東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

テッフィを読む

Здравствуйте!

最終巻だけハードカバーで持ってるシリーズ物の小説を文庫で統一すべきか否か2週間弱悩んでいます、そーにゃです。

古書のオンラインショッピングサイトとかいう魔境から出られそうにありません。


今回はロシア女性作家テッフィの作品について紹介したいと思います。彼女については8月6日の記事でも取り上げているので、ぜひそちらの記事もご覧ください!

Тэффи にまつわる et cetera - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

 

実はテッフィの作品は日本語にも訳されているんです!嬉しい限りですね😆

自分の確認した限りでは2冊の書籍が存在します


①町田清朗編・訳『テッフィ短編集』(津軽書房)

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この本は2部構成となっており、第1部ではなんと、かの有名な怪僧ラスプーチンについて、実際に作家・ジャーナリストであったテッフィ自身が接触して受けた印象や言動が描かれています!農民出身でありながら宗教家として皇室に入り込みロシア帝国崩壊の一因ともなったラスプーチンの振る舞い、気になりますね!

そして第2部ではタイトルにもあるように全部で16の短編がまとめられています。全体として、短いながらも鋭く皮肉の利いた、小気味の良い印象を受けます。

ロシア人の恋の作法や定石を事細かに描いた話や列車の見送りに関する覚書、それに民間療法を好み科学に疑念を抱くロシア人たちの話など、所々に見え隠れする言葉の棘には思わずクスリとした笑いが漏れることでしょう。

テッフィのユーモアについて、巻末では世相戯評作家・社会評論家А.アンフィテアトロフのこのような評が紹介されています。


ゴーゴリのユーモアは涙の裏の笑いであり
ドストエフスキーのそれは絶望の中の笑い、
レミーゾフのそれは熱にうなされた、うわごとの中の笑いであるが、
テッフィのユーモアは、チェホフと同じく哀れさを含んだため息を通しての笑いである……

 

②田辺佐保子訳『魔女物語』(群像社

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こちらの本ははドモヴォイ(家の魔)やルサールカ(水の精)、ヤガー婆さんといったロシアに語り継がれる妖怪の類について、ユーモアを交えた語りで綴られた短編集です。全部で15の魑魅魍魎が紹介されており、それぞれについて具体的な短いエピソードが描かれています。もしかすると皆さんが聞いたことのある妖怪もいるかもしれませんね。こちらは訳としてもストーリーとしても大変読みやすく、またもちろんテッフィの鋭いユーモアが散見され、なおかつ物の怪というどこかホラーめいたテーマも相まって非常に濃密な一冊となっております。ただユーモアがあるだけでなく、話の締め括り方も感動的であったり儚さを感じられたり、とにかく素晴らしいです。

ロシアにあまり興味がない人にも、純粋に読み物として面白いのでお勧めしたいですね。

個人的には吸血鬼、ルサールカ(水の精)、それからオーボロチェニ(化け物)のお話が気に入っています。

 


いかがだったでしょうか?


おそらくテッフィを読んだことがある、という方は多くはないと思います。自分もЛЮБОВЬでテッフィの記事を書くまで作家の名前も作品も知り全然知りませんでした。しかし実際に読んでみると他の作家と共通する点もありつつ新たな語り口やロシアというものの描写、作風を感じることができ、特に『魔女物語』は今までに読んだロシア人作家の作品の中で上位5位に入るくらいのお気に入りになりました。

皆様にもこのテッフィや紹介した2冊だけでなく、新たな作家・作品との出会いがあることを願っております。

 


文責:そーにゃ

 

 

*今日のロシア語*

перевод(ペレヴォード)

 意味:翻訳

история(イストーリヤ)

 意味:物語、歴史

 

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