』も例に漏れず、ふわふわキラキラでちょっと甘酸っぱい…な初恋物語ではありません。
個人的にどこが「よっ!さすがロシア文学!」と感じたか、まとめてみました〜!(ネタバレ有りです)

 

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彼女、男たちを手玉に取る手腕がえげつないです。

 

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初恋のライバルはパパって…そんなことある??初恋には複雑すぎない…?一生引きずるよ…?

 

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作中で主人公がパパから贈られた言葉。これ、作者が実際に父親に言われた言葉だとか。いや、どんなシチュエーション…???

 

とまあ、こんな感じです!さすがロシア文学ですね⁉️
文学の秋。気軽に読める長さなので、気になった方はぜひ読んでみてください!

 

みなさん毎日お疲れさまです!

 

以上、Уでした!

 

 

文責:У

 

 

*今日のロシア語*

счастье (シャースチェ)

 意味:幸せ

отрава (アトラーヴァ)

 意味:毒

 

【参考文献】

青空文庫『はつ恋』(神西清訳)

https://www.aozora.gr.jp/cards/000005/card53194.html

青空文庫『「はつ恋」解説』(神西清)

https://www.aozora.gr.jp/cards/001157/card50191.html

 

なお、「はつ恋」の翻訳は多数出版されており、その訳者は米川正夫先生や佐々木彰先生など名だたる顔ぶれですが、У的なおすすめは以下の2冊です。

神西清訳『はつ恋』(新潮文庫)

1952年発売。青空文庫でも読めます。

沼野恭子訳『初恋』 (光文社古典新訳文庫)

2006年発売。一番新しく読みやすいです。

読み比べてみても面白いと思います◎