東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

「未知なる魅惑の国」であるロシアならではの文化から、留学や旅行のこと、東京外国語大学でのキャンパスライフのことまで。このブログでは、東京外国語大学のロシアが大好きな学生たちが様々なテーマに沿って日替わりで記事を書いていきます。ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とは、ロシア語で「愛」を意味します。

ロシア語劇団コンツェルト団員インタビュー【ひふみん編】

f:id:tufs_russialove:20201114221657p:plain

秋の日は鶴瓶落とし、なんて言いますが、この時期になると5限が終わる頃にはもうすっかり日が落ちてしまいますね。
冬へと移ろいゆく兆しのようで、なんとなく寂しいような気もします。

さて、4回目のコンツェルトコラボ企画インタビュー、今回はひふみんに色々お話を聞いてみました!
新進気鋭のコンツェルターひふみんは何を語るのか!?
お楽しみください!

 

【ひふみんについて】

東京外国語大学中央アジア地域ロシア語専攻1年生。今年春にロシア語劇団コンツェルトに入団。2020年度本公演『生ける屍』リーザ役として出演予定。

 

―あなたがロシア語劇団コンツェルトに入団した理由を教えてください。

はい、私はロシア語中央アジア地域専攻なのですが、元々中央アジアに興味があって入学したのでそれほどロシア語というものにそれほど興味がある、というわけではありませんでした。しかしカリキュラム上1年間はロシア語を学ばなければならないということで、せっかくならきちんと身につけたいと思い、ロシア語運用能力を高められそうなこの劇団に入団しました。

 

―コンツェルトの存在はいつ、どこで知りましたか?

3月上旬にTwitterを通じて知りました。下旬に行われたコンツェルトの体験稽古・ワークショップにも参加しました。

 

―コンツェルト内でのあなたの役職はなんですか?(役者、演出、字幕等)また、その役職の魅力を教えてください。 

今年の本公演では役者をやります。魅力は…そうですね…公演が始まって最終的に舞台に立つ、公演の顔とも言える存在が役者であり、そこへ向けて台本をきちんと読み込みどのように感情を表現するのか、また身体表現をどうするのか、といったことを考えることに喜びや魅力があると思います。

 

―役者以外に興味のある役職はありますか?

そうですね、衣装や小道具にも興味があります。

 

―普段の練習はどのような内容ですか?

普段は柔軟や発声練習をした後にシーンごとの稽古を行なっています。その中で演出からの指示を受けたりお話をしたりしながら、作品理解及び台本理解に努めています。 

f:id:tufs_russialove:20201114222135j:plain

 

―外大ロシア語及び中央アジア地域を専攻した理由はなんですか?

先ほども言ったようにロシア語科ではなく中央アジア地域に惹かれたのですが、そのきっかけは中学校3年生の時に母のウズベキスタン旅行の写真を見つけたことでした。そこに写っていたモスクの美しい青色に一目惚れしたんです。それから中央アジアについて学びたいと思って調べてみると、中央アジア/ウズベク語について専門的に学べる大学は日本で外大しかないとわかり、志望しました。

 

―あなたの好きなロシア文学作品を教えてください!また、好きな理由や一押しポイントはなんですか?

お恥ずかしながらまだロシア文学を読んだことがないのですが、『アンナ・カレーニナ』の映画は見たことがあります。愛憎渦巻き次第に狂っていく様子がとても面白いと感じたので、ぜひ原作も読んでみたいです。

 

―12月の本公演「生ける屍」のあなただけが知っている見どころを教えてください!

一年生も沢山役者として出演するのですが、皆発音や演技面でとてもレベルが高く、そこに注目していただきたいです。またヒロインの心情の揺れや置かれている状況など、繊細な演技を頑張るので見ていただけると嬉しいです。

 

―東京外大ロシアサークルリュボーフィのブログ記事の中で最も面白いと思ったものはどれですか?読んだことがない方は、さっと目を通してお気に入りを探していただけると嬉しいです!

私はリュボーフィのTwitterアカウントをフォローしておりよく読んでいるのですが、その中でも気に入っているのはチェーホフの「かわいい女」についての記事と、最近のインタビュー企画、特に中央アジア地域の先輩へのインタビュー記事が気に入っています。

嬉しくて悲しくて愛しい物語『可愛い女』 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

東京外大生にインタビュー!第4弾【中央アジア地域編】〈前編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

東京外大生にインタビュー!第10弾【中央アジア地域編】〈前編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

 

―ロシアの歌手や歌で好きなものはありますか?

普段はあまり聴かないのですが、子供の頃からチェブラーシカが好きで「水色の列車」や「誕生日の歌」は耳に残っていますし好きです。

 

―今までにロシア料理を食べたことはありますか?また好きな料理は何ですか?

コンツェルトの企画でピロシキを作ったり、ボルシチなども家で食べたことがあります。食べてみたいのは毛皮のコートを着たニシンですね。

 

―ロシアに行ったことはありますか、また一番好きな都市はどこですか?

まだロシアにも周辺地域にも行ったことはないですね。一番行きたいのはこの大学を志望する動機にもなったウズベキスタンサマルカンドです。ロシア国内では日本と距離の近いウラジオストクや芸術の都サンクト=ペテルブルクに行ったみたいです。

 

―最後に、インタビュー記事を読んでくださる方へメッセージをお願いします!

今年の本公演「生ける屍」は記念すべき50回目となる公演ということで、役者も演出も美術・制作も皆気合いに満ち溢れています。そのような中で私も役を頂けて光栄ですし、見に来てくださった方々に絶対に満足していただけるようなレベルの高いものを作り上げています。ぜひ、我々の本公演をご覧になってください。

 

文責:そーにゃ

 

◆コンツェルト本公演「生ける屍」について◆
ロシア語劇団コンツェルトは創立50周年を迎える歴史ある演劇サークルで、早稲田大学東京外国語大学お茶の水女子大学等様々な大学の学生が集まって構成されています。普段は早稲田大学戸山キャンパスで週2,3回のペースでお稽古をしているそうです。

記念すべき50回目の今年の本公演ではトルストイ原作『生ける屍 «Живой Труп»』を上演されます。ぜひあなたも足を運んで、ロシア語劇の魅力を堪能してくださいね!

●日程:12月25日(金)〜27日(日)

公式HPやSNSでも日々のお稽古の様子や公演情報を掲載されています!要チェック!

コンツェルト公式HP:https://www.kontsert.jp

Twitterhttps://twitter.com/theatrekontsert

Instagramhttps://www.instagram.com/theatrekontsert/

Faceook:https://www.facebook.com/theatrekontsert

 

ロシア語劇団コンツェルト団員インタビュー【平井さん編】

f:id:tufs_russialove:20201111235056p:plain
つい最近秋学期が始まったと思ったら、いつの間にか11月中旬に突入していました。月日が経つの、あまりにも早くないですか?

 

さて、11月9日から始まった「コンツェルターにインタビュー!」企画、3回目は平井さんにインタビューをしました!

これまでと同様に本稿末尾にはコンツェルト12月本公演のお知らせが記載されていますので、そちらもあわせてご覧ください。

 

【平井さんについて】

東京外国語大学言語文化学部ロシア地域ロシア語専攻2年生。昨年の春にロシア語劇団コンツェルトに入団。2020年度本公演『生ける屍』サーシャ役として出演予定。

 

―本日はインタビューを受けてくださりありがとうございます!平井さんはコンツェルトに入団して2年目ですが、そもそもコンツェルトへの入団を決めたきっかけは何ですか?

コンツェルトは自分の好きなことが詰まっている劇団だと感じたからです。高校時代は演劇部で演劇自体に興味があったのに加え、外大でロシア語を専攻していたことから、好きなことがロシア語でできるコンツェルトに興味を持ち入団しました。

 

―高校時代は演劇部だったとのことですが、どのような役職を担当していたのですか?

ほとんど役者をやっていました。コンツェルトでも役者をしています。

 

―平井さんが考える役者の魅力を教えてください!

役作りが楽しいです。台本を読んだり、演出家や他の団員と話したりすることでだんだん役が出来上がっていく過程が面白いなと思っています。

 

―普段のお稽古ではどのような活動をなさっているのですか?

公演がある時は、基礎トレーニングが終わったらすぐに公演の練習に入っています。公演がない時も基礎トレーニングは継続して行いますが、それに加えて「ワークショップ」として、台本の一部分(もしくは短い台本)を使って一緒に演じるようなことをしています。

ほかにも例年は夏と冬に合宿があり、前年度の公演の映像を見たり、団員と遊んだりしています。コンツェルターは個性の強い人が多いので、合宿を通して団員のことをより深く知れて面白かったです。

f:id:tufs_russialove:20201112134936j:plain

 

―これまでで最も印象に残っているのはどの公演ですか?

2019年度本公演『世捨て男と六本指』(ヴィクトル・ペレ―ヴィン原作)です。主に「六本指」と「(六本指の)筋肉」を演じていました。この公演では明確に「この人がこの役」だと決まっているのではなく、色々な人が「世捨て男」や「六本指」など色々な役になっていました。

f:id:tufs_russialove:20201112135023j:plain

自分がコンツェルトに入団して初めての本公演だったことも大きいですが、「演劇」というより「舞台」のような感じで、ステージの上を走ったり動き回ったりとエネルギッシュな演目だったのが印象的でした。また現実世界とは少し違う、不思議な空間だったのも印象に残っている理由の一つです。

f:id:tufs_russialove:20201112135045j:plain

 

―平井さんはロシア語やロシア地域について学んで2年目ですが、ロシア関連で興味を持っていることはありますか?

ロシア文化に興味を持っていて、最近はロシア文学にも触れるようになりました。外大にはロシア文学に関する講義(ロシア文学と出会う:言語文化学部概論科目)があるのですが、それを聞いてロシア文学の面白さを知ることができました。

 

ロシア文学にも興味を持たれているとのことですが、お気に入りのロシア文学作品があれば教えてください。

ザミャーチンの『われら』です。この作品では人々が監視下に置かれ、時間も管理されているソ連のような世界が描かれており、読んでいてアドベンチャーのようなワクワク感がありました。また未来の話を描いているため現実感が薄く、現実逃避ができるのも好きなポイントです。

 

12月本公演『生ける屍』の見どころは何ですか?

役者の演技です。今回の公演ではみんな役作りに時間をかけていて、稽古をしているときでも「今どういう心情なのか」「今までどのようなことがあったからこのようなことを言うのか」というのを演出家や役者同士で話し合っている印象がとても強いです。

また舞台上の演出も面白いものがたくさんあり、印象に強く残る舞台装置がいくつか登場するので、そこも注目していただきたいです。

 

―サーシャ役を演じるにあたって、楽しいことや大変なことは何ですか?

私は今まで妹キャラを演じたことがあまりなかったので、今回演じていてすごく楽しいです。ちょくちょくお母さんと口論するような可愛いやり取りもあります。

大変なことについては、『生ける屍』の登場人物はそれぞれバックグラウンドを抱えているのですが、それを演じるのがとても難しいです。またサーシャはロシア正教に熱心な人物なので、正教について勉強するのも苦労しています。

 

―平井さんとサーシャで似ているところはありますか?

サーシャほどではありませんが、正義感が強いところです。放蕩している人の立場ではなくて、真面目な考え方に凝り固まっているようなところも似ているかなと思っています。

 

―ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)の記事で好きなものはありますか?

2020年8月26日の『機知と皮肉のロシアジョーク《アネクドート》』です。

機知と皮肉のロシアジョーク《アネクドート》 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

アネクドートに興味があるのも好きな理由の一つですが、記事の中のアヴァンギャルドのようなデザインが格好良くて、ただアネクドートを紹介するだけでなく視覚的にも楽しめたのが良かったです。

 

―最後に、今回の公演についてのメッセージをお願いします!

今回の演目はトルストイの戯曲ということもあり少しハードルが高く感じてしまうかもしれません。しかし実際に演じてみて、現代の私たちにも通じるようなところがあるなと思いました。ですから、公演を観に来てロシア文学や演劇の面白さに触れていただけたら嬉しいです。また今年度は対面・オンラインの両方で公演を見ることができます。劇場で見るのに不安がある人でも安心して楽しむことができるため、是非ご覧ください!

 

平井さん、ありがとうございました!本公演の成功をお祈りしております。

 

…というような感じでインタビューをしていましたが、実は私もこの公演に役者として出演しているんですよね。

全団員が総力を挙げてつくりあげる『生ける屍』の世界をお楽しみいただけたら幸いです!

 

それでは、До свидания!(ダ スヴィダーニャ/さようなら)

 

文責:Ах

(インタビュー実施日:2020年11月8日) 

 
◆コンツェルト本公演「生ける屍」について◆
ロシア語劇団コンツェルトは創立50周年を迎える歴史ある演劇サークルで、早稲田大学東京外国語大学お茶の水女子大学等様々な大学の学生が集まって構成されています。普段は早稲田大学戸山キャンパスで週2,3回のペースでお稽古をしているそうです。

記念すべき50回目の今年の本公演ではトルストイ原作『生ける屍 «Живой Труп»』を上演されます。ぜひあなたも足を運んで、ロシア語劇の魅力を堪能してくださいね!

●日程:12月25日(金)〜27日(日)

公式HPやSNSでも日々のお稽古の様子や公演情報を掲載されています!要チェック!

コンツェルト公式HP:https://www.kontsert.jp

Twitterhttps://twitter.com/theatrekontsert

Instagramhttps://www.instagram.com/theatrekontsert/

Faceook:https://www.facebook.com/theatrekontsert

 

ロシア語劇団コンツェルト団員インタビュー【おりいちゃん編】

f:id:tufs_russialove:20201110182541p:plain

こんにちは!川又です。もう冬が近づいてきましたね。私は自転車通学なので、冷たい風を防ぐためにもう手袋をつけ始めてます。

さて、前回の記事を読んでくださった方はもうお分かりかと思いますが、現在「ロシア語劇団コンツェルト」とリュボーフィとのコラボ企画を実施中で、12月に行われる本公演の魅力をお届けしています!

今回は外大の言語文化学部1年生のおりいちゃんにインタビューをします!

実は私はコンツェルトのメンバーでもある(今年は役者ではないためあまり稽古には参加できていません…)ので、ちょっとだけ踏み込んだ質問をするかもしれません…。そこにも注目してみてくださいね。

 

【おりいちゃんについて】

東京外国語大学言語文化学部1年生。今年の春にロシア語専攻に入学し、コンツェルトにも入団!趣味はアニメを見ること。

 

コンツェルトに入ろうと思った理由は?

今まで演劇の経験はありませんでしたが、もともと演劇に興味はあったのと、せっかくロシア語科に入ったから発音などをもっと頑張れたらいいなと思っていたので、そのどちらも叶えることができそうだったコンツェルトに入団しました!

 

おお〜。確かにコンツェルトのメンバーが発音いい人が多いよね!

今年の本公演では役者をやるのかな?

役者をやります!主人公フェージャの友人アフレーモフと、フェージャには「やくざ者」と呼ばれていて、終盤に登場するアルテーミフの2役を演じます。アフレーモフは、フェージャが後ろ向きな性格であるのに対して、社交的で陽気なおじさんといった感じの性格です。アルテーミフはまだどんな人物なのかいまいち掴めていません。

 

直球な質問だけど、役者楽しい?

今回の私の役はセリフがそこまで多くないので、現時点では大変だという気持ちより楽しい!という気持ちの方が大きいです。

 

稽古はどんな感じで進んでいるのかな?演出家のみーじゃさんはどう?

普段の稽古はまず第一にストレッチから始まります。ストレッチが終わると演技の練習が始まりますが、今は戯曲の中盤あたりに入っていて、演出家のみーじゃ先輩(早稲田大学4年生、ロシア文学専攻)がここはこうした方がいいなどアドバイスをくれます。役者の意見も結構取り入れてくれていて、「どう思う?」などというやりとりを重ねながら稽古を進めていきます。

『生ける屍』の世界がもうみーじゃ先輩の頭の中で完成しているような感じで、迷うことなく的確な指示を出してくれます。

 

さすがみーじゃさん!稽古では発音練習もしてる?

自分が出演しない場面の稽古をやっている時は、空いている2、3年生の先輩が発音練習をつけてくださっていました。先輩はみんな発音がきれいで、私の同期のさのまるくん(外大の一年生。音声学を勉強中)もとっても発音が上手です。でも最近は自分の出る場面でなくても、仲間の演技を見て勉強することが多いです。

 

―なるほど。ネイティブの先生が来てくれないのは残念だけど、私の同期もみんな発音きれいだし、いい発音を伝授してくれている気がするよ。

今までのコンツェルトの公演で思い出深かったものはある?

7月に新人公演としてオンラインで配信した『タバコの害について』です。まず、人前で演劇をするのが初めてだったというのが一つの理由です。そして、あまりいい理由ではないのですが、本番でミスをしてしまったために心に残っているというのもありますね。セリフが途中で飛んでしまって。観ていた人からは「あまりわからなかった」とは言われるのですが、未だに恥ずかしくて本番の映像は観られていません(笑)。

 

―ミスしたら恥ずかしくて観られないのはわかる!

話は変わりますが、好きなロシアの文学作品はある?

高校の時にトルストイの『アンナ・カレーニナ』を読みました。ロシア語科を受験すると決めた後だったのですが、勉強が嫌になった時に「ロシア文学ならあまり罪悪感なく読めるな」と思って読んでいました(笑)。正直、この作品を「好き」と一概に言っていいのかはわかりません…。とても長い作品なのですが、読み終わってもあまり達成感はなく、「ズドーン」と思い気分になりました。ですが、心理描写が多く、登場人物全員に感情移入ができるという点では面白かったです。

 

―『アンナ・カレーニナ』は大人向けのお話だと思ってた。感情移入できるのすごいな…。

そういえば、ロシア語をやろうって思ったきっかけは何だったの?

上坂すみれさんというソ連オタの声優さんが大好きなのと、キリル文字が可愛いからです。推しの文字はщ(シシャー)です!

 

おおー、それならモチベーションを保って勉強できそうだねえ。ちなみに私の好きな文字はж(ジェー)だよ。

それでは本公演の話に戻るんだけど、『生ける屍』のあなただけが知っている見どころを教えてください!

衣装にすごくこだわっているんです。衣装係の人がラフ画から一人一人の衣装を考えてくださっていて、ヒロインのリーザ一人を取っても、前半の普段の衣装は明るい感じの色、そして最後の裁判のシーンでは真っ黒な服になって、リーザの心理状態を表しているのかな、と想像できます。衣装に着目して演劇を見てみるのも楽しいのではないでしょうか!

 

衣装、面白いよね〜!去年の本公演の『世捨て男と六本指』でも登場人物がみんな鶏だった!というオチを作るために衣装にはこだわってたよ。

ちなみに、今までにリュボーフィの記事は読んだことある?

もちろんありますよ〜!私が好きだったのはアネクドートの記事ですね。

↓記事はこちら

機知と皮肉のロシアジョーク《アネクドート》 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

アネクドート」という言葉を実はその記事で初めて知って、それから自分で調べてみたりして、結構ハマりました!思想が赤いわけではないのですが、結構ロシア史や社会主義が好きなので、皮肉が効いていて面白かったです。

 

―ロシア史が好きでアネクドートにハマれるのは強い!

最後にインタビュー記事を読んでくださる方へメッセージをお願いします。

演劇は初心者ですが、周りの人たちに刺激を受けながら練習を頑張っています。ぜひ公演に来て演劇を楽しんでいただけたらと思います!

 

ありがとうございました!

私も12月の本公演楽しみにしてます!

 

文責:川又

 

 
◆コンツェルト本公演「生ける屍」について◆
ロシア語劇団コンツェルトは創立50周年を迎える歴史ある演劇サークルで、早稲田大学東京外国語大学お茶の水女子大学等様々な大学の学生が集まって構成されています。普段は早稲田大学戸山キャンパスで週2,3回のペースでお稽古をしているそうです。

記念すべき50回目の今年の本公演ではトルストイ原作『生ける屍 «Живой Труп»』を上演されます。ぜひあなたも足を運んで、ロシア語劇の魅力を堪能してくださいね!

●日程:12月25日(金)〜27日(日)

公式HPやSNSでも日々のお稽古の様子や公演情報を掲載されています!要チェック!

コンツェルト公式HP:https://www.kontsert.jp

Twitterhttps://twitter.com/theatrekontsert

Instagramhttps://www.instagram.com/theatrekontsert/

Faceook:https://www.facebook.com/theatrekontsert

 

ロシア語劇団コンツェルト団員インタビュー【さのまるくん編】

f:id:tufs_russialove:20201108232356p:plain

Привет(プリヴェート/こんにちは)!東京外大ロシア語専攻3年のりおです。

あなたは、ロシア語劇団コンツェルトが来月12月に「生ける屍」(トルストイ原作)という演劇公演を行うことをご存知でしょうか?

今月はその公演に先駆けて、ロシア語の演劇に日々取り組んでいる劇団サークル「ロシア語劇団コンツェルト」さんと私たち東京外大ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)とのコラボレーション企画をお送りします!

 

コラボ企画の第一弾では「コンツェルト団員インタビュー」と題して、コンツェルトに所属する団員ひとりひとりにスポットを当て、各々の考えるロシア語劇の魅力やご自身と演劇との関わりについてリレー形式で語っていただこうと思います。

 

記念すべき第一回目は、ロシア語科の私の後輩にあたるさのまるくんにインタビューをしました!とてもフレッシュでロシア語の学習意欲も高い1年生です。

本稿末尾にはコンツェルトの12月本公演についての情報も掲載しておりますので、ぜひ最後までお読みください(^ ^)

 

【さのまるくんについて】

東京外国語大学言語文化学部ロシア語専攻1年生で、今年の春にロシア語劇団コンツェルトに入団。今年2020年12月の本公演『生ける屍』にも出演予定。ロシア語や英語の音声学に興味があるそうで、ロシア語学習者の界隈ではちょっとした有名人なんです!

Twitter:@sanomaru364

 

今日はインタビューを受けてくれてありがとう!早速だけど、さのまるくんがコンツェルトに入団したきっかけは何だったの?

コンツェルトのことは、僕は入学前からSNSを通じて知っていました。3月に開催されていたコンツェルトのワークショップにも参加して、それがとても楽しかったんですよね。また、高校時代に英語劇をやっていたことから外国語劇に魅力を感じて、自分の専攻語での劇に興味を持ったからという理由もあります。

 

へ〜!元々演劇をやってたんだね。さのまるくんは役者をやってるんだよね?コンツェルトの中で役者以外の担当の人もいるのかな?

そうです。コンツェルトでは年2回のペースで公演を行っているのですが、その公演ごとに舞台監督や字幕担当など、各々の希望に応じて役職が決まっていきますね。

 

なるほど…。じゃあ役決めはどうやってるの?希望が被ったらオーデションしたりもするの?

それぞれ役の希望を出した上で、演出家の方が最終的に決めますね。オーディションという形はないのですが、ある程度みんなで読み合わせをしてからなので、演出家の方もそこは考慮していると思います。

 

さのまるくんから見て、役を演じることの魅力って何だと思う?

ロシア語を話すのももちろん楽しいですが、ロシア文学をどう解釈していくのか、それをどのように演技に反映させていくのか、というのを演出家の方と話し合っていくのが楽しいです。今回の公演の演出家は早稲田大学文学部ロシア文学専攻の4年生の方でロシア文学に明るい方なので、僕自身も学ぶことがとても多いです。

 

なるほど。文学の解釈って難しそうだね。作品が書かれた時代背景とか、ロシアの文化や思想も知ってないといけないもんね。

そうですね。奥深いですね。

 

普段のコンツェルトのお稽古ではどんなことをするの?

ストレッチ、声出し、演技指導が基本です。ペットボトルを頭に乗せて真っ直ぐ歩く(姿勢を良くする)練習や、輪になってキャッチボールをして目線を合わせる練習などあります。初めは日本語台本で作品理解を進め、その後にロシア語の台本で練習をしますが、やはり日本語訳では分からないニュアンス(汚い言葉もあったりします)やリズムもあるので、そこが面白いところですね。また、セリフ(ロシア語)は役者が自分でアクセントをふるので、それは少し大変でもあります。

 

へ〜!じゃあ演技指導は本番が近くなってからやるのかな?

いえ、初めの読み合わせの時点で自分なりの解釈で演技をつけてくる人が多いですね。もともと演劇が好きな人が揃っているので。

 

すごい、流石だね!私は2年生の時に外語祭のロシア語劇をやったんだけど、ほとんどみんな演劇初心者だから、初めは大根役者勢揃いみたな感じになっちゃったのさ(笑) ちなみにさのまるくんはコンツェルトの公演に出演したことがあるんだよね?

そうだったんですね(笑) 僕が今までに出た公演は今年7月の新人公演(チェーホフの「桜の園」)だけですが、とても思い出深いものでした。全くの外国語に感情を込めるというのは難しいもので、どこに力点を置くのか、どこを強く読むのかなど、多くの試行錯誤がありました。ZOOM演劇という初の試みにも関わらず一年生を丁寧に指導し支えてくださった先輩方、とくにこの作品の演出の方にとても感謝しています。

  

私も新人公演少しだけ見させてもらったよ!役者の皆さん、発音がすごく綺麗で演技も緊迫感があってびっくりした。

そうですよね。ロシア語を習い始めたばかりなのに、僕の同期もみんな発音は上手なんです。でもやっぱりZOOM演劇となると、ロシア語の醍醐味である美しい音の響きも薄れてしまうし、お客さんの表情や反応を随時見ることができないので、少し制約があるなぁと感じました。

 

そうだね、やっぱり演劇は生で見るのがいいよね。話が変わるけど、ずばり、さのまるくんおすすめのロシア文学は?

小説ではないのですが、プーシキンの詩が好きです。発音を練習する時にプーシキンの作品の朗読音声を使ったのをきっかけにその言葉のリズムが好きになりました。詩って短い言葉の連なりの中に抑揚というか波があるんですよね。でも、まだロシア文学自体は僕はあまり読めていないので、これから他の作品も読んでいきたいです。

 

プーシキン!いいよね〜、私もすごく好き。ロシア文学の先生がおっしゃってたんだけど、プーシキンの詩って実際にロシアに行って現地の風土やロシア人の感情表現に触れるとそのよさがすごくわかるんだって。

へ〜、そうなんですね!僕も行ってみたいです。

 

じゃあ続いて、さのまるくんだけが知ってる12月本公演「生ける屍」の見どころを教えてください!

僕はカレーニンという男性を演じるのですが、作品終盤の二重結婚と自殺偽装を裁く裁判のシーンで、登場人物がそれぞれ抱える「魂の罪」に苦しむシーンを見ていただきたいと思います。また、作中で僕たちは時々フランス語のセリフに挑戦していますので、そこも楽しんでいただきたいです。

 

立ち回りや感情表現がすごく難しそうな役だね…。フランス語も出てくるなんて、昔のロシアの貴族らしいなぁ。ちなみに、私たちロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログは読んだことある?気に入った記事があればぜひ教えて!

ポーランド語科4年生の方へのインタビュー記事が参考になりました。一年生から単語を覚えていく必要性や留学先での生活など、なるほどと思う点が多くありました。

 ↓記事はこちら

東京外大生にインタビュー!第1弾【ポーランド語科編】〈前編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

東京外大生にインタビュー!第1弾【ポーランド語科編】〈後編〉 - 東京外国語大学ロシアサークルЛЮБОВЬ(リュボーフィ)のブログ

  

そうか〜、参考になったならよかったよ。じゃあ最後に、この記事を読んでくださっている方へ向けてメッセージをお願いします!

今回の公演は早稲田大学周辺の教会の地下にあるホールで行われます。石造りの暖炉、赤い絨毯、窓から指す日光など、とても神秘的で時間の流れがゆったりした場です。そんな劇場で上演される『生ける屍』はきっと特別な空間を生み出します。演劇、ロシア語、ロシア語演劇に馴染みは無い、という方であっても、その空間全体をお楽しみいただける公演になると思います。12/25〜27、是非とも劇場に足をお運びください。

 

さのまるくん、ありがとうございました!12月の本公演の成功を祈っています。

 

文責:りお

(インタビュー実施日:2020年11月2日)

  

 
◆コンツェルト本公演「生ける屍」について◆
ロシア語劇団コンツェルトは創立50周年を迎える歴史ある演劇サークルで、早稲田大学東京外国語大学お茶の水女子大学等様々な大学の学生が集まって構成されています。普段は早稲田大学戸山キャンパスで週2,3回のペースでお稽古をしているそうです。

記念すべき50回目の今年の本公演ではトルストイ原作『生ける屍 «Живой Труп»』を上演されます。ぜひあなたも足を運んで、ロシア語劇の魅力を堪能してくださいね!

●日程:12月25日(金)〜27日(日)

公式HPやSNSでも日々のお稽古の様子や公演情報を掲載されています!要チェック!

コンツェルト公式HP:https://www.kontsert.jp

Twitterhttps://twitter.com/theatrekontsert

Instagramhttps://www.instagram.com/theatrekontsert/

Faceook:https://www.facebook.com/theatrekontsert

 

東京外大生にインタビュー!第11弾【ドイツ語科編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20201104193321p:plain

ドイツ語科かつさんへのインタビュー

 

↓インタビュー前編はこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

 

【留学について:ドイツでの生活編】

―大学付属の寮に入っていたとおっしゃっていましたが、寮はどんな感じでしたか?きれいでしたか?

うん…うーん……(苦笑い)きれいかっていわれると、はっきり言ってきれいではない!めっちゃ安いけどね。月250ユーロくらい。日本円でいうと4万円ぐらいかな?ドイツ語科で他の地域に行っている人はもうちょっといいところに住んでるはず笑。ちゃんと日が差し込むとか、備え付けのキッチンがあるとか、自分のトイレがあるとか。うちの寮はそういうのが全然なくて、キッチンも共同、トイレも共同、シャワーも共同みたいな感じだった。部屋は一人一つだったんだけど、隣の部屋の人とトイレは共有、みたいな。

 

―なるほど。ちなみに、部屋に持ち込んではいけないものはありましたか?私がショートビジットで行ったカザフスタンの大学の寮はお酒の持ち込みが禁止でした。

たばこくらいかな。警報機が鳴ってしまうので……。お酒は、ドイツは16歳から飲んでいいからみんなばんばか飲んでたね。キッチンが部屋から少し離れたところにあったから、何か作るときは行かなきゃいけないんだけど、必ず誰かいて。「あー来たのかービール飲め」みたいな感じだからよくない笑。ただ、階ごとに毛色は違ったみたい。僕は一番騒がしいところに入れられちゃったみたいでね。毎日のようにキッチンでどんちゃん騒ぎしててお酒飲んでた笑。夜とか、そろそろ寝ようかなと思ってたらドアをダンダンダンッて叩かれて「パーティー来いや!」みたいな感じだった。

 

―にぎやかで楽しそうです。まさに「水よりビール」って感じですね笑。皆さんフレンドリーな感じなんですね。

そうだね、みんなやさしい。北ドイツは人が冷たいみたいな話を聞いたことがあったんだけど、少なくとも南は全然そんなことなくて。田舎町っていうのも大きくてみんな親切で優しかった。大学の人もそうだし、スーパーのレジのおばさんとか、知らない人も優しかった。犯罪も少なかったし、いいところだったよ。僕、現地でスマホをなくしたことがあって…いやーあの時はやばかったな。二週間くらい見つからなかったからもう戻ってこないと思ったんだけど、いろんな人が手伝ってくれてみんな探してくれて。最終的にはバスの運転手が見つけて保管しててくれてた。みんなの親切のおかげで返ってきた感じ。

 

―それはすごい!海外だと返ってこないことの方が多いイメージなのにあるのでちょっと驚きました。話が少し変わるのですが、授業がないときは何をしていましたか?

予習だね笑。あとは、行ったのは冬だったから、クリスマスマーケットには行ったな。大きい街はもちろんだけど、小さい街にもクリスマスマーケットがあって、町ぐるみで10月とかから準備してる。ドイツのクリスマスマーケットは11月の終わりくらいからクリスマスまでやってるので。一か月前とかから住民が屋台を設営したりしてた。日本の横浜とか日比谷のクリスマスマーケットとは比べ物にならないよね。

f:id:tufs_russialove:20201105195407j:plain

 

f:id:tufs_russialove:20201105195528p:plain

 

―結構時間をかけて準備されるんですね。本場のクリスマスマーケット、行ってみたいです!マーケットでは何が売られてるんですか?

ホットワインが有名だね。ワインをあっためてシナモンとか香辛料を入れたやつ。マグカップに入れてワインが出てきて、お金を払えばカップもくれる、みたいな。お土産もにいいね。

f:id:tufs_russialove:20201105195622p:plain

 

 ―いいですね!温まりそう…どこか違う都市に遊びに行ったりはしましたか?

割とフランスが近かったから、フランスに行ったりしたな。あとはミュンヘンまで電車で三時間くらいかけて行って、外大のドイツ語科の同期の人と会ったりした。ドイツ国内であれば時間はかかるけど移動はすごい楽なのでおすすめかな。15ユーロくらい、日本円で2000円行かないくらいの値段で、長距離バスでほんとどこでも行けちゃうから。自分の足で見に行くっていうはドイツの国の中を知るにもいいと思う。ただ、冬はあんまり旅行には向かないかな…寒いし、電車止まるし、全然時刻通りに来ない。

 

―ドイツ人って時間に正確だと聞いたことありますが、そうでもないんですね。

それは「人が」の問題で、電車は全然正確じゃない笑。よくわかんない理由で電車は普通に30分くらい遅れるし、「終バス間に合わないじゃん!」とか文句つけても「知らないわ、電車が遅れたせいだから」みたいな感じだから普通に。

 

―それは寒いとなおのこと辛いですね…文化の違いですかね。やっぱり日本の電車の時間の正確さはすごいですね。文化の違いとして気になるものの中で「食文化」って上位に食い込むものだと思うんですけど、ドイツの食べ物はどんな感じですか?

ジャガイモと肉とビールだね笑。あとはソーセージと、固くて大しておいしくないパン。

 

―所謂黒パンですか?

そうそうライ麦の。

 

―なるほど。私の中で想像していた「ドイツご飯」と大きく離れてはいなさそうです笑。特に好きだった料理はありますか?

南ドイツの郷土料理に、マウルタッシェっていう餃子みたいな料理があって。小麦粉の皮に刻んだひき肉と刻んだ野菜とかを入れたやつで、焼くも良しスープで煮るも良しでおいしかった。ドイツ料理は色がまずそうとか量が多いとかいろいろ言われがちだけど、マウルタッシェはおいしかったね。あとは、豚肉のカツレツとポテトとか。すっごいでかい皿で、とてもじゃないけど一人じゃ食べられない量出されて。ドイツ料理ってでっかいひと皿に肉ドカーンってあって、付け合わせにジャガイモとザワークラウトがある感じ。

f:id:tufs_russialove:20201105195742p:plain

 

―ボリューミーですね…でもおいしそうです!ちなみにドイツに持って行った方がよかったものは何かありますか?

 冬に行く人はとにかく寒いんであったかい上着は必要だね。僕のいたところは雪があまり降らないところだったから、積もっちゃってどうこう、みたいなことはなかったけど、寒いのは寒いから。あとは、箸があるといいかな。一応カップ麺とかうどんとか、近所のスーパーに日本の食べ物は売ってて、それはよかったんだけど、スプーンとフォークしかないから。そこ慣れてないと苦労するかもしれない。

 

―お箸ですか…それは盲点でした。さて、ロシアサークルからのインタビューということで、留学先ドイツでロシアとの関わりについてお伺いしたいと思います。何か思いつきますでしょうか?

ロシアの食べ物とかはスーパーに売ってた。スーパーの外国のものを取り扱ってるブースみたいなところにロシアのものはいろいろあった。スナック菓子とか。昔は仲が悪かったイメージはあるけど、今はそうでもない気がする。ただ、ドイツ国内でも事情は様々に違うから街によっても違うんじゃないかな。東ドイツの方に行くとよりロシアとの関わりは深いかもしれない。

 

―日本のスーパーでキリル文字の商品が売っているのは見たことがないので、ドイツにはあるのか!と驚きました。地域差はあるにせよ、かつての関係性の深さの名残なのかもしれませんね。

 

【帰国するときの話、留学を経て考えたこと、これから留学する人に向けて一言】

―留学に行ってみて、感じたことはありますか?

意外とどうにかなる、って思った。行く前は不安もあったけど、現地に行ったら、そこに溶け込む、じゃないけど、慣れちゃう。最初ついたばっかりの時は自分がすごい異質な存在で浮いてるように思ってたし、言葉の面でもすごく早口だから最初は何言ってるのかわかんなくて。なんだけど、だんだん分かってくるようになる。それでこっちもだんだん言いたいことが言えるなーってなってきたのがちょうど僕が帰ってくるくらいの頃だったから…もったいないんだよね。一年いればそこらへんももっともっとレベルアップできたと思うので、留学は半年より一年行った方がいいと思う。

 

―かつさんはコロナウイルス感染症の影響で途中帰国されましたもんね。結構バタバタしたのでは……?

そうだね。外大から危険レベルが上がったんで帰ってきなさいって言われていたのはもちろんなんだけど、どうやらドイツにいる日本人も帰れなくなるらしい、日本政府が海外からの受け入れを禁止するらしい、みたいなことになって。それで慌てて飛行機をとった。一週間遅かったら帰ってこれなかった、くらい割とギリギリのところで何とか帰ってこれた感じ。成田では、めちゃめちゃ列になってひとりひとり体温測ってて、二時間くらい立って待った。二週間は家の外に出られないし大変だったね。友達に会ったりも出来なかったし。

 

―途中で帰国することになってしまったわけですが、やり残したことは何かありますか?

本当は夏にいろいろ行きたかった。ドイツは北に行かないと海がないので、ドイツ人は、夏には日差しと海を求めて北上するんだよね。デンマークに近いあたりの地域の方に行ってビーチで泳いだりとか。そういうところに行ってみたかったな。留学は一年行ける人はぜひ一年行くといいと思う。半年だとね…短すぎる。最初は慣れるのに長く感じるけど、ほんとに気づいたらあっという間だから。

 

―そうですよね。長くいたほうがその国のいろんな姿を見ることが出来る気がしますもんね……。留学したからこそ得られたものは何かありましたか?

ドイツのいろんなことを知ったのはもちろんだけど、個人的には日本にも意識が向くようになったかな。日本人がいない環境だと、日本人がレアだからいろんなことを聞かれるんだよね。日本では今何が流行ってるのとか、普段何食べてるのってことから、韓国のことどう思うとか、北朝鮮どう思うかとか答えづらいことも含めていろいろね。でもそういう日本語でも説明しにくいようなことを聞かれて、ああ、自分は日本のことをあんまり知らないできたのかなって思った。外大生は外に目を向けがちなんだけど、日本のこともよく知ってないと。日本のことをよく知ったうえで、外国語でそういうのが言えればもちろんいいんだけど、日本のことも知らないでいるのはちょっともったいないと思う

 

―「知らないんだ」っていう事実に直面しないと、意識しないですもんね。

ドイツは環境と政治に対しての意識がすごく高いから、議論がすごく盛んで。酒飲みながらメルケルの悪口言ったり…そんなことばっかり笑。その流れで日本はどうなの、みたいなことを聞かれたけど、自民党が、とか安倍さんがみたいな簡単なことしか言えなくて。あ、あんまり知らないんだなって思った。いろんなことにアンテナを張って、日本のことについても知っとくといいと思う。だからそこで、日本のことを研究するゼミには入れたのも結果オーライというか、結果的にはいい形で。やっぱりその辺りはドイツに行かなかったらなあなあにしたままだったのかなと思って。

 

―なるほど。日本人ですけど、私も日本の政治に関しては自信を持って議論できる気はしないです…もう少し国内事情にも目を向けて行こうと思います。日本文化のゼミは一見留学とは結び付かなさそうですが、「外からの日本への視点」を得て、日本に戻ってくる、というのはとても意義深い気がしました。ドイツに行く人に何かアドバイスはありますか?

行けたらいろんなところに行ってくださいってことかな。旅行でいいんで。日帰りで半日町にいるだけとかでもいいから。ドイツは陸続きだからいろんな国に飛び出していくのもいいし。

 

―留学するのに持っていたほうがいいマインドはありますか?

「楽しむ!」はどうでしょう!言葉出来なく他もたどたどしくても分かってくれるし。僕はドイツっていう日本とは全然違うところに飛び込んだけど……食べ物とかもそうだし、時差もそうだし。習慣も違うし宗教も違うし。全部違うところだったけど、それを「自分のいるところと違うから嫌だ!」みたいになっちゃうよりは、それをそれとして、楽しんじゃった方が気持ちも楽だよね。あとは、日本にいる友人を大事にしよう、ってところかな。僕は日本の友達と割とよく電話をして心の平静を保ってたというか…ホームシックにもならずにいられたので。

 

―確かに、「置かれた状況を受け入れて楽しむ」というのは大事なことですよね。素敵なメッセージをありがとうございます。いろいろな話が聞けて楽しかったです。今日はありがとうございました!

 

かつさんとは部活の縁で仲良くしていただいていましたが、留学の話などを改めてじっくり聞く機会はなかったので非常に興味深かったです。今まで知らなかった「ドイツ」について知ることが出来た気がします。ありがとうございました!

 

 

文責:しおり

 

東京外大生にインタビュー!第11弾【ドイツ語科編】〈前編〉

f:id:tufs_russialove:20201104193321p:plain


ドイツ語科かつさんへのインタビュー

 

Здравствуйте (ズドラーストヴィチェ)!

 

ロシア語科3年のしおりです!

先月、バドミントン部を引退しました。今年は大会が軒並み中止になってしまったため、やり切った感を感じぬままぬるっと終わってしまった感じです……無念……取り敢えずOGとしてちょこちょこ顔出せたらいいなと思っています。

さて、他語科の方とのコラボレーションということで、私はバドミントン部の先輩、かつさんにインタビューをさせていただきました!!かつさんはドイツ語科の4年生で、日本の文化や歴史について学ぶゼミに所属されています。

 

ドイツ語科について

外大では“ドイ科”という略称で親しまれている。60人ほどの大語科で外語祭ではビールが大人気。ビールの国を扱う語科なだけあって、お酒が好きな人は多いらしい。(飲めない人ももちろんいるのでご安心ください笑)。外大の地域区分としては、中央ヨーロッパ地域に属している。他に中央ヨーロッパ地域の専攻語としてチェコ語ポーランド語がある。

 

かつさんについて

2017年度に、国際社会学中央ヨーロッパ地域ドイツ語専攻として入学。4年生。2019年10月から、ドイツのシュヴェービッシュ・グミュント教育大学に留学。新型コロナウイルスの影響で3月に早期帰国。現在日本の歴史や文化に関するゼミにて卒論を検討中。

 

f:id:tufs_russialove:20201104184725p:plain

【ドイツ語の授業&言語】

―かつさん、本日はありがとうございます、よろしくお願いします!早速なのですが、かつさんはなぜ専攻語にドイツ語を選んだんですか?

せっかくだから英語以外の言語をやりたいと思って。ドイツは昔叔父が滞在していたことがあったので漠然と憧れがあって、だから選んだ。

 

―叔父さんの影響なんですね!語科の雰囲気はどんな感じですか?

派手派手しい感じではなく、まじめな人が多い印象かな。お酒好きな人は多い気はするね。ドイツの国民性(?)が反映されている気がする笑。

 

―確かにドイツ人っぽいですね笑。ドイツ語の授業はどんな感じですか?風のうわさで1年生の時から講読をバリバリやるという話を聞いたので、大変そうなイメージがありますが……。

僕の代はそこまででもなかった気がする。ちょっと下の代から厳しくなったらしい……1年生の時はドイツ語の小説を、初学者でもわかるように簡単に書き換えたものをやったかな。挿絵があって、文章があって、それを訳していく、みたいな。1個下とか2個下は読む量が増えたらしいって聞いた。

 

―あらら、そうなんですね笑。1年生と2年生で授業の難易度が大幅に変わったりはしましたか?

そんなことはないと思う。1年生はとにかく文法の基礎と、語彙量を増やすための勉強をやったね。そういう訓練がしっかりできている人っていうのは、2年生にそのまま上がっても全然いけるんだけど、それが出来ないとしんどいかな。ドイツ語がめんどくさいのは、格変化があることかな……ロシア語もあるよね。

 

―ありますね。ドイツ語の格はいくつあるんですか?

4つだね。あとは名詞が、男性名詞と中性名詞と女性名詞の三種類ある。それが四つの格で変化するので、それで最初わけわかんねーって嫌になっちゃう人が多いかな。名詞の性についても、eで終わってると女性名詞が多いとか、外来語は大体が中性名詞とか、大まかな区分はあるんだけど、一個一個の単語は地道に覚えていくしかないんだよね。そこに慣れちゃえば、定冠詞と名詞を見ただけで何格わかるから楽なんだけど、慣れるまではちょっと辛いかな。

 

―なるほど……ロシア語も、格変化には苦戦する人が多いです。屈折語(格変化がある言語)の宿命みたいなところかもしれないですね。名詞の性が三種類なのもロシア語と共通しているので、若干ドイツ語に親近感がわきました笑。ちなみに教養外国語(東京外国語大学で開講されている、いわゆる第2、第3外国語にあたる言語科目)でとるのに向くと思いますか?

どうだろ…フランス語よりはいいんじゃないかな笑。フランス語は半年やったけど難しすぎて無理だった笑。

 

―複合過去とか半過去とか難しそうな文法ワード聞きますもんね…。簡単な言語なんてないのかもしれませんね。ちなみに、ドイツ語科はクリスマスにちょっとしたパーティーをやると聞いたことがあります。

あーするね。ドイツのパンとか、プレッツェルとか食べたり。あとはシュトレンっていうかまぼこ型のケーキとか……分かるかな?

f:id:tufs_russialove:20201104184841p:plain

―分かります。ドイツ語科の人に「シュトーレン」っていったら「違う!シュトレンだ!」って怒られました笑。

そうそう、気にする人は気にする笑。そんな感じでドイツのものを食べながら、クリスマスの歌うたったりして楽しい感じ。

 

【ゼミについて】

―かつさんは、割と日本!って感じのゼミに所属されてますよね。 

そうだね。主には江戸時代とか日本の近世を取り扱ってる。ゼミ合宿で長野の山奥の田舎に行って、そこの古いお宅にある明治時代とか江戸時代とかの古文書を解読する、みたいな事もやったり。なぜ日本のゼミにしたかっていうと、一番は語科のゼミに関心があるテーマを扱ってるところがなかったんだよね。ドイツの中世のことをやるゼミと、近代ドイツとかナチスについてやるゼミがあるんだけど、自分の興味がある分野とは合わなかったので笑。日本についてなら面白そうだなと思って選んだんだけど、うちのゼミって例年そうらしくて。語科ゼミに興味が持てなかった人の巣窟みたいになってる笑。

 

―そうなんですね笑。語科で他国についてやってから日本に戻ってくるのも面白そうです。他国との比較もやったりするんですか?

卒論のテーマとしては十分にありうるって言われてる。せっかくなのでドイツを絡めた日本のテーマを取り上げたいなと思ってて、今考えてるところ。

 

【留学について:大学編】

―かつさんは、ドイツに長期留学されていましたよね。どんな雰囲気のところに行ったんですか?

シュトゥットガルトから東に50キロくらい行った、人口5万人くらいの田舎町だね。中央線沿線でいうと立川を少し小っちゃくした感じの雰囲気かな。

 

f:id:tufs_russialove:20201104185844p:plain

 

―なるほど。駅回りは結構栄えているけれど、一歩出ると静かでのどかっていう感じのところですかね?

そんな感じ笑。本当にのどかでいいところだった。ベッドタウンみたいな感じで、車で近くの大きな町に働きに行ってる感じの町で、電車の駅から歩くと一時間くらいかかるようなところに大学があって。

 

―うわぁ、それは遠いですね…。

うん、町の人がたくさんいる所謂繁華なところからは離れた、ひっそりした丘の上に大学はあるからめちゃめちゃ遠くて。勉強するにはいいところだけど遊びに行くには不便なとこだったかな。だからみんな長期のプログラムで参加してる人ばっかりで、学校近くの寮に住んでる感じだった。

 

―その距離だと毎日電車通学するのは難しそうですもんね。大学ではどんなことを勉強しましたか?

具体的に取っていた授業は、ドイツ語ネイティブじゃない人のためのドイツ語講座みたいなのと、地域基礎(東京外国語大学で開講されている専門地域を知るための必修科目)みたいな留学生向けの「ドイツはこういう国で、こういう文化圏で、こういうもの食べてて」みたいな楽しい授業と。あとは、その大学でやってる学部生向けの授業に出るなりしてくださいって感じ。シュヴェービッシュ・グミュント教育大学は名前の通り教育大学なので、中高校生とかそれより下を教えるような仕事を志している人がドイツのいろんなところから集まってくる感じだった。「学生に教えるための英語」とか、学生に教えるにはどうすればいいのかみたいなのが多かったかな。

 

―なるほど。ドイツ語力さえ追いつけば学部生と同じ授業が取れるんですね。

うん。めちゃくちゃ難しかったけど笑。そういう授業でも、留学生ですっていえば単位は優しく評価してくれる感じだった。ドイツ人は授業終わりにテストがあって、テストの点数で決まるんだけど、留学生ですっていうと、じゃあレポートでいいよ、みたいな。ベルリン大みたいなドイツのもっと大きい大学だと、日本語科みたいなのがあって。そういうところでは「留学生向けのドイツ語運用能力向上だけのためのコース」でドイツ語ばっかりやることも出来るんだけど、うちの大学は教育大学なので「ドイツ人向けに教育を教える」みたいな方針だったので、「留学生向け」に何かすることがメインではなかったかな。

 

―より実践的なドイツ語を学べそうな環境ですね。課題は多かったですか?

多かったね。ドイツ人が参加する授業もいくつか取ってたっていうのもあって、ドイツ語で予習とか復習とかしないといけないのは結構しんどかった。やっている内容はそこまで難しくかったと思うよ。外大の世界教養(外大で開講されている、所謂一般教養のようなカテゴリの授業のこと)の「ことばの不思議」(対照言語学など言語に関する授業が開講されている)みたいな内容かな。

 

―入門の科目という感じですかね。外大生なので何となくわかりました笑。交流するのはドイツ人が主だったんですか?

そうだね。留学生は少ない方だったかもしれない。これから増やしていこうっていう感じのところだった。規模的には外大くらいか、それより少し小さいような、キャンパスもすごく小さいから、この人また会うな、みたいな感じで笑。寮でも顔見知りになるのは早いから、それはよかったかも。あとは、オーストリアとかスイスとかの人はいたんだけど、日本人含めアジア人が全然いなくて。僕と、外大の一個上の人と、台湾から一人来てた女の子の三人だけだった。これは人によってはいいかも。本当に日本人がいないところに身を置きたいっていう人だったらめちゃめちゃいいと思うし、ある程度いないとつらいっていう人には向いてないかもしれないね。

 

―すごくドイツ語の鍛錬になりそうな環境ですね。ちなみに教育制度は日本と同じですか?

結構違うね。基本的に最初は小学校みたいなのがあるんだけど、10歳くらいで成績がいい人が行くところと、そこそこの人が行くところと、勉強が全然できない人が行くところにわけられて、上の二つにいると、ギムナジウムっていう大学進学用の学校に行ける。で、一番下の人は手に職系で、職人になったり、パン屋さんになったり、そういう人のための学校に行く。最近は大学に行く人が増えてるみたいだけど、割と早い段階で、お前の将来はこうだって言われちゃう感じ。小四くらいで人生決まる。

 

―ひゃーそれは結構厳しいですね…。

あと違うのは、教育の長さかな。ドイツの教育は長いから、大学に行く人も年がいってることが多くて。ドイツで22歳っていったら大学入ったばっかり、周りはみんな年上みたいな感じで。むこうで誕生日迎えた時も、何歳なのって聞かれて21って答えたら驚かれて、「えー!21」みたいなのすごい言われた。

 

―結構違うんですね…知らなかったです。

 

☆次回!ドイツ語科後半!

―「そろそろ寝ようかなと思ってたらドアをダンダンダンッて叩かれて…」⁉︎ドイツでの寮生活!

―ジャガイモと肉とビールって本当?ドイツのご飯について!

―かつさんが留学して学んだこと、これから留学する人へのアドバイスも!

思わずドイツに行きたくなる素敵な写真も掲載します!明日更新です!ぜひチェックしてください!

  

文責:しおり

 

↓後編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

東京外大生にインタビュー!第10弾【中央アジア地域編】〈後編〉

f:id:tufs_russialove:20201029181005p:plain

中央アジア地域専攻Tさんへのインタビュー 

 

↓前編はこちらよりどうぞ

tufs-russialove.hatenablog.com

 

―近年のウズベキスタン政治・経済の状況を教えてください。

政治は、ミルジヨーエフ大統領が国のトップであり、留学して現地で過ごす限りでは、国民からの人気も高いように感じました。ミルジヨーエフ大統領が昨年(2019年)に訪日するなど、ウズベキスタンと日本との関係もこれからさらに強くなっていくように思われます。

 

経済についてですが、サマルカンドが青の都として日本でも人気が出てきているように、観光による収入が多いと思います。貿易相手としては輸入も輸出もロシアが一位です。アジアでは韓国との結びつきが強いように感じました。現地に住んでいるのも中国人や日本人よりも圧倒的に韓国人が多く、美味しい韓国料理屋さんも多かったです(笑)

また、外資が極端に少なく、マクドナルドもスターバックスもありません(2020年4月時点)。しかし2016年に大統領が代わって以来解放路線を歩んでいると思います。

 

ウズベキスタンとロシアの関わりについて知っている情報はなにかありますか?

(例えば…歴史、文字、文化、近年の政治・経済など)

なによりもともとソ連として同じ国だったことが大きいですね。ロシア系住民も数多く住んでいますし、ソ連時代に教育を受けた年齢層の国民はロシア語も話せます。ウズベク語にもロシア語からの借用が数多くあります。文字に関しては、ソ連から独立したタイミングでそれまでのキリル文字表記からラテン文字表記への移行が発表されましたが、今でも町の至る所でキリル文字も使われています。実際私たちも外大ではキリル文字ウズベク語を勉強します。また政治的、経済的にもロシアとの繋がりはとても強く感じます。

 

―対露感情はどのようなものでしょうか?

もともとソ連として同じ国だったこともあり、国民はロシアにもロシア語にも比較的親近感はあると思います。ただ、国家としては脱ロシア、脱ロシア語を目指している雰囲気を時折感じました。

 

 

また、留学についてもお話を伺うことができました!

f:id:tufs_russialove:20201029223605p:plain

ヒヴァ

―留学先の授業はどのように進みましたか?

ロシア語、ウズベク語、どちらとも週4コマでした。ロシア語の授業は宿題が多くてとても大変でした。反対に、ウズベク語は授業もゆるくて簡単でした。

 

―留学当初は大学の寮で生活していたそうですが、どんな様相でしたか?

寮費は月20万ソム、日本円にして2000円くらいでした。3人部屋だったのですが、部屋がとても狭く、プライベートスペースがなかったです。しばらく寮で過ごしたのち、周辺に日本円換算で家賃5万円くらいのアパートを借りてそこで過ごしました。また、冬の始めと終わりに、アタプレーニエというセントラルヒーティングの調整を理由に水が止まることがありました。

 

f:id:tufs_russialove:20201029223655p:plain

ウズベキスタンのバザール

 ―授業がない日やまとまった休暇中には、何をして過ごしましたか?

金曜日の午後は授業がなかったので、金曜午後と週末を使ってブハラサマルカンドといった都市を巡りました。また、カラカルパクスタンや、ウズベキスタン南部のテルメズにも行きました。

カラカルパクスタン :ウズベキスタン内にある自治共和国。国家としては未承認だが、首相がおり、憲法も持っている。)

手付かずの遺跡を見ることができ、印象深かったです。

f:id:tufs_russialove:20201029223907p:plain

カラカルパクスタン共和国

―留学先で、ウズベク語を身に着けるために意識していたことはありますか?

寮の食堂で仲良くなった現地の学生たちとウズベク語で話したりしました。何も机上の学習にこだわる必要はなく、例えば市場やタクシーなど、話す機会はたくさんあります。実際、ウズベク語で価格交渉をした結果安くなったり、何か聞かれた際ウズベク語で返すと良い反応をもらったりしました。ロシア語も通じますが、ここでは使わず、ウズベク語で返すのがポイントだったと感じています。

 

f:id:tufs_russialove:20201029223945p:plain

ヒヴァ

長々と質問にお付き合いいただきありがとうございました!

 

中央アジアとロシアのつながりとは?】

中央アジアとは、ユーラシア大陸の中央部、カスピ海の東側にある、ロシア、中国、アフガニスタン、イランに囲まれた5つの国(カザフスタンウズベキスタンキルギスタジキスタントルクメニスタン)を指します。

※外務省HPの「わかる!国際情勢」というコーナーに、「中央アジア~アジアと欧州が出会う場所」という記事が掲載されています!中央アジア各国の特色がわかりやすく説明されていますので、こちらもぜひご覧ください。

外務省: 中央アジア~アジアと欧州が出会う場所

 

中央アジア地域の北部には草原が広がり、古来イラン系、トルコ(テュルクとも)系、モンゴル系の騎馬遊牧民が暮らしていました。南部はオアシス地帯が広がり都市国家が多く成立しており、イラン系を中心に定住する人々が現れました。

 

今回取り上げたウズベキスタンは、当時で言うところの南部オアシス地帯にあたり、現在観光地として人気の高いサマルカンドやブハラは商業空間の拠点でもありました。

 

その後、民族のトルコ化によるトルコ語の浸透や、タラス河畔の戦いを契機とするイスラーム化を経て発展を続けました。13世紀になるとモンゴルに征服され、チャガタイ=ハン国の支配を受けるものの、14世紀には勢力が衰退し、それに乗じてティムールがサマルカンドを都にティムール朝を開きます。モスクや学院が建設され、商業、学芸の中心として発達しました。16世紀初め、ティムールの衰退と前後してカザーフ、キルギスウズベク、新ウイグルなどのトルコ系民族社会が誕生します。ウズベク族はブハラ=ハン国、ヒヴァ=ハン国、コーカンド=ハン国に分かれて抗争しました。

 

ここまで見ていくと、なかなかロシアが出てこないことが見てとれます。

ロシアとの関わりは19世紀以降になってからです。16世紀に東方進出を加速していたロシアは、19世紀にはカザフ草原、コーカンド・ハン国の重要都市タシュケントをする占領など駒を進め、地域の多くがロシアの支配を受けることになりました。

 

1917年、ロシア二月革命ロシア帝国が崩壊し十月革命レーニントロツキーらが権力を握ります。1922にソヴィエト社会主義共和国連邦が結成され、中央アジアの5カ国もその構成国になり、1991年のソ連崩壊まで続きました。

 

ざっと見ても、中央アジア地域は、イラン、トルコ、イスラームソ連、そしてロシアとキーワードが盛り沢山な地域であることがわかります。今回お話を伺ったウズベキスタン中央アジア内では最大の人口規模を誇り、地域内の主要国として認知されています。外大では専攻言語や外語祭を通して、その魅力につかることができます。カザフスタンの記事と合わせて、興味を持っていただけたら幸いです。

 

カザフスタン留学の経験を持つ方へのインタビューはこちら

tufs-russialove.hatenablog.com

tufs-russialove.hatenablog.com

 

文責:K

 

f:id:tufs_russialove:20201029224034p:plain