Здравствуйте (ズドラーストヴィチェ)! こんにちは!
ロシア専攻3年の芝元です。
今週のテーマはロシア・周辺地域文学特集ということで!私がみなさんに紹介したい作品はこちら!
チェーホフの『可愛い女(かわいいひと)』
この本を読もうと思った理由は主に2つあります。
1つ目は、見ての通り表紙がとっっっても可愛いからです。図書館で一目惚れしました。ちなみに中もすっっっごく可愛いので是非読んでみてください。2つ目は純粋に「どのような人が「可愛い」と思われていたんだろう」と疑問に思ったからです。ロシアの人は女性に「可愛いね」ではなく「美しいね」と言うイメージがあるので、どんな人を「可愛い」と認識するのか(していたのか)興味がありました。
では早速あらすじの説明にうつ………らないです。というか、うつ「れ」ないです。すみません。
いかんせんこの作品は短編小説なので、文章力の無い私がネタバレせずにあらすじを書くのは非常に困難でした。
ということでまず初めに、あらすじではなく主人公について書いていきたいと思います。
この物語の主人公はオーレンカ。退職した8等官プレミャンニコフの娘でツィガン村のティヴォリ遊園地の近くに住んでいます。オーレンカは心から誰かを愛することの出来る女性です。むしろ常に誰かのことを愛していなければ空っぽになってしまいます。そんな彼女のことを周りの人々は「可愛い女」と言います。
上述したように、私は「どんな人が可愛いと思われていたのか」というのを知りたかったのですが、オーレンカのような「人を愛すことができる人」を人々は「可愛い」と認識していたということが読んでいてはっきりとわかりました。
作品に出てくるオーレンカの周囲の人間と同様に、私も、とてもピュアで単純で、すぐに相手の色に染まってしまうオーレンカのことが読んでいてとても可愛らしく感じられました。
しかし、そんな彼女のことを少し怖いな、と思ってしまう場面もありました。
※以下ゴリゴリのネタバレを含みます
最初の旦那であるクーキンのことを愛していたとき、オーレンカは芝居小屋を素晴らしいものと捉え、そこでは教養と人間らしさを身につけることができるとまで考えていました。彼女は夫と共に、芸術に無関心であったり無知であったりする観客のことを蔑んでさえいました。
しかし、2番目の夫プストヴァーロフのことを愛していたときは、知人に芝居やサーカスを観に行くことを勧められた際に「お芝居なんて、一体何がいいんでしょうね?」と発言したのです。
この発言に私はとっても驚きました。クーキンのことを心の底から愛していて、幸せな日々を送っていたはずなのに。クーキンに酷いことをされたわけではないのに。まるで彼と過ごした日々が無かったかのような発言。新しい夫がいるからとはいえ、以前好きだったものを否定してしまうのは何だか悲しいなぁと思いました。
このように、好きな人の色に完全に染まってしまう、真っ白すぎるキャンバスのようなオーレンカが少し怖く感じられました。
また、怖いと言えば物語の最後のサーシャの寝言。
※以下妄想大好きな私によるゴリゴリの根拠なしの空想です。鼻で笑いながら読んでもらって構いません。
「覚えていろ!あっちへ行け!乱暴するな!」
この言葉を見て、私はもしかしてサーシャは中学校でいじめられてるのではないかと思いました。
つまりサーシャは悪夢に魘されていると。
もし彼がいじめられているとして、それを知ったオーレンカはどうなるのでしょう。彼女はかなり落ち込むかもしれません。もしくは心がサーシャ1色に染まったオーレンカはいじめっ子達に仕返しをするかもしれません。
もし復讐をするなら、彼女はあらゆる手を使ってしまいそうな気がしてしまいます…。怖い。
以上が私の妄想です。すみません。もしかすると私のせいでオーレンカに対して怖いイメージを抱いてしまった方がいるかもしれないので、彼女の名誉のために言います。オーレンカは「可愛い女」です。
長くなってしまいましたが、これで『可愛い女』の紹介…というより感想😂を終わりたいと思います。
まだ読んだことのない方はぜひ読んでみてください✨
それでは!Пока (パカー)!
文責:芝元さや香
追記:恥ずかしながらチェーホフの作品を初めて読んだのですが、情景が繊細に描写されていて、とても美しく感じました。他にも彼の作品を読んでみたいと思います。
*今日のロシア語*
душечка (ドゥーシェチカ)
意味:可愛いひと
цвет (ツヴェート)
意味:色