みなさん、долго не виделись(ドールガ ニ ヴィーヂリシ)!
お久しぶりです、კოჯიმაです。
あっという間に春学期が終了し、残すは期末レポートのみですね(それも十分ハードですが)。
今日から「ロシアと日本」というテーマが始まります。いきなりマニアックなテーマではありますが、今回は「ロシアにおける武道」について書いていきます。
武道とは日本で体系化された特定の運動文化の名称で、修練を通じて心技体を一体にして鍛えることも目的としています。プーチン大統領が柔道愛好家として知られており、身体だけでなく人格や道徳心を鍛えるという独特な性質からも武道はロシア国内である程度の人気があります。柔道や空手の起源や概要、用語をロシア語で解説する記事も多く見かけます。
ロシアで主に認知されている武術は柔道、剣道、弓道、空手、合気道、空くう道どうなどがあり、現在は柔道、空手、空道が特に人気です。ロシアでの柔道競技人口は2016年時点で30万人いるとされ、最近では学校教育に採り入れているところもあるそうです。大統領自身が柔道を愛し、推奨していることも要因かもしれません。ちなみにプーチン大統領の段位は8段で、事実上昇段できる限界点に到達しています。
空手は、1960年代末にはすでに一部流派がソ連において活動しており、競技人口は2008年時点で21万5000人になりました。極真会館という流派が主流で、「Кёкусинкай (キョクシンカイ)」(ⅰ)というだけで空手のことを指す場合があります。なお柔道や空手はジョージアやアゼルバイジャンなどでも一定の人気があり、日本語で1から10まで数えることができるアピールしてくる現地人とたまに会います(笑)
空道は少々耳慣れないかもしれませんが、1990年代に考案された新しい総合武道です。特徴は突き技や蹴り技、寝技、関節技、締め技、さらに急所攻撃などが有効であり、実際の闘いを想定している実戦的な武道であること、顔の全面を覆うシールドがついたヘッドギアを着用することなどです。
大道塾の初の海外支部が置かれたウラジオストクでは、極東連邦大学に空道指導学科も設置されるほどの熱を持っています。そうした人気のためか、筆者は以前、空道を習っているロシア人から空道の魅力について長々と語られたことがあります。
ロシアでの競技人口は2016年現在で3万人弱とまだ空手や柔道に負けていますが、1991年に初めてロシアに伝わってから年間1000人の勢いで空道家が増えており、今後の成長も期待できます。
ロシアにおいても武道がメジャーなスポーツというわけではありませんが、根強い一定の人気と安定した後継者の育成環境があります。ロシアにおける男性像(力強さや逞しさの追求)や大統領による武道の推奨、社会的な認知度や経済的支援などがこうした状況の背景にあると考えます。
最後に、こちらは武道ではありませんが、ロシア発祥のものとしてシステマ(軍隊格闘術)やサンボ(格闘技)が有名です。どちらも日本に公式の団体や連盟があるため、これらの武術のうち一般向けの技術を習得することができます。ロシア発の格闘技を体感してみたい方は、ぜひお試しください。
それではみなさん、до свидания(ダ スヴィダーニャ)!
文責:კოჯიმა
【参考】
日本武道館ホームページ、https://www.nipponbudokan.or.jp/shinkoujigyou/teigi
大道塾ホームページ、http://daidojuku.com/jp/
『РСБИ Виды боевых искусств』、https://www.rsbi.ru/sports
『Дзюдо – Team Russia』、https://teamrussia.pro/sport/dzudo
『ФЕДЕРФЦИЯ КАРАТЭ РОССИИ』、http://ruskf.ru
『Федерация КУДО России』、https://kudo.ru
(ⅰ)「Киокусинкай」と綴っているサイトもありますが、ロシア連盟のサイトのスペルは「Кёкусинкай」となっています。
*今日のロシア語*
дзюдо(ジュドー)
意味:柔道
соревнование(サレヴナヴァーニエ)
意味:試合