東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ゴーゴリ『タラス・ブーリバ』

Привет(プリヴィエット/やあ)!

こんにちは、トモヒトです!

 

長梅雨がようやく明けたと思ったら、連日続くドッピリカンの日本晴のせいで、これまた外出が億劫ですね…

 

さて本年においては、日本のアニメコンテンツをロシアで紹介するイベント、"J-Anime Meeting in Russia" が、11月にオンライン開催されます!!👍👍👍

 

先日の記事で紹介のあった集中講義「日露タンデム学習」でも、参加者のひとりであった私は、"J-Anime Meeting in Russia" の主催者である日本映像アカデミー(JVTA)の方からご指導を頂きながら、日本のアニメ作品にロシア語の字幕を、ロシアの映像作品に日本語の字幕をつけるという貴重な体験をさせて頂きました!

 

気を取り直しまして、今回の記事でのテーマをお伝えします!

 

"J-Anime Meeting in Russia"つながりということで、大学の授業で出会った衝撃の映画、

 

映画「タラス・ブーリバ」

 

をご紹介していきたいと思います!

 

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映画「タラス・ブーリバ」は、かの夭折の文豪、ニコライ・ゴーゴリの歴史創作小説「タラス・ブーリバ」(1835)を原作としている、2009年に発表された映画です。

 

 舞台は、近世ウクライナ。当時のウクライナは未だ国家を有さない「辺境」であり、主要地域はポーランド公国の「キエフ県」という行政区に属していました。そこで繰り広げられるウクライナ・コサックのタラス・ブーリバとポーランド勢力の関係性が類い稀なるゴーゴリの筆によって劇的な物語となり、観る者の心を揺り動かす作品へと換骨奪胎されています。

  

【あらすじ】

ウクライナのコサック隊長、タラス・ブーリバには、キエフの神学校から帰還した二人の息子、オスタップとアンドリーがいた。このとき弟のアンドリーはポーランド総督の令嬢に恋をしていた。三人がザポロージェのシーチでの訓練の後にポーランドへの遠征へ向かったとき、アンドリーは自分の想い人が進撃先の町にいることを知り、寝返ってポーランド側の一員となった。ブーリバはアンドリーを射殺するが、その後息子オスタップはポーランド軍に捕らえられて処刑され、自身も戦闘で重傷を負う。ブーリバは報復の鬼となってポーランドへの大進撃を進めるが遂にポーランド軍に捕らえられて火あぶりの刑に処される。

 

ポーランドウクライナ

 中東欧の大国、ポーランドリトアニア大公国においては、ウクライナ・コサックは根っからの独立気質の自治集団でありながら、大国であるロシアやポーランドなどに対しては、譲歩を見せなければ存続できませんでした。

 

 当時のポーランド社会には「シュラフタ」と呼ばれる貴族階級が存在し、それは、その支配下にあるウクライナ貴族などがシュラフタ化することもあれば、ポーランドと同君連合をとり結んでいたリトアニアからも貴族を吸収することがあるような、強い求心力をもった特権階級でした。彼らは被支配身分の人々を自分たちと異なる人種とさえ考えていました。

 

 ブーリバの息子アンドリーが最終的にシュラフタのなかにアイデンティティを見いだし、しかしウクライナ・コサックであり続けた父によって彼が殺されてしまう場面に、近世ウクライナの哀しさを僕は看てとりました。

 

【みどころ】 

・コサックとして父とともに生きることを決意したもののポーランド軍に捕らえられて処刑されることとなったオスタップが、処刑台に吊るされながら「親父、どこにいるんだ!?俺の声が聞こえるか!?」と叫び、それに対し、ポーランド民衆に紛れて息子の最期を見届けようとしていたブーリバが、自らが捕らえられてしまう結末を承知で息子に返事をしてしまう場面

 

・クライマックスでブーリバが捕らえられた際の遺言。ポーランドへの憎しみが観るも露に表現されている。

 

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ゴーゴリがこのようなウクライナ・コサックを主人公とした小説を書いた背景の一つには、彼がウクライナ出身でありウクライナ・コサックの末裔であったことに求めることができます。ゴーゴリ作品は面白いものばかりなので、他の作品もぜひ読んでみてください!

 

 

 文責:トモヒト

 

 

*今日のロシア語*

Гоголь(ゴーゴリ

 意味:ニコライ・ゴーゴリ